モトリーフール米国本社 - 2025年3月18日 投稿記事より
バークシャーは現金よりも優良な事業の所有を優先
2024年、バフェット氏とバークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のポートフォリオ・マネージャーは、1,430億ドルを超えるアップル[AAPL]やバンク・オブ・アメリカ[BAC]を含む有名企業の大半の株式を売却しました。
これらの株式売却代金の大半は、記録的な税金の支払いと、現金及び財務省証券の増加に充てられました。しかし、バフェット氏は2月の株主宛て書簡の中で、次のように明言しています。
バークシャーは、支配権の有無にかかわらず、優良な事業の所有よりも現金同等資産の所有を優先することは決してありません。
バフェット氏が追加投資した6銘柄
バフェット氏は第4四半期にバークシャーの資産のうち約26億ドルを6つの上場株式に投資しました。ここでは、投資家が知っておくべきこと、そして今、最も魅力的な企業はどれかをご紹介します。
バークシャー・ハサウェイは、第4四半期に約34億ドルの株式の買い越し(純増)を報告しています。しかし、バークシャーの購入した株式はすべて米国上場企業というわけではありません。バフェット氏によれば、第4四半期には日本への投資も増加し、市場性のない株式も購入した可能性があるとのことです。
バフェット氏と同氏のチームがバークシャー・ハサウェイのポートフォリオに追加した6つの米国公開株と、株式の購入に費やした金額は以下の通りです。
オクシデンタル・ペトロリアム[OXY]、4億910万ドル。
ベリサイン[VRSN]、8990万ドル。
シリウスエックスエム・ホールディングス[SIRI]、2億9680万ドル。
プール[POOL]、推定7000万ドル。
ドミノ・ピザ[DPZ]、推定4億7000万ドル。
コンステレーション・ブランズ[STZ]、推定13億ドル。
バークシャー・ハサウェイが第4四半期にポートフォリオに追加した6つの公開株には、特筆すべき共通点があります。どれも、特に時価総額が大きいわけではありません。この中で最大であるオクシデンタル・ペトロリアムの時価総額は、本稿執筆時点で437億ドル。シリウスXMの時価総額はわずか77億ドルです。
バークシャー・ハサウェイは、オクシデンタル、シリウスXM、ベリサイン(時価総額221億ドル)のかなりの部分をすでに保有しています。また、その他の魅力的な投資先の時価総額が比較的小さいことから、バフェット氏は最近、多額の現金を投資するのに苦労しています。バフェット氏と同氏のチームが6,000億ドルを超える投資可能資産を運用していることを考えると、大型買収を行うには、単純に市場に十分な株式を確保できるだけの流動性がないのです。
これは、バフェット氏のバリューへのこだわりと、バークシャーの膨大なポートフォリオが直面している課題を物語っています。バフェット氏は2023年の株主宛書簡の中で、「バークシャーが真に力を発揮できる企業は、この国にほんの一握りしか残っていません。評価できる企業もあれば、そうでない企業もあります。そして、評価できるものであれば、魅力的な価格でなければなりません」と述べています。
個人投資家にとって朗報なことは、通常バフェット氏ほど多額の資金を運用することはないということです。つまり、上記6銘柄のような小型株や中型株でも、望めばポートフォリオのかなりの部分を占めることも可能となります。そして、バークシャーが前四半期に購入した6銘柄のうちの1銘柄は、今まさに魅力的な選択肢と考えられます。
強力な競争力を有している6銘柄のうち最も割安な銘柄は?
上記の6銘柄はいずれも魅力的な株式価値を提供しており、どの企業も強力な競争力を有しています。つまり、典型的なバフェット銘柄です。しかし、最近ポートフォリオに加わったコンステレーション・ブランズ(以下、コンステレーション)は、このグループの中で最高のバリュー株かもしれません。
コンステレーションは、メキシコ最大のビールメーカーです。同社のブランドであるコロナとモデロは、メキシコ産ラガービールの米国市場を独占しています。同社はワインとスピリッツの事業も所有していますが、それらのカテゴリーではブランド力は強いとは言えません。コンステレーションの事業を牽引しているのはビール事業で、売上と営業利益の80%超を占めています。
アルコール業界は最近、いくつかの逆風に直面しています。米国公衆衛生総監(公衆衛生局長官)はアルコール飲料に健康への警告ラベルを付けることを提案しています。Z世代は同年代の以前の世代ほどお酒を飲みません。特にビールは、すぐに飲めるカクテル(低アルコールの缶飲料)との競合という課題に直面しています。
それでも、コンステレーションはビールの販売を着実に伸ばしており、2月に終了したばかりの2025年度の売上高は4%から7%の成長を見込んでいます。さらに、プレミアム化戦略のおかげで営業利益率も拡大する見込みです。
莫大な広告予算を効果的に使い、自社のビールブランドをよりプレミアムな選択肢として位置づけています。競合するメキシコのビール会社よりもはるかに大きな広告予算を獲得していることが重要な役割を果たしています。これにより、ブランドメッセージの強化に、より多くの費用を費やすことができ、その結果、市場を独占しながらプレミアム価格を維持できるという好循環を生み出しています。
バフェット氏は、コンステレーションの第3四半期決算発表前に同社株を購入しました。決算は期待外れで、ワイン・スピリッツの売上高が14%減少し、ビール事業の成長を完全に相殺しました。その結果、経営陣は通期の見通しを引き下げました。メキシコに対する新たな25%の関税により、売上と利益率が悪化する可能性があり、株価はさらに下落しました。
それでも、基礎となる事業は長期的に堅調で、投資家に大きな価値を提供しています。株価下落後の株価は、この記事の執筆時点では、将来利益予想のわずか12.4倍で取引されています。コンステレーションのビール事業の長期的な競争優位性を考えると、今後の投資検討に値するバフェット銘柄の一つといえるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。バンク・オブ・アメリカはモトリーフール米国本社の広告パートナーです。元記事の筆者Adam Levyは アップルの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アップル、バンク・オブ・アメリカ、バークシャー・ハサウェイ、ドミノ・ピザ、ベリサインの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はコンステレーション・ブランズとオクシデンタル・ペトロリアムを推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。