現在のファンダメンタルズ:CPI(消費者物価指数)は予想通り、FOMC(米連邦公開市場委員会)への影響はなし

先週(9月8日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)

・米ドル/円:  146.308円~148.570円    147.675円
・ユーロ/米ドル:1.16580ドル~1.17799ドル    1.17206ドル
・ユーロ/円:  172.136円~173.906円       173.265円

先週(9月8日週)の米ドル/円: 雇用統計年次改定推定値は大幅下方修正

9月8日の米ドル/円は、9月7日の夕方に石破首相が辞任の意向を固め会見において新総裁を選ぶ手続きの実施を幹事長に伝え、自身は立候補しないとしたことを受け円安に振れて始まりました。仲値前には週間高値となる148.570をつけましたが前週高値はトライできずに反落しました。欧州市場序盤には147円台半ばをつけ、FOMCに向けて米ドルの上値が重いと見る動きから、NY引け前には147円台前半へと東京早朝のギャップを埋め前週末終値へと押す動きが見られました。

9月9日も9月8日の海外市場の流れを受け続落しました。テクニカル的にもギャップ埋めで下押ししやすい地合いの流れの中で日銀の年内利上げを排除しないとの報道に週間安値となる146.308まで下落。その後買い戻しが入ったところに、NY市場ではBLSの雇用統計年次改定で91.1万人の下方修正の推計値が公表されたことから再度下押しする場面はあったものの、引けにかけては東京市場の水準に戻して引けました。

9月10日はもみあいに終始、米国PPI(生産者物価指数)は予想よりも弱かったものの上値が重たい程度の動き。9月11日は東京後場に入り自民総裁選に高市氏が出ることを受け円安で反応、NY市場朝方には148円台円半まで上伸しました。米国CPIが予想通りだったものの、新規失業保険申請数が予想よりも多かったことから、米ドル/円は反落し147円台前半へと下押ししての引けとなりました。

12日(金)は東京市場ではじり高、欧州市場序盤に自民総裁にふさわしい候補者として高市氏が一番人気との世論調査を受けて円安に動き一時148円台に乗せましたが、148円台では米ドル売りも根強く147円台半ばに押しての週末クローズとなりました。

週を通して振り返ると国内の政治関連が円売り要因、9月17日のFOMCに向けて米ドルの戻り売りが根強いことから上下とも方向感が出にくい一週間だったという印象です。

今週(9月15日週)の注目材料はFOMCとなりますが、0.25%利下げが確実視される中でドットプロット(金利見通し)において2025年末の政策金利の利下げが今回含めて2回なのか、3回となるのかが最大の関心事というところでしょうか。

先週(9月8日週)のユーロ/米ドル:対米ドルの動きは米ドル/円と同様

先週のユーロ/米ドルは、基本的に米ドル/円と同様の動きを辿りました。9月8日にはフランスで内閣の信任投票が行われまましたが、不信任となったものの事前予想通りだったこともあってユーロへの影響は見られませんでした。

また9月9日には米ドル/円で円高の動きが見られた際に、ユーロ/円でも円買いが強まったこともあってユーロ/米ドルも下げに転じる動きが見られましたが、その後はドル買い戻しの動きも加わりユーロ/米ドルは週間高値から前日の上昇分を全て失う動きとなりました。

9月11日のECB(欧州中央銀行)理事会において、政策金利は予想通り現状維持となりました。しかし、理事会後のラガルド総裁は会見で「ディスインフレのプロセスが終わったとし、今後の会合においても事前コミットはせず会合ごとに決定していく」と発言しましたが、特に市場では反応は見られませんでした。

またユーロ/円は9月8日に年初来高値をわずかに更新し173.906をつけましたが、9月9日には週間安値となる172.136まで大きく反落し、173円台後半での上値の重さを印象づける格好となりました。

米ドル/円チャート(週足)、引き続き上値は重いが収束の動きに

長期的な判断は週足で行います。まず、週足チャートをご覧ください。

【図表1】米ドル/円(週足)
出所:マネックストレーダーFX
週足チャートの見方
長期トレンドは20週移動平均線と週足終値との位置関係で判断します。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。

