2月のビットコイン下落背景:資産横断のリスクオフと投資妙味の後退

・年初に急伸していた金・銀が、次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長のタカ派人事観測をきっかけに2月に大きく調整し、株式も含めた資産横断のリスクオフが波及した。横ばいだったビットコインは9万ドル圏から崩れ、一時6万ドル台まで下落後、足元では6万ドル台前半で推移している。

・年初来パフォーマンスで暗号資産が株式や金を下回った。日経平均は上昇が続く一方、米株は弱含みで、非国家的な資産としての金の物色が相対的に強かった。一方、ビットコインやイーサリアムなど暗号資産は大きく下げた。

・需要減退の3つの観点として、 ①高ボラティリティの割に株を上回る超過リターンが得られず、「リスクを取る必然性」が弱まった。 ②「デジタルゴールド」として実物の金に劣後し、投資妙味が薄れた。 ③「アナーキズムの象徴」として、非国家・非金融機関的な資産という本来の価値観から、ETFや政府・金融機関依存の成長シナリオへシフトし、初期投資家が注目していた魅力が後退した。 などが挙げられる。

さらなる下落リスク:暗号資産関連企業の信用不安と規制の不確実性

・2026年2月、機関投資家向け暗号資産取引サービスのBlockFills社が入出金停止を公表。過去には入出金停止の直後に企業破綻が相次いだ前例があり、同様の事例が連鎖すれば追加下落要因となる。

・企業のビットコイン保有拡大――例:メタプラネット(3350)、ストラテジー[MSTR]により、相場下落局面で企業側の信用イベントが価格下押しを増幅するリスクがある。大規模破綻が生じれば下値模索が加速する可能性がある。

・下支え材料として、米国の規制整備(いわゆるクラリティ法案)に引き続き注目したい。ベッセント米財務長官が3月1日までの取りまとめを指示している。早期成立なら不透明感が後退し、機関投資家や新規プレイヤーの資金回帰が進む余地がある。一方で、審議の長期化と暗号資産関連企業の業況悪化が重なった場合、回復が長期化し、6万ドル近辺から5万ドル、さらに下の水準を試すシナリオも考えられる。

見通しと下値メド:半減期サイクルと今回サイクルの相違点

・ビットコインは4年に一度、新規に発行される仮想通貨の量が半分になる「半減期」がある。半減期アノマリーでは、半減期の翌年末に高値を付け、さらにその翌年に下落するパターンが歴史的に多い。実際に2024年に半減期を迎え、2025年に価格のピークを打ち、さらにその翌年である2026年に下落と、アノマリー通りの値動きとなっている。過去3回の下落率は70~80%に達した例があり、同程度なら4万ドル割れも射程に入る。

・もっとも、今回は米国の現物ETF上場や機関投資家・企業参入の進展という相違点があるため、過去比で下落率が小さくなる余地がある。下落率が約60%にとどまるケースでは5万ドル前後が意識される。

・目先は下げ余地を残しつつも底入れ接近の見方。想定より大きな信用イベント(例:マウントゴックス破綻級の事象)が重ならない限り、極端な70%超のドローダウン確率は相対的に低下していると見られ、ビットコインは5万ドル近傍が当面の重要水準となる。