リバーサル相場とモメンタム相場とは何か

大発会の日経平均株価は1,493円の上昇となり、新春の株式相場は好調なスタートを切りました。これは、2025年10月に日本維新の会が自民党と連携するとの報道を受け、高市氏の首相就任観測が強まった局面で記録された1,603円高以来の大幅な上昇です。

1月は株価が上がりやすいとされる「1月効果」によって、相場の一段高も期待されますが、その局面でどのような銘柄を投資対象として選ぶべきか考えどころでしょう。今後の物色動向を考えるうえで有効な視点となるのが、足元の相場が逆張り(リターンリバーサル)なのか、それとも順張り(リターンモメンタム)なのかという点です。

循環的に銘柄が入れ替わる逆張り相場であれば、足元まで注目を集めてきた銘柄ではなく、相対的に出遅れている銘柄のリターンリバーサルが期待されます。そこで今回は、これまでの1月相場がリバーサル相場になりやすかったのか、それともモメンタム相場になりやすかったのかについて、過去のデータを用いて確認します。

そもそもリターンの「リバーサル」「モメンタム」とは?

リターンのリバーサルとモメンタムについて、あらためて整理しておきましょう。 リバーサルとは、過去の一定期間において下落が大きかった銘柄の株価が、その後に「反転」し、相対的に高いリターンを示す現象を指します。一方、モメンタムとは、過去の一定期間で大きく上昇した銘柄の株価が、その後も「勢い」を保ったまま推移し、高いリターンが継続する現象です。 相場環境によって、リバーサルが優位となる局面と、モメンタムが優位となる局面が入れ替わって現れます。 

特に「相場が変わる節目」では、それまで上昇してきた銘柄が手仕舞い売りによって大きく下落する一方、上昇が小さかった銘柄は相対的に底堅く推移しやすく、リバーサルが起こりやすくなります。これに対して、相場が明確なトレンドを持って上昇し始める局面では、相場を先導する業種や銘柄の上昇が目立つモメンタム相場となります。 

もっとも上昇トレンドが長期化すると、相場に取り残された銘柄の割安感が意識されやすくなり、出遅れ銘柄を見直すリバーサルの物色が強まる傾向があります。ただし、次の局面へ移行するタイミングを事前に見極めるのは容易ではありません。一方で、リバーサル相場とモメンタム相場には一定の季節性が見られることも多く、月別に整理することで相場の特徴を捉えやすくなります。

1月相場はリバーサル優位なのか?データによる検証

さて、こうした相場環境を踏まえると、足元の1月相場がどのような特徴を持っているのかを確認しておく必要があります。結論から述べると、1月にはリバーサルが現れやすい季節性が確認されます。そこで、この点を定量的に検証するため、以下の手順で分析を行いました。

リバーサル戦略とモメンタム戦略のどちらがより高いパフォーマンスを示したか分析手順を解説

リバーサルとは、過去の一定期間において下落が大きかった銘柄が上昇すること、モメンタムとは、過去の一定期間において上昇が大きかった銘柄が、その流れを保ったまま上昇することを指します。今回、一定期間については前月の1ヶ月間としています。

月別に、リバーサル相場とモメンタム相場のいずれになりやすいかを確認するため、月次サイクルにおいてリバーサル戦略とモメンタム戦略のどちらがより高いパフォーマンスを示したかを比較しました。分析対象となる母集団には、十分な流動性を確保する観点からTOPIX500を採用しています。

TOPIX500は、東証上場銘柄の中でも時価総額と流動性がともに高い主要500銘柄で構成される代表的な株価指数であり、実務的な投資分析に適した指数です。具体的には、TOPIX500構成銘柄について、毎月末時点で前月のリターンが低い方から20%に該当する銘柄、すなわち前月に株価下落が大きかった銘柄を抽出し、これらに均等額を投資した場合のパフォーマンスを算出しました。

その結果を示したのが、図表1の赤線グラフです。赤線は、2022年1月以降の累積リターンを表しています。グラフが右肩上がりとなっている期間は、その局面においてリバーサル戦略が有効であったことを意味します。

