「中東有事」で株安、原油高に円売りで反応
「中東有事」発生を受けて、日本の株価は急落した。中東への原油輸入依存度の高いことなどから、「中東有事」は日本株急落をもたらしたということだろう。そして、円安はそうした日本株の下落などが示す「中東有事」への反応のように見えなくもない(図表1参照)。
日本の中東原油への高い依存度ということからすると、より直接的な影響は中東からの原油供給や原油価格だろう。その観点からすると、原油価格が急騰する中で円安が拡大したのもおかしくない(図表2参照)。以上のことから、中東有事が続き、それを受けた株安、原油高が続くなら、円安も続くということになるだろうか。
「中東有事」後の米ドル高は金利差拡大と連動
イランへの攻撃「中東有事」以降の米ドル高・円安は、基本的には日米金利差(米ドル優位・円劣位)拡大にも沿ったものだった(図表3参照)。その意味では、イラク攻撃後の米ドル高・円安は、世界的な株安などが示した「有事」への反応、そして原油価格急騰への反応とは別に、日米金利差拡大の影響も大きかったのではないか。
そして、その金利差拡大は日本の金利低下以上に、インフレ懸念再燃を受けた米利下げ先送り観測に伴う米金利上昇が大きかった(図表4参照)。こうして見ると、中東有事発生後の米ドル高・円安の主因は、米金利上昇に伴う日米金利差拡大だったのではないか。そうであるなら、それはこの先も続くのか。
原油価格が100米ドルを大きく上回ると、米経済への悪影響を懸念し、米国株も一時急落となった。インフレ、物価高と景気減速が同時進行するスタグフレーション懸念浮上も受けた動きと考えられた。米金利上昇がポジティブな評価とならず、それどころか米景気減速への懸念から米利下げ早期再開の見方から米金利低下で日米金利差縮小となるなら、それでも「有事の米ドル買い」は続くだろうか。
米国株安拡大や米利下げ再開観測でも米ドル買いは続くのか?
イラン攻撃以降、為替相場が米ドル高となったことに対し、中東有事において基軸通貨の米ドルが選好された「有事の米ドル買い」での説明が少なくなかった。ただ、それはトランプ政権発足後の「米ドル離れ」が一変したという意味なのか。そうではなくて、ホルムズ海峡封鎖に象徴される原油などの供給リスクに対する「世界一の産油国」米国が消去法的に選択されたという面が大きかったのではないか。
それにしても、原油価格が一段と上昇するなど、米経済への悪影響の懸念により米国株下落が拡大、米利下げ早期再開観測が浮上するようなら、「有事の米ドル買い」から「有事の米ドル売り」に転換する可能性も出てくるのではないだろうか。
