売り一巡後は3万5000円の大台回復は早いだろう

2日の米国株式市場は大幅続落。ダウ平均は一時前日比900ドル超も下げ、終値では610ドル安。ナスダック総合も大幅続落で7月11日に付けた史上最高値から10%超の下げとなり、相場の慣例では「調整相場」入りと見做される水準に達した。

2年債利回りは約1年3ヶ月ぶりに4%を割り込んだ。弱い雇用統計を受け米国の景気後退リスクが意識され、リスクオフ・質への逃避の動きが鮮明となった。

シカゴCMEの日経先物9月物の終値は3万4950円。大証夜間取引の日経先物は、3万4800円で取引を終えた。米国株の大幅安を受け、週初の東京市場はもう一段安で始まりそうだ。

問題はその後だ。これだけ歴史的な暴落を演じたあとだけに、短期リバウンド狙いの買いで反発する素地はじゅうぶんにある。足元で発表が続く第一四半期の決算そのものは総じて見れば悪くない。

日経平均3万5000円の大台が意識されるだろう。先物に合わせて、その水準を割って始まるかもしれないが、売り一巡後は押し目買いで3万5000円の大台回復は早いだろう。

市場の注目が注がれる金融政策決定会合「主な意見」

7月の雇用統計では就業者の伸びが市場予想を大幅に下回り、失業率は4.3%へと上昇した。失業率と不況の関係を示す経験則「サーム・ルール」では景気後退入りのサインが点灯した。これで一段と米国のリセッション懸念が強まったわけだが、それを打ち消すような指標が出れば相場反転のきっかけになるだろう。その観点から注目したいのが、5日に発表される7月の供給管理協会(ISM)非製造業総合景況指数だ。市場予想は51.1と6月の48.8から好不況の基準値である50を回復する見込み。そうなれば米国景気は底堅いとの認識が広がり株式市場の追い風になる。

国内の材料は、8日に公表される7月の金融政策決定会合における「主な意見」だ。会合後の記者会見で植田総裁は、今後の利上げ回数や余地について「中立金利に関するレンジを前提とすると、まだしばらくはそういうところにはいっていない」と話し、今後複数回の利上げの余地があるとの認識を示唆した。「はっきりとしたパスを引いたうえで、今この辺りを走っているというわけではなく、走りながら考えている」とも述べた。そのあたりの追加情報が「主な意見」から汲み取れるか、市場の目が注がれる。

国内では6日に発表される6月毎月勤労統計も注目が集まっている。新年度の賃上げは6月分の給与から反映される企業が多いので、6月の実質賃金がプラスに転じる可能性がある。そうなれば、国内景気にとっての明るい材料と受け止められ、株式市場にも好材料となるだろう。

今週はまた、国内企業の決算発表が佳境を迎える。5日には伊藤忠(8001)、日本郵船(9101)、6日には東京海上(8766)、三菱重工(7011)、7日にはソニー(6758)、ソフトバンクG(9984)、ホンダ(7267)、レーザーテック(6920)、ニトリHD(9843)、8日にはリクルート(6098)、東京エレクトロン(8035)、三菱地所(8802)、花王(4452)、9日には第一生命(8750)、三越伊勢丹(3099)などの決算が発表される。

当面のターゲットは200日移動平均線の水準回復

ストラテジーレポートでもいつも述べている通り、相場がいったん大きく崩れると一気には戻らないものである。「価格の調整は速いが、玉の調整には時間がかかる」から、というのがその理由だ。少なくとも8月~9月のFOMC(米連邦準公開市場委員会)までは不安定な展開となりそうだ。ただ、いずれにせよ3万8000円より下は「真空地帯」だ。乱高下が落ち着いた後は、3万6000円~8000円のレンジでのもみ合いに移行するものと考える。まずは200日移動平均線(36858円)の水準回復が当面のターゲットだろう。

予想レンジは3万4500円~3万8000円とする。