
12月18日、アークヒルズクラブにてマネックス証券のアナリスト陣6名が金融・経済等各メディアの記者に向けて2026年の相場展望を解説しました。一人当たりの持ち時間は約10分程度と短いながらも熱のこもった講演となりました。
広木 隆の日本株展望
最初に登壇したのはチーフ・ストラテジストの広木 隆。2025年は歴史的な節目の年であり、昭和100年、太平洋戦争終結から80年、プラザ合意から40周年であり、また日本初の女性総理大臣誕生と日経平均5万円突破という記録的な年だったと総括しました。この背景には2023年の3月から始まった東証のPBR改革があり、過去3年間で年率20%という高いリターンを記録していることを指摘(なお日経平均の過去50年の平均リターンは年率7%程度)。2026年は3回目のコーポレートガバナンスコードの改定が予定されており、企業の資本効率改善はさらに進み、2026年末には日経平均は6万円に達する可能性があると述べました。
吉野 貴晶の日本株展望
続いて、2025年からマネックス証券に加わったチーフ・マーケット・アナリストの吉野 貴晶が「米中間選挙の年は株価が上がりにくい」というアノマリーを過去のデータとともに紹介。注意が必要としつつも、理論株価とPBR、ROEの関係から2026年末の日経平均は5万4000円、8%程度のリターンが期待できると述べました。また、2026年に注目の投資指標として「PEGレシオ」(=PER/成長率)を挙げ、具体的な銘柄スクリーニング条件なども紹介しました。さらにリビジョンインデックスを相場、物色を予想する指標に変換した「リビジョンウォッチ」の見方についても解説しました。
吉野貴晶「【日本株】2026年の日経平均はどこまで上がるか?ROE×PBRで読み解く理論株価レンジ」
岡元 兵八郎の米国株展望
チーフ・外国株コンサルタントの岡元 兵八郎は、2026年末にはS&P500が7,700ポイントまで上昇すると予想。好調な企業業績、AIによる生産性向上、トランプ政権のビジネス寄り政策がサポート要員になると分析。また、AIブームについて、1994年のNetscapeリリースから始まったITブームと比較し、現在のAIブームは初期段階にあると語りました。2テクノロジーセクターの現在のROEは約31%、PERは約38倍で、2000年3月時点ではROE20.5%、PER51倍と比較して割高ではないと評価。エヌビディア[NVDA]については、PERが現在40倍で、2026年予想で23倍、2027年には18倍まで下がる見込みと語りました。
吉田 恒の米ドル/円展望
チーフ・FXコンサルタントの吉田 恒は、2026年のテーマは円の暴落を回避できるかどうかだと語り、米ドル/円の予想レンジを130円~165円としました。2025年は4月以降、日米の金利差が縮小したにもかかわらず米ドル/円が上昇。40年の為替ウォッチ歴で、金利差と無関係な米ドル/円の変動は初めてだとのこと。また現在の円安は投機筋主導ではなく、日本からの資本流出が原因のため、従来の介入では止められない可能性があると指摘。「債券売りの円安」が止まる条件として、「日本の財政規律への懸念を払しょくさせること」「米国などから資本流出が拡大すること」「米国による米ドル売り・円買い介入」の3点を挙げました。
塚本 憲弘の日米金利展望
インベストメント・ストラテジーズの塚本憲弘は、日米の金利見通しについて語りました。米国では、2026年前半に2回の利下げにより中立的な金利水準(3%程度)に到達すると予想。長期金利は現在の4.15%程度から3%台半ばを目指すと述べました。一方、中間選挙年における低所得層向けの政策の可能性が、根後半のインフレリスクとなる可能性も指摘。日本については利上げを前提とし、半年後にもう1回の利上げにより政策金利が中立金利の下限1%に到達すると予想。長期金利は経済成長とともに2%を突破し、GDP底上げとともに金利上昇する健全なフェーズにあると評価しました。
塚本憲弘「2026年の日米金利はどうなる?金融緩和バイアスが進む米国と「2%」突破を見据える日本」
松嶋 真倫のビットコイン相場展望
最後に登壇したのは、フィナンシャル・インテリジェンス部暗号資産アナリストの松嶋 真倫。2025年のビットコイン相場は、10月以降に米国株が高値圏を維持する中で先行して大きく下落。要因として、AI半導体ブームの陰でビットコインの相対的魅力が薄れたことに言及しました。一方、制度面では大きな進展があり、米国でSECやCFTCを中心とした規制整備、ステーブルコイン関連法の成立などが実現。日本でも金融庁を中心に暗号資産を金商法の下に定義づける動きが進んでいることを説明。2026年の予想については、強気シナリオで20万ドル、中立シナリオで史上最高値更新、弱気シナリオで7万5000ドルと述べました。
松嶋真倫「【2026年相場展望】ビットコイン予想:流動性拡大と機関需要が追い風、AIブームとトレジャリーの過熱には警戒」
メディアセッション終了後は、質疑応答も兼ねた立食形式の懇親会を開催。率直な意見交換が交わされました。
マネックス証券の各アナリストやコラム執筆者の2026年相場展望レポートはこちらからご覧いただけます。
