原油市場は神経質な値動きが続く

2月28日に米国・イスラエルがイランに攻撃を開始しました。初日から最高指導者ハメネイ師の死亡も報じられています。

軍事拠点は次々と破壊されている模様で、2025年の「12日間戦争」で傷んだイランの防空能力が、なお十分には回復していなかったことも露呈した格好です。さらに、指揮系統が混乱しているのか、イランは報復措置として近隣諸国への攻撃にも踏み切りました。サウジアラビア、UAE、カタール、バーレーン、クウェート、ヨルダンなどに攻撃を実行し、一部では建物被害も伝わっています。

イランがこうした貿易・エネルギー面で結びつきの強い近隣国にまで攻撃を広げてしまったことで、イラン側が冷静な戦略判断を失いつつあるように筆者には映ります。産油国まで敵に回してしまったことで、外交・軍事の両面で極めて厳しい立場に追い込まれたと言えるでしょう。今後は、イランが完全降伏、あるいはそれに近い大幅な譲歩を迫られる展開も十分に想定されます。

また、ホルムズ海峡封鎖についても、仮に短期的な妨害があったとしても、米国側がイランの攻撃能力を速やかに削いでいく可能性が高く、中東産原油の長期的な供給不安には発展しにくいと個人的にはみています。原油市場は神経質な値動きが続くとみられますが、情勢が一方向に悪化し続けるシナリオは、現時点ではメインではないと考えています。

BTC/JPY、三角保ち合い上抜けに期待

地政学リスク、暗号資産値動きへの影響は限定的

2月初旬の急落から、すでに3週間以上が経過しました。マーケット全体にはまだダメージが残っており、目先は小動きの展開が続いています。もっとも、週末にイスラエルと米国がイランを攻撃したにもかかわらず、日足レベルで確認すると値動きへの影響はすでに限定的です。このあたりを見る限り、地政学リスクの相当部分は事前に織り込まれていた可能性が高いでしょう。

【図表1】BTC/JPY 日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPY日足チャート分析です。このまま時間の経過とともに、相場は徐々に反発局面へ移行していくと考えています。MACDも0.00付近まで回復する程度の戻りは十分に意識できるため、基本戦略は先週更新したコラムどおり、押し目買い目線を継続したいところです。

保ち合いブレイクで、上方向にブレイクか 目安は1,100万円方向

BTC/JPY4時間足チャート分析です。時間足レベルでも、きれいな三角保ち合いが形成されています。SMA30(黄)とSMA90(水色)はすでに重なっており、短期的には方向感を失っている状態です。

ただし、こうした収縮局面のあとは、どちらかに値幅が出やすくなります。筆者は目先、上方向へのブレイクを想定しており、SMA200(橙)に向かう展開を予想しています。その場合、レンジ相場を一段切り上げる可能性があり、買いトレードを狙いやすい局面に入ってくるでしょう。

【図表2】BTC/JPY 4時間足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

今週(3月2日週)前半は、1,100万円到達をひとつの目安として、やや強気の姿勢で臨みたいと考えています。

ETHもレンジ継続、リスクオフの反応はかなり限定的

ETH/JPY日足チャート分析です。ETHもBTC同様に三角保ち合いを形成中で、戦時局面であるにもかかわらず、悲観一色の大幅下落には至っていません。

2月からのレンジ内にしっかり収まっていることから、戦時を警戒した投げ売りは、ある程度事前に出尽くしていたと考えられます。MACDも0.00方向へじわりと切り上がる兆しを見せており、あと1週間ほどは回復基調を維持する可能性があるでしょう。

【図表3】ETH/JPY 日足
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

一方で、日経平均は本日軟調に推移しており、原油・金・銀なども含めて各市場は非常に荒い値動きとなっています。ただ、暗号資産市場に関しては、パニック的な崩れ方にはなっておらず、むしろ地政学リスクに対する耐性の強さが目立ちます。

2024年、2025年のイスラエル・イランを巡る戦時局面でも、攻撃直後に一時的なリスクオフが出たあと、結果的には買い戻しが優勢となる場面が目立ちました。

今回も、米国・イスラエル側が軍事的優位を維持し、戦況が短期で収束に向かうなら、リスクオフ相場は比較的早い段階で落ち着き、売られた資産が買い戻される流れに戻る可能性があるでしょう。こうした点を踏まえると、暗号資産は引き続き一定レベルの回復余地があるとみています。しばらくは買い目線を継続し、大幅反発に期待したいところです。

今週(2026年3月2日週)のポイント

• 米国とイスラエルがイランを攻撃したが、暗号資産市場の反応は比較的限定的。
• イランは軍事・外交の両面で厳しい状況に追い込まれつつあり、長期戦よりも早期の劣勢シナリオを想定。
• BTC/JPYは日足・4時間足ともに三角保ち合いを形成しており、上放れなら1,100万円方向を意識。
• ETH/JPYもレンジ内推移が続いており、投げ売りは一巡、MACDも徐々に回復基調。
• 地政学リスクは残るものの、相場は「Buy the rumor(バイ・ザ・ルーマー)」傾向を強める可能性があり、基本は押し目買い目線を継続。