【図表1】モメンタム戦略とリバーサル戦略(TOPIX500):上昇すれば該当戦略が効果的
注1:データ期間は2021年1月から2025年12月。データサイクルは月次
注2:母数はTOPIX500構成銘柄
注3:「リバーサル投資」は毎月末時点で母数のうち同月のリターンが低い方から20%に該当する銘柄に等金額投資した場合の翌月のリターンを算出して、対象となる月の母数全体に等金額投資した場合のリターンを引いた超過分を求めて、2022年1月以降で累積している
注4:「モメンタム投資」は毎月末時点で母数のうち同月のリターンが高い方から20%に該当する銘柄に等金額投資した場合の翌月のリターンを算出して、対象となる月の母数全体に等金額投資した場合のリターンを引いた超過分を求めて、2022年1月以降で累積している
出所:QUICK Workstation Astra Managerを用いて、マネックス証券作成

分析期間全体を通じて見ると、2022年は赤線グラフが概ね上昇基調を描いており、リバーサル戦略が優位な相場環境であったことが分かります。当時は、2月のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとした地政学リスクの高まりに加え、その影響による物価上昇や、オミクロン株による新型コロナウイルス感染拡大などが重なり、景気の先行きに対する不透明感が強まっていました。

こうした環境下で株式市場は年間を通じて調整色の強い展開となり、明確なテーマや成長ストーリーに欠けるなかで、循環的な物色が進んだことが、リバーサル相場となった背景と考えられます。

季節性は平均的な傾向にすぎず、毎年再現されるものではない点には注意

ところで、毎年1月の傾向に着目すると、図表1に付した3つの丸印では、赤線で表したリバーサル戦略の累積パフォーマンスは、いずれの年においても1月に上昇しています。一方、2023年から2025年までの3回の1月では、モメンタム戦略の累積パフォーマンスが低下しており、1月はモメンタム戦略が機能しにくい局面となりやすいことが示されています。 

もっとも、2022年1月については、図表1の四角印が示すとおり、モメンタム戦略の累積パフォーマンスがやや上昇しており、この年の1月がモメンタム相場であったことが確認できます。当時は、ロシアによるウクライナ侵攻前であり、景気減速が本格化する前の局面でした。前年までの物色の流れが持続しやすい環境にあったことが、モメンタム相場となった背景と考えられます。 

このように、季節性とは過去データから導かれる平均的な傾向であり、毎年必ず同じ値動きが再現されるわけではない点には注意が必要です。

1月は逆張り、2月は順張り、季節性から考える投資戦略

1月はリバーサル相場となりやすい傾向

次に、図表1の赤線グラフは超過リターンの累積値を示したものですが、リバーサル相場とモメンタム相場のいずれになりやすいかという月別の季節性を把握するため、2006年6月以降のデータを用いて、それぞれの戦略の単月の超過リターンを月別に平均しました。その結果を示したのが、図表2です。 

1月におけるリバーサル戦略の平均超過リターンは0.69%となりました。これは、分析期間中に19回ある1月のリバーサル戦略の超過リターンを平均した値です。値が大きくプラスであるほど、その月がリバーサル相場であったことを意味しますが、1月はリバーサル戦略がプラスとなる一方で、モメンタム戦略は平均的にマイナスとなっており、1月はリバーサル相場となりやすい傾向があることが分かります。 

【図表2】モメンタム戦略とリバーサル戦略の月別季節性
注1:データ期間は2006年6月から2025年12月までの集計、データサイクルは月次
注2:母数はTOPIX500構成銘柄
注3:毎月末時点で前月のリターンが高い方から20%に該当する銘柄に等金額投資した場合をモメンタム戦略として翌月のリターンを算出。そして対象となる月の母数全体に等金額投資した場合のリターンを引いた超過分を求めて月別に平均している。一方、毎月末時点で前月のリターンが低い方から20%に該当する銘柄に等金額投資した場合をリバーサル戦略として同様に処理している
注4:モメンタム戦略とリバーサル戦略を比較して、効果が上回っている月は太字、背景に色付け
出所:QUICK Workstation Astra Managerを用いて、マネックス証券作成

