10月7日公表、次期TOPIXへの新規追加銘柄&移行措置銘柄

2026年10月7日、東京証券取引所から、次期TOPIX(東証株価指数)への新規追加銘柄と移行措置銘柄がウェブサイトを通じて公表されました。

次期TOPIXでは、10月30日から新しい銘柄選定ルールの適用が始まります。これまでのTOPIXは、基本的に東証プライム市場に上場すると組み入れ対象となる仕組みでした。しかし、次期TOPIXでは市場区分にかかわらず、時価総額や株式の流動性などを基準に銘柄を選ぶ仕組みに変わります。このため、スタンダード市場やグロース市場に上場する銘柄でも、一定の基準を満たせばTOPIXに組み入れられるようになります。

一方、今回公表された「移行措置銘柄」とは、新しい銘柄選定基準を満たさず、将来的にTOPIXから除外される可能性がある銘柄です。ただし、一度に除外されるのではなく、指数への影響を抑えるため、2028年にかけて段階的に組み入れ比率が引き下げられます。

今回の見直しでは、35銘柄が新規追加され、683銘柄が移行措置銘柄となりました。10月末時点のTOPIX構成銘柄数は1,669銘柄となりますが、移行措置銘柄がすべて除外された場合には986銘柄となる計算です。

これまで本連載でも、次期TOPIXの銘柄選定ルールや、銘柄入れ替えが株式市場に与える影響について取り上げてきました。今回は、実際に公表された新規追加銘柄と移行措置銘柄に注目し、今後の株価への影響や投資機会について考えてみたいと思います。

次期TOPIXの新規追加35銘柄が決定!事前予想はおおむね的中

次期TOPIXの銘柄選定については、東京証券取引所から、2026年8月末時点のデータを基準に行うことが事前に公表されていました。そのため、あらかじめ公表されたルールに基づいて、どの銘柄が新たに追加され、どの銘柄が移行措置の対象となるのかをシミュレーションすることが可能でした。

実際、2026年9月2日付の本連載記事「【日本株】TOPIX大改革の注目銘柄は?追加・除外シミュレーションと市場への影響」では、新規追加候補銘柄と移行措置の対象になると見込まれる銘柄を取り上げましたが、今回の公表結果はおおむね予想どおりとなりました。

図表1は、10月7日に東京証券取引所から公表された新規追加35銘柄について、同日時点の時価総額が大きい順に並べたものです。

【図表1】次期TOPIXへの新規追加35銘柄(時価総額の大きい順)

コード 会社名 市場区分 業種 株価終値
(10月7日)
(円)
時価総額
(10月7日)
(億円
)
(2702) 日本マクドナルドホールディングス スタンダード 小売業 7,690 10,225
(6890) フェローテック スタンダード 電気機器 12,170 6,580
(4816) 東映アニメーション スタンダード 情報・通信業 2,923 6,138
(141A) トライアルホールディングス グロース 小売業 3,930 4,829
(6960) フクダ電子 スタンダード 電気機器 11,820 4,462
(7564) ワークマン スタンダード 小売業 5,250 4,297
(4966) 上村工業 スタンダード 化学 22,140 4,007
(9436) 沖縄セルラー電話 スタンダード 情報・通信業 4,095 3,780
(7806) MTG グロース その他製品 9,350 3,765
(6834) 精工技研 スタンダード 電気機器 7,270 3,393
(2782) セリア スタンダード 小売業 4,275 3,242
(581A) GO グロース 情報・通信業 3,730 3,057
(6777) santec Holdings スタンダード 電気機器 25,300 3,026
(7716) ナカニシ スタンダード 精密機器 1,511 2,787
(485A) パワーエックス グロース 電気機器 2,168 2,527
(6736) サン電子 スタンダード 電気機器 9,810 2,355
(2160) ジーエヌアイグループ グロース 医薬品 3,455 2,275
(7906) ヨネックス スタンダード その他製品 2,390 2,220
(4478) フリー グロース 情報・通信業 3,510 2,099
(290A) Synspedtive グロース 情報・通信業 1,500 2,016
(4107) 伊勢化学工業 スタンダード 化学 3,925 2,016
(4588) オンコリスバイオファーマ グロース 医薬品 6,350 1,874
(2805) ヱスビー食品 スタンダード 食料品 6,810 1,855
(6366) 千代田化工建設 スタンダード 建設業 673 1,752
(186A) アストロスケールホールディングス グロース サービス業 1,211 1,721
(7287) 日本精機 スタンダード 輸送用機器 2,825 1,652
(6227)  AIメカテック スタンダード 機械 8,590 1,619
(1723) 日本電技 スタンダード 建設業 2,351 1,542
(1965) テクノ菱和 スタンダード 建設業 2,374 1,512
(215A) タイミー グロース サービス業 1,435 1,446
(593A) ティアフォー グロース 情報・通信業 2,135 1,356
(8117) 中央自動車工業 スタンダード 卸売業 2,120 1,273
(5161) 西川ゴム工業 スタンダード ゴム製品 3,440 1,273
(8508) Jトラスト スタンダード その他金融業 788 1,052
(6613) QDレーザ グロース 電気機器 2,254 950

