原油決済通貨である米ドル需要増の思惑で米ドル全面高

米国・イスラエルとイランの戦争を受け、跳ね上がった原油価格。3月9日にはWTI原油価格が一時119ドル台にまで上昇しました。トランプ米大統領が「戦闘はまもなく終了するだろう」と発言したことなどを受け、原油価格は80ドル台にまで下落しました。ただし、それでも開戦前の60ドル台からみれば、水準は大きく切りあがっています。

原油高の決済通貨は米ドルが主軸です。このため、原油高は米ドル需要増加につながり、為替市場では米ドル高が進みました。原油の高止まりが続けば米ドル高圧力も続くとみられ、米ドル円相場は160円方向を目指す展開とみられます。

一方、1月には日米協調レートチェックがあったことを思い返すと、日米通貨当局は足元の円安・米ドル高を容認しにくいとみられます。そのため、米ドル/円相場で米ドル買いをする場合は、常に介入警戒がつきまとうことになります。

豪ドルが年初来高値更新、3月17日RBA会合での利上げ予想も

ここで注目したいのが豪ドルです。イラン有事で米ドル全面高となる中、豪ドルも短期的な下落を強いられました。しかし、豪ドル/米ドルも豪ドル/円も大きくリバウンド、年初来の高値を更新しています。

豪州はそもそもインフレが強く、2026年2月3日のRBA(豪州準備銀行)会合で0.25%の利上げを実施、豪州の政策金利は3.85%に引き上げられました。さらに3月17日のRBA会合でも利上げが予想されており、0.25%利上げの確率が75%に上昇しています(3月11日時点)。

また、ナショナルオーストラリア銀行(NAB)は、RBAが5月にも追加利上げに動き、豪州政策金利が4.35%となりピークに達するという予想を発表しています。現在の米国の政策金利は3.5-3.75%であり、「豪州の政策金利が米国を上回る」ということが足元の豪ドル高の背景です。加えて、原油や天然ガスの価格が急騰したことも、豪ドル高の大きな牽引材料となっています。

原油の純輸入国の豪ドルが上昇するわけ

実はオーストラリアは原油の純輸入国ですが、鉄鉱石・石炭・天然ガス(LNG)の世界的な輸出大国でもあります。日本のLNG輸入量の約35~40%を豪州が占めています。また、発電用の一般炭や製鉄用の原料炭ともに豪州が最大の供給国であり、日本の石炭輸入の約60%前後が豪州産です。今回の中東のエネルギー危機で豪州のLNGや石炭が代替供給源として注目されているのです。

現実には、LNGは長期契約が主体であり、決済も米ドル建てで、直接豪ドル需要が急増しているというわけではありません。ただ、中東リスクが長引けば長引くほど、中東リスクから離れた豪州のエネルギーへの依存度を強める動きにつながっていくと思われます。こうした見方が、豪ドル高につながっているものと考えられます。

米ドル/円相場が介入警戒で膠着感が強まる中、インフレが強くエネルギー資源が豊富な豪ドルに着目してみるのも一つの戦略と言えるでしょう。