週足チャートでは、依然として上値が重たい流れが続きトライアングル(黄色)の中で上下ともに値幅を狭める収束の動きになってきました(図表1)。9月17日FOMCがきっかけとなるのか、来週(9月22日週)以降の材料なのかそろそろどちらかに抜けてもおかしくありません。印象としては米国の雇用関連で弱い数字が続いていることもあり、米金利低下と米ドル安がセットで進んでいく流れが最もありそうなシナリオですが、テクニカルには予断を持ってはいけません。

短期的には日足チャートをご覧ください。

米ドル/円チャート(日足)、12日にゴールデン・クロスしたが、転換も早そう

短期的な判断は日足で行います。

【図表2】米ドル/円(日足)
出所:マネックストレーダーFX
日足チャートの見方
短期売買シグナルは5日終値移動平均線(青)と5日始値移動平均線(赤)のゴールデン・クロス(GC)、デッド・クロス(DC)で判断します。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
短期上昇トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の上で推移し、短期下降トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の下で推移します。通常の2本の移動平均線で言えば、終値が短期線の役割、始値が長期線の役割を果たしていると考えるとわかりやすいでしょう。
※マネックストレーダーFXでは、移動平均線の設定画面で始値を選択することができます。

米ドル/円はゴールデン・クロス(GC)状態から9日の下げでいったんデッド・クロス(DC)となりましたが、9月12日に再度ゴールデン・クロスとなりました(図表2)。2本の移動平均線が近く方向感もはっきりしていないため、現時点ではGC・DCを見るよりもサポートライン(青)とレジスタンスライン(緑)のどちらに抜けるのかを見てから動いた方が良いでしょう。

それでも方向感が出にくい流れが続く可能性はありますが、米国が年内3回り下げ、日本が1回利上げと日米金利差が1%縮小するであろうことを考えると、米ドル/円は円高方向の動きをより重視したいと思います。

ユーロ/米ドルは高値圏からの上放れがあるのか

ユーロ/米ドルのチャートからみていきます。

【図表3】ユーロ/米ドル(週足) 長期トレンド=ユーロ買い継続
出所:マネックストレーダーFX

週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態かつ上下ともに動きにくい流れを続けていますが、どちらかというと安値を切り上げる上昇トレンド継続の地合いと言えます。高値もみあいということで新たに青のレジスタンスラインを追加し、このラインを上抜けする動きがあるかどうかに注目したいところです。

【図表4】ユーロ/米ドル(日足) 短期トレンド=もみあいもややユーロ買い
出所:マネックストレーダーFX

日足チャート(図表4)では、9月5日以降先週12日まではゴールデン・クロス状態でしたが、終値移動平均線が下げてきたことから15日終値時点でデッド・クロスに転じる可能性があります。ユーロ/米ドルも現時点では移動平均線よりもチャートのパターン、各ラインを見ていた方がダマシに遭いにくいかと思います。現状もっともはっきりしているのが緑のラインで示した上昇ウェッジです。この中での動きを続けながら、まずはどちらに抜けていくのかを見極めることとします。

ユーロ/円は7月高値を上抜け後に反落

ユーロ/円です。

【図表5】ユーロ/円(週足) 長期トレンド=上値の重さを再確認
出所:マネックストレーダーFX

ユーロ/円は7月28日週の大陰線の高値を先週初の円安の動きで一時的に上抜けましたがすぐに反落、テクニカルには173円台後半での上値の重さを再確認することとなってしまいました。いっぽうで安値を切り上げる動きも続けているため、主要3通貨ペアはFOMCを前にどれもそろそろ次の動きが出てきそうなチャートになってしまっています(図表5)。

【図表6】ユーロ/円(日足) 短期トレンド=ユーロ買いも長続きはしないか
出所:マネックストレーダーFX

日足チャート(図表6)では一時的なデッド・クロスを挟んで9月12日にゴールデン・クロスとなりましたが、このゴールデン・クロスも長続きしそうには思えません。

米ドル/円やユーロ/米ドルと同じで現時点ではサポート、レジスタンスラインを見た上で方向を見ていくべきだと考えます。新たに緑のラインを追加しましたので、この上昇ウェッジをどちらに抜けるかを見た上で次の方向を考えたいと思います。

ただ、ユーロ/円については年初来高値を一瞬とはいえ上抜ける動きもありましたので、市場参加者の多くはまだ押し目買いが優勢と見ている様子です。

それでは今週も良いトレードを。