利上げ観測後退後の債券市場の動きに注目
先週の日経平均は前週末比1,945円高の6万8309円で引け、3週連続の上昇となった。週半ばには2日間で3,400円を超える急騰を演じ、週末はその反動で売られたが、6万8000円に近づく局面では押し目を拾う買いが強かった。指数を押し上げているのはAI・半導体の値がさ株であり、物色の裾野は広がっていない。TOPIXの上昇が鈍っていることが示すように、金利上昇はそれ以外のセクターに逆風として効いているようだ。
週末の米9月雇用統計は弱かった。非農業部門雇用者数は2万9000人増と市場予想の3分の1にも届かず、7月・8月分も合計6万人下方修正された。失業率は4.2%へ上昇し、平均時給の伸びも前年比3.0%に鈍化している。これによって10月27-28日のFOMCでの追加利上げ観測は後退した。米国株は素直に好感し、主要指数はそろって上昇した。
僕が注目するのはその後の債券市場の動きである。10年債利回りは発表直後に5.15%台まで低下したが、NY午後には5.296%まで切り返した。景気指標が弱く、利上げ観測が後退しているのに長期金利が下がらない。これが極めて重要な動きだ。前日には仏国債売りにつられて米10年債利回りが一時2002年以来の5.34%に達していた。いろいろな場で「資本の奪い合いが起きている」と発言しているが、資本コストの構造的な上昇という点が、どこかで株価の天井を意識させる日がそのうち来るだろう。
国内では5日に臨時国会が召集され、高市首相の所信表明演説が予定されている。財政拡張があらためて意識され、国債利回りの一段の上昇につながる可能性が警戒されている。6日は植田日銀総裁の発言が焦点となる。9月の東京都区部CPIで物価上昇の加速が確認されており、総裁が追加利上げに前向きな姿勢を強めるかが注目される。
ほかに7日にはTOPIX新規採用銘柄が発表される。8日のファーストリテイリング(9983)とセブン&アイ・ホールディングス(3382)、9日の安川電機(6506)など6-8月期決算の発表も本格化する。米国では5日のISM非製造業景況指数と9日のミシガン大学消費者信頼感指数くらいしか経済指標がないが、相場の材料になるほどのものではない。9日はオプションのSQ算出日であり、翌12日はスポーツの日で3連休となる。週末にかけてはポジション調整が出やすい。
金利高・原油高が株価の上値を抑える悪材料に
日経平均は75日移動平均線(6万6764円)を明確に上抜けており、押してもここが支持線となるだろう。週末の米国株高を受けて、週明けは6万9000円台からのスタートが見込まれる。半導体主導で7万円の大台に挑む場面はあるだろう。
ただし、景気が鈍っても金利が下がらない局面では、PERの拡大余地は限られる。日経平均は値がさ株に支えられても、TOPIXやバリュー株、内需株は上値が重そうだ。米国とイランの対立長期化懸念で原油が高値圏にあることも、インフレと金利の両面で株価の上値を抑える悪材料として意識されるだろう。
予想レンジは6万7000円-7万500円とする。