注:2026年10月7日に東京証券取引所が公表した新規追加銘柄を対象とする。株価終値および時価総額は2026年10月7日時点。時価総額の大きい順に掲載。新規追加は2026年10月30日に実施される。
出所:東京証券取引所、QUICK Workstation Astra Managerを用いて、マネックス証券作成

165兆円のTOPIX連動資金、新規追加銘柄への買い需要は?

ここで注意したいのは、TOPIXへの新規追加が決まったからといって、それぞれの銘柄にどの程度の買い需要が発生するのかが、すぐに分かるわけではないという点です。

TOPIXは、構成銘柄の時価総額を基準に組み入れ比率(ウエイト)を決める株価指数ですが、単純な時価総額をそのまま使うわけではありません。実際には、大株主などが保有する市場で売買されにくい株式を除くため、時価総額に「浮動株比率」を掛けた「浮動株調整後時価総額」を使ってウエイトを計算します。

今回の新規追加銘柄についても、10月30日から適用される浮動株比率によって、実際のTOPIXにおけるウエイトが決まります。ただし、この浮動株比率は一般に広く公開されていないため、現時点では各銘柄の正確なウエイトを把握することは難しい状況です。

TOPIXに連動する運用資産は、約165兆円に達すると試算されます。この推計の考え方については、前述の2026年9月2日付の記事で詳しく説明しました。これだけ巨額の資金がTOPIXに連動して運用されているだけに、構成銘柄の変更による株式需給への影響は無視できません。ただし、個別銘柄への買い需要や売り需要を精度高く推計するためには、実際に適用される浮動株比率を把握する必要があります。

したがって、現段階では個別銘柄への資金流入・流出の規模を正確に見積もることには限界があります。それでも、TOPIXへの新規追加銘柄には指数連動資金による買い需要が期待される一方、移行措置銘柄には今後の組み入れ比率の引き下げに伴う売り圧力が意識されやすくなります。

今回の公表によって、こうした株式需給の変化が見込まれる銘柄が明らかになったことは重要です。今後は、10月末の次期TOPIXへの移行に向けて、新規追加銘柄へのプラスの影響と、移行措置銘柄へのマイナスの影響の双方に注目していく必要があるでしょう。

短期的な痛みを乗り越え、TOPIX改革は日本株の成長につながるか

次期TOPIXへの移行など、株価指数の変更には「痛み」を伴います。この点については、2026年10月5日付の本連載記事「【日本株】TOPIX大改革は『痛み』を伴う?良い株価指数の条件と投資機会を考える」でも取り上げました。