2月はモメンタム相場になりやすい傾向

これに対して、2月はモメンタム戦略の平均超過リターンが0.46%とプラスとなっており、モメンタム相場となりやすい季節性が示されています。 このように、「1月はリバーサル相場、2月はモメンタム相場」という傾向は、いわゆる1月効果と、その後の相場の平均的な推移を踏まえると、比較的理解しやすいものです。

連載コラム「吉野貴晶のなるほど株価の法則」の1月5日付のレポート「1月効果の先を読む:節分天井と彼岸底は本当に存在するのか」では、年初から3月のお彼岸前後にかけての相場の平均的な値動きを検証しました。その結果、1月効果による株価上昇は、2026年で言えば2月3日の節分後から概ね2月いっぱいにかけて、下落に転じるというよりも、上値が伸び悩む局面になりやすいことが確認されています。

 1月効果の背景としては、新年を迎えてクリスマス休暇から戻った外国人投資家による買い戻しや、前年末に行われた個人投資家の損益通算に伴う売りの反動が挙げられます。その結果、前年12月に下落した銘柄が見直されやすく、1月はリバーサル相場となりやすい傾向があります。一方で、節分後には株価が伸び悩む傾向があるものの、相場全体が大きく下落するわけではないなか、1月効果で上昇してきた銘柄は上昇の勢いこそ鈍るものの、その傾向を緩やかに持続しやすくなります。こうした流れが、2月にモメンタム相場が現れやすい背景と考えられます

スクリーニングの結果は?日東紡績(3110)、三井海洋開発(6269)、任天堂(7974)など参考銘柄15選

2025年12月に株価の下落が大きく、業績の底堅さがある銘柄を抽出

こうした背景を踏まえ、マネックス証券のウェブサイトで提供されている「銘柄スカウター」の10年スクリーニング機能を活用し、1月効果が期待されるリバーサル銘柄の抽出を行いました。対象は、東証プライム市場に上場する銘柄のうち、時価総額3,000億円以上の企業としています。

具体的には、「銘柄スカウター」の10年スクリーニングを用い、2025年末時点で過去1ヶ月間の騰落率が低位にある銘柄、すなわち12月に株価下落が大きかった銘柄を抽出しました。 もっとも、単に下落しているという理由だけでリバーサルを期待するのではなく、その背景に業績の底堅さがあるかどうかも重要な判断材料となります。

業績が堅調であるにもかかわらず、短期的な需給要因などで株価が下落した銘柄ほど、その後の見直しによるリバーサルが起こりやすいと考えられるからです。そこで、業績面からのフィルターも加え、以下の基準を設定しました。

・実績ROE:8.00%以上
・実績ROA:3.00%以上
・今期の営業増益率:3.0%以上
・来期の営業増益率:3.0%以上

これらの条件を満たしたうえで、過去1ヶ月間の騰落率が10%を超えて下落した15銘柄を抽出し、図表3に示しています。これらは、1月効果によるリバーサルが期待される参考銘柄です。 さらに、これらの銘柄は1月に株価上昇が期待され、実際にその動きが確認された場合には、2月に見られやすいモメンタム相場においても、保有を継続する戦略が有効となる可能性があります。投資判断の一助として、参考にしてみてください。

【図表3】スクリーニング結果(対1ヶ月騰落率の小さい順:下落が大きい順)
※東証プライム上場
[基礎条件]
市場:東証プライム、業種:水産・農林・鉱業・建設・食料品など、時価総額:3,000億円~
[詳細条件] [株価]騰落率:指定なし、[指標]実績ROE:8.00%~、[指標]実績ROA:3.00%~、[今期コンセンサス]増益率(営業利益):3.0%~・3人以上、[来期コンセンサス]増益率(営業利益):3.0%~・3人以上
出所:マネックス証券ウェブサイト マネックス銘柄スカウター(2025年12月30日時点)

銘柄スクリーニングの条件設定について

実際の銘柄スクリーニングの入力項目は以下の通りとなります(図表4)。ご参考ください。

【図表4】スクリーニングの条件設定画面(銘柄スカウター)
出所:マネックス証券ウェブサイト 銘柄スカウター(ログイン後 ― 投資情報 ―ツール― マネックス銘柄スカウター ― 10年スクリーニング、2025年12月30日時点)