世界同時株安の様相を呈している現在、この「週間相場展望」はあまり意味がない。今週一週間の相場を展望するうえで、いちばん重要なポイントは、どこで相場が下げ止まるかという点ひとつに尽きるだろう。しかし、それは当欄で語るには紙幅が足りない。このあとに発行するストラテジーレポートで詳しく語るので、そちらを参照してほしい。
夜間取引で日経平均先物は、1540円安の3万2220円で終えた。週明けの東京市場も大幅安で始まるのはほぼ確実だ。詰まるところ、米国株が下げ止まらない限り、日本株にも底は入らないだろう。
トランプ関税相場にFRBは現状維持を示唆
市場は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを催促するようなムードだが、利下げに関してFRBがなんらかのメッセージを市場に送ることは期待薄である。先週4日にはFRBのパウエル議長の講演があった。パウエル議長はトランプ大統領の関税政策について「引き上げ幅が想定を大きく上回ることが明らかになりつつある。インフレ率の上昇と成長の鈍化が予想される」として「金融政策の適切な方向性について結論を出すには、時期尚早だ」と述べた。つまり、関税政策の影響が明確になるまで現状維持との示唆である。
実はこのパウエル議長の講演が始まる前にトランプ大統領は自身のSNSに「金利を引き下げるには、今が絶好のタイミングだ。彼はいつも動きが遅いが、今ならそのイメージを変えることができる」と投稿したが、パウエル議長はこのトランプ氏の利下げ要請をスルーした格好だ。
物価指標の発表で膨らむ売りに警戒
今週は、通常なら重要な経済指標もあまり意味を持たないだろう。10日に3月の米消費者物価指数(CPI)、11日に3月の米卸売物価指数(PPI)の発表があるが、いずれも関税の影響が出る前のデータである。しかし、この時点で既にインフレ再燃の兆しが認められれば、FRBの利下げは一層難しくなるため、株式相場には素直に悪材料と受け止められるだろう。仮に相場が自律反発に転じていたとしても、これら物価指標の発表で再度売りが膨らむことには警戒したい。
今週の日経平均のレンジは3万1000円~3万5000円とする。