その理由は、新たに追加される銘柄は、実際にTOPIXに組み入れられる前から買われやすい一方、除外される銘柄は、TOPIXから外れる前から売られやすいためです。追加銘柄の株価上昇は組み入れ前のTOPIXには反映されませんが、除外銘柄の株価下落は、除外されるまでTOPIXに反映されます。このため、銘柄入れ替えの過程では、TOPIXのパフォーマンスに下押し圧力がかかる可能性があるのです。

こうした影響を和らげるため、今回のTOPIX改革では、移行措置銘柄を一度に除外するのではなく、2026年10月から2028年にかけて、四半期ごとに段階的に組み入れ比率を引き下げる仕組みが採用されています。また、2027年10月には銘柄の再評価も予定されており、一定の基準を満たした銘柄については、除外を回避できる可能性もあります。

では、こうした痛みを伴ってまで、なぜTOPIXを改革するのでしょうか。

より日本の株式市場の実態を反映する株価指数へ

重要なのは、株価指数としての質を高めることです。前述の10月5日付の記事では、良い株価指数に求められる条件として、運用成果を評価する基準(ベンチマーク)としての「市場代表性」と、インデックスファンドなどで実際に運用できる「投資可能性」や「再現性」を挙げました。

今回の改革では、これまでのようにプライム市場への上場を基本的な組み入れ条件とするのではなく、市場区分にかかわらず、時価総額や流動性を重視して銘柄を選びます。例えば、日本マクドナルドホールディングス(2702)のようなスタンダード市場の大型企業や、タクシー配車アプリを展開するGO(581A)のようなグロース市場の企業も新たに加わります。これによって、日本の株式市場の実態をより幅広く反映する指数となり、市場代表性の向上が期待されます。

また、流動性の高い銘柄を重視することで、インデックスファンドが実際に構成銘柄を売買しやすくなり、指数に連動した運用を行いやすくなることも期待されます。さらに、インデックス運用の対象としても、市場全体を適切に代表する指数であることは重要です。今回の改革は、市場代表性と投資可能性の双方を高める取り組みといえるでしょう。

スタンダード市場やグロース市場の成長企業の株価上昇も反映

もう1つ注目したいのは、これまでTOPIXに新たに組み入れられにくかったスタンダード市場やグロース市場の成長企業が、今後は組み入れ対象となることです。こうした企業の成長が株価上昇につながれば、その成果をTOPIXにも取り込めるようになります。その意味では、短期的には銘柄入れ替えに伴う痛みがあっても、長期的には従来のTOPIXよりも成長企業の株価上昇を反映しやすい指数になることが期待されます。

さらに、今回の改革は日本の株式市場全体の活性化にもつながる可能性があります。今後は定期的に銘柄が見直されるため、プライム市場に上場しているというだけでは、TOPIXへの組み入れを維持できません。企業には、収益力や企業価値を高め、投資家からの評価を向上させることが一段と求められます。

特に、今回の移行措置銘柄にとっては、株式の流動性を高めることが重要な課題となります。例えば、株式分割などによって投資家が売買しやすい環境を整えることも、一つの対応策でしょう。また、ROE(自己資本利益率)の改善や株主還元の充実などを通じて、企業価値を高めていくことも重要です。今回の改革をきっかけに、経営者の資本効率や株価に対する意識が一段と高まることが期待されます。

移行期間中は注意も必要

ただし、短期的な投資では注意も必要です。次期TOPIXへの移行は段階的に進められるため、今後1年程度の期間で見れば、銘柄入れ替えに伴う需給の影響によって、従来のTOPIXの構成銘柄を維持した場合よりもパフォーマンスが劣る可能性があります。

それでも、今回の改革は、より市場の実態を反映し、投資家にとって使いやすい株価指数を目指すものです。短期的な株式需給への影響には注意しながらも、長期的にはTOPIXの質の向上と、それを通じた日本株市場の活性化に期待したいと思います。