今週(11月7日~11月13日)の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米国の給付金政策期待と政府閉鎖解除を背景に10万ドル台を維持
ビットコインは、株式市場の調整リスクやステーブルコインへの信用不安が重石となったものの、米国の給付金政策や政府閉鎖解除への期待が下支えとなり、BTC=100,000ドル(約1,545万円)付近では底堅く推移した。
週初は、割高感が意識されるハイテク株の調整懸念や、新興ステーブルコインの相次ぐデペッグ問題が市場心理を冷やし、ビットコインは一時BTC=100,000ドル(約1,545万円)を割り込んだ。しかし、ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]顧客によるビットコインETF保有増加や同社の強気レポートが材料視されると買戻しが強まった。
さらにトランプ米大統領が関税収入を原資に国民へ2,000ドルを配布する構想を示したことで流動性期待が高まり、ビットコインはBTC=105,000ドル(約1,622万円)を回復。加えて、米政府閉鎖解除の可能性が報じられるとBTC=107,000ドル(約1,653万円)付近まで上昇した。
その後、ソフトバンク(9434)によるエヌビディア[NVDA]株の全売却報道などを受けてAI・半導体関連株の調整懸念が再燃すると、ビットコインも連れ安する展開となった。ビットコインETFからの資金流出も加速し、BTC=101,000ドル(約1,560万円)付近まで大幅下落した。
それでも、つなぎ予算の可決で米政府閉鎖解除の見通しが立ったほか、SEC(米証券取引委員会)が暗号資産分類基準の明確化に言及したことで安心感が広がった。米国におけるソラナETFへの資金流入やリップルETFの追加承認への期待も下支えとなり、週末にかけてはBTC=100,000ドル(約1,545万円)超でのもみ合いとなった。
※11月13日の米国株の大幅下落の流れを引き継いで、本稿執筆時点(11月14日午前10時)はBTC=100,000ドル(約1,545万円)を割り込んで軟調推移。
来週(11月14日~11月20日)の相場予想
BTC(ビットコイン)は米政府閉鎖解除と指標空白の狭間で方向感を探る展開か
来週のビットコインは、米政府閉鎖解除を受けたリスク選好の回復が追い風となる一方、主要経済指標の空白が続くなかで上値の重さも残り、方向感を探る展開が予想される。
米政府閉鎖が解除されたことで、市場では過度な政治リスクが後退し、リスク資産全般に買いが広がる可能性がある。ビットコインもこの流れを受けやすいが、AI・半導体関連株を中心にオーバーバリュエーションへの警戒は根強く、株式市場が伸び悩めば上昇余地は限定的となりそうだ。
また、政府閉鎖の影響で延期されていた10月の米雇用統計および消費者物価指数は、来週も公表されない公算が大きい。市場は明確な方向性を示すデータに乏しいまま、企業決算やFRB(米連邦準備制度理事会)当局者の発言を手掛かりに神経質な展開が続くだろう。
そのなかで、来週発表予定のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨には注目である。パウエルFRB議長の会見と同様にタカ派的な内容となれば、金利先安観が後退し、株式・暗号資産に売り圧力が及ぶリスクがある。
一方で、ビットコインはすでに高値から20%超の調整を経ており、過度なポジションの巻き戻しは一巡しつつある。さらに、米国ではSEC・CFTC(米商品先物取引委員会)による規制明確化に向けた協議が続いているほか、アルトコインETFの審査が進展しており、株式市場が弱含む場合でも相対的に底堅い値動きを示すことも想定される。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=110,000ドル(約1,699万円)、下値はBTC=95,000ドル(約1,467万円)を意識する。
