衆院選後の米ドル/円の値動きと債券価格の連動

・2月8日の衆院選で自民党が歴史的圧勝をした後、予想外に一時152円まで円高が進行した。その後、また157円近くまで円安に戻している。

・米ドル/円の動きに30年物国債の価格の推移を重ねてみると、両者がほぼ連動して動いていることがわかる。

・選挙後に債券価格が上昇(金利低下)したため一時的に円高に振れたが、これは自民党が勝ちすぎたことで、ポピュリズム的な財政規律低下への懸念が後退したからだとみられている。

米国のレートチェック協力とトラスショックの懸念

・1月下旬に行われたダボス会議において、ベッセント米財務長官が「高市首相の政策がこのまま進めば、イギリスの「トラスショック」のようなトリプル暴落を招くおそれがある」と懸念を示したとの報道があった(2月23日付日経新聞)。

・1月23日に米国がレートチェックを行った背景には、日本の財政状況に対する強い懸念があった。一部報道によれば、円安阻止の動きは日本からの要請ではなくベッセント長官の主導で行われたとされている。いわゆる「高市円安」が本当に終わったのかはまだ怪しい状況である。

・衆院選後も高市首相の政策は変わらず、「財政懸念の円売り」は変わらない。米経済への悪影響を阻止するためにレートチェックが行われ、一服したに過ぎないのではないか。

米ドル売りポジションの急拡大と過去の介入事例からの教訓

・投機筋の米ドルのポジションを確認すると、買い越しから急激に売り越しへと転換しており、短期間で米ドルの売られすぎ水準に達している。背景にはトランプ政治への不信感からくる「米ドル離れ」がある。もし米ドル売り介入が行われれば、暴落のトリガーとなる危険がある。

・高市総理は植田日銀総裁との会談で、追加利上げに難色を示すなど、円安容認の姿勢は変わらないようにみえる。円安阻止は、米国への悪影響を回避するため、米国がどれくらい本気で動くかによる。3月末の日米首脳会談に注目したい。

・1998年6月に実施された日米協調介入のケースを振り返ると、介入を実施したもののすぐには円安のトレンドは止まらなかった。

・過去の歴史にならうなら、今回もLTCMショックや米国の株価暴落といった大きな外部要因が発生しない限り、円安に完全に歯止めをかけるのは難しいと考えられる。