現在のファンダメンタルズ:8月1日の米雇用統計が最大の材料か

先週(7月21日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円:  145.851円~148.663円    147.660円
・ユーロ/米ドル:1.16143ドル~1.17883ドル    1.17392ドル
・ユーロ/円:  171.366円~173.607円       173.343円

先週(7月21日週)の米ドル/円: 米ドル/円は米金利に沿った値動きに

先週(7月21日週)は、7月21日が東京市場の祝日となり市場参加者が少ない中、参院選での与党大敗は事前に織り込んでいたこともあり、目立った動きには繋がりませんでした。どちらかというと円安思惑での円売りポジションに対して、調整の円買い戻しが入っていました。また米金利が低下した動きも円買い戻しを増幅させていた様子でした。

7月22日には日米間の関税協議が合意。相互関税、自動車関税とも15%でまとまったことで、日本にとってはほぼ最善に近い結果になったと思われます。鉄鋼関税は50%のままでも対米輸出の金額は大きくはなく、対米輸出の3分の1を占める自動車関税が15%に下がった点は評価されるべきでしょう。

ただ、長期的なことを考えると相互関税はこれまでほとんどなかったものが15%となり、自動車関税もそれまでの2.5%から+12.5%となることを考えると、日米ともに景気悪化懸念がつきまとうことになります。また米国では輸入物価上昇と個人消費の低下というスタグフレーションに近い状況の中で、FRB(米連邦準備制度理事会)が9月会合以降にどのように動いていくのかが気になるところです。

先週(7月21日週)の動きを見ている限り、関税協議の合意という大きなイベントを通過したことで改めて米金利の動きと米ドル/円の相関が戻ってきたように思えます。米金利(10年債利回り)は週前半に低下し4.3%台へと低下、米ドル/円もやや遅れて安値145.851円をつけた後に米金利上昇の動きに沿って147円台後半へと戻す動きとなりました。

今週(7月28日週)は日米の金融政策決定会合がありますが、市場のコンセンサスはどちらも現状維持。FOMC(米連邦公開市場委員会)ではトランプ米大統領からの利下げ圧力はあるものの、さすがに屈することはないでしょう。そのため利下げは9月会合という見方でよいでしょう。

日銀は年末に向けて利上げの環境が整えば動きそうですが、7月、9月の利上げはないとみられます。そうなると今週最大の注目材料は8月1日の米国雇用統計ということになります。最近は強めの数字が出ていますので、その流れが続いているのかを見極めることとなります。

先週(7月21日週)のユーロ/米ドル:高値更新後の踊り場局面入り

先週(7月21日週)のユーロ/米ドルは、米ドル/円同様に米金利低下の動きに沿ってユーロ買いが先行。その後はユーロ/円での買いが下支えする一方で、米国とEUとの関税協議が進行中であることから、上値も重たいという流れで一週間を終えました。

7月25日時点では関税協議が難航しているとの見方もありましたが、7月28日早朝に米国とEUの間の関税協議が合意に至ったとの速報が入りました。相互関税、自動車関税とも15%、EUから米国への大型投資と、日米間の合意とまったく同じ結果になり、早朝のユーロは対米ドル、対円とも買いが先行する流れとなっています。

ユーロ/円は7月25日時点で173.607円と直近高値を更新中でしたが、7月28日朝は173.847円まで一段高となり、2024年高値175.422円を視野に入れる流れとなってきました。

米ドル/円チャート(週足)、移動平均線連続2週上抜け確定

長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

【図表1】米ドル/円(週足)
出所:マネックストレーダーFX
【週足チャートの見方】
長期トレンドは20週移動平均線と週足終値との位置関係で判断します。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。

週足チャートでは、先週末時点で、2週連続で20週移動平均線を上抜けて引けましたので長期的に米ドルの押し目買いを優先して考える流れにあります(図表1)。先週前半の下げでトライアングル(黄色)は引き直したほうがよさそうなので、3月24日週高値と7月14日週高値を結んだレジスタンスラインに変更しています。

短期的には日足チャートをご覧ください。

米ドル/円チャート(日足)、7月3日のゴールデン・クロス状態が続く

短期的な判断は日足で行います。

【図表2】米ドル/円(日足)
出所:マネックストレーダーFX
【日足チャートの見方】
短期売買シグナルは5日終値移動平均線(青)と5日始値移動平均線(赤)のゴールデン・クロス(GC)、デッド・クロス(DC)で判断します。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
短期上昇トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の上で推移し、短期下降トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の下で推移します。通常の2本の移動平均線で言えば、終値が短期線の役割、始値が長期線の役割を果たしていると考えるとわかりやすいでしょう。
※マネックストレーダーFXでは、移動平均線の設定画面で始値を選択することができます。

米ドル/円は先週前半の下げで7月22日にデッド・クロスを挟んでいますが、本日28日によほどの急落が無い限りはゴールデン・クロスに転じる流れです。長期トレンドに沿ったゴールデン・クロスとなりますので、今週もまずは円安の動きからのスタートとなりそうです。先週引いた平行上昇チャンネル(青)は先週前半の下げで下抜けたため、1日安値と24日安値を結んだサポートライン(青)を引きました。

当面はこのサポートラインと長期レジスタンスライン(黄)の間で底堅い動きを考えることとなります。

ユーロ/米ドルは買いトレンド継続、上昇ウェッジ内での動きか

ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。

【図表3】ユーロ/米ドル(週足) 長期トレンド=ユーロ買い継続
出所:マネックストレーダーFX
【図表4】ユーロ/米ドル(日足) 短期トレンド=21日にゴールデン・クロスに転換
出所:マネックストレーダーFX

週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態を維持していますが、高値圏でのもみあいということで上昇ウェッジ(黄色)の中での動きを継続、6月30日週の年初来高値1.18294ドルを視野に入れ始めました。

日足チャート(図表4)では7月21日にゴールデン・クロスが点灯して以降はユーロ/米ドルが強い流れが続いています。7月1日高値(=週足の6月30日週)に水平線を引いたことで、サポートとレジスタンス兼ターゲットの位置関係がわかりやすいと思います。米ドル/円同様にユーロ/米ドルも押し目買いの流れということで、次はユーロ/円がどこまで上がるのかが焦点となってきています。

ユーロ/円の長期トレンドはユーロ買いが終わりそうもない流れに

ユーロ/円のチャートをみていきましょう。

【図表5】ユーロ/円(週足) 長期トレンド=ユーロ買い
出所:マネックストレーダーFX

ユーロ/円週足では移動平均線よりも上での動きも年初来安値からのサポートラインとそれに平行に引いたラインとの平行上昇チャンネル(黄)の中での上昇も継続中ですが、チャンネル上限に張り付いた状態です。これまでも高値警戒感について書いてきました。どこまでユーロ高トレンドが続くのかというと、ターゲットは2024年高値175.422円ということになります(図表5)。

【図表6】ユーロ/円(日足) 短期トレンド=ユーロ買い(5月26日ゴールデン・クロス継続中)
出所:マネックストレーダーFX

日足チャート(図表6)では相変わらず5月26日のゴールデン・クロス状態が続いています。なんと2ヶ月以上という過去に見たことが無いレベルでの息の長さです。さすがに上昇チャンネルは下抜きましたが、何かしらサポートラインも必要なので7月1日安値と7月23日安値を結んだライン(青)を追加してあります。このラインが短期的にはサポートとなっていくとさらなる上昇の可能性がありますが、引き続き次のデッド・クロスは注意が必要なことも変わりません。いったんデッド・クロスを挟んだほうが買いで入りやすいこともたしかです。

それでは今週も良いトレードを!