吉田恒の為替デイリーの記事一覧
チーフ・FXコンサルタントの吉田恒が独自の視点から日々のマーケット情報や注目材料などをお伝えします。
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「止まらない円安」、1998年の例を振り返る
最近にかけて急ピッチで進む円安の日本経済への懸念が拡大しているようだ。
「止まらない円安」への懸念が拡大した代表例は1998年だったが、この時には一日で2兆円もの円買い介入に動いても円安は止まらなかった。
「円資産のみ保有するリスク」の現実味
最近にかけての円安は、株価との関係変化など、これまでの円安との「違い」が目立ってきた。
まだ「無秩序の円安」ではなさそうだが、さらに円安が進むと、円資産のみを保有するリスクのヘッジとして外貨投資する意識が現実味を増す可能性が高まりそう。
RBA「タカ派」でも豪ドル反発一巡の理由
先週5日のRBA金融政策会合は、予想より「タカ派」とされ、直後は「豪州金利上昇=豪ドル高」となったものの、その後は豪ドル反落が広がった。
その中で、豪ドル/米ドルは日足、週足のチャートとも長い「上ヒゲ」が出現、テクニカルには最近にかけて続いてきた豪ドル反発が一巡した可能性が出てきた。
究極の円安阻止策、「岸田ボンド」の可能性
円安の日本経済への悪影響を懸念する声が増えてきた。ただ、日本独自で円安を止めることはできるだろうか。
1980年代前半、インフレ対策をきっかけに広がった米ドル高・円安に対し、日本政府は、米国から究極の通貨安阻止策とされる外貨建て債券、「中曽根ボンド」発行を提案されるまで追い込まれた。
豪ドル安トレンドは終わったのか?
豪ドル/米ドルは約1年ぶりの水準まで反発してきた。すでに豪ドルは底を打ったのか、それとも飽くまで一時的反発に過ぎないのか。
52週MAとの経験を参考にすると、このまま来週末以降も足元で0.74米ドル程度の52週MAを「長く」上回るか、または0.78米ドル以上と「大きく」上回るかに注目。
米ドル/円「上ヒゲ」が示す「意外なシナリオ」
先週の米ドル/円は2円以上の長い「上ヒゲ」となった。2016年以降でこれを上回る長大な「ヒゲ」の記録は、「Brexitショック」、「トランプ・ラリー」、「アップル・ショック」、「コロナ・ショック」などいずれも代表的な大相場。
大相場における長大な「ヒゲ」出現の後は、高安値更新まで長い時間がかかっただけに、今回も米ドル高値更新には予想以上の時間がかかる可能性もありうる!?
円安の短期的「行き過ぎ」を点検する
米ドル高・円安は3月、一気に10円も進んだ。この中でいくつかの指標では、とくに円安について、中長期トレンドとは別に、短期的な「行き過ぎ」への懸念が拡大している。
今回は、ポジションと90日MAかい離率で、短期的な「行き過ぎた円安」の可能性を点検した。
「一休み」の可能性がある怒涛の円安
3月の米ドル/円は一気に約10円もの急騰となった。これにより、かなり米ドル買い・円売りのエネルギーを消費したと考えられる。
その上でも、4月さらに米ドル高・円安が一段と進むだけのエネルギーが残っているかについて、月足チャートの「ヒゲ」を参考に考えてみる。
125円「黒田シーリング」を巡る変化
2015年にかけて展開した米ドル高・円安は、黒田日銀総裁の発言をきっかけに125円で終了した。このため、125円に再接近してきた中で、黒田総裁の動向が注目されている。
ただ2015年と最近では、円相場や黒田総裁を巡る環境で「違い」も多い。
円安の短期的「行き過ぎ」の目安とは?
円安が記録的なピッチで展開してきた。そこで、短期的な「行き過ぎ」により、円安が一段落する目安について、90日MAかい離率、金利差との関係、ポジションなどについて再確認してみた。
日銀が円安より金利上昇を警戒する理由
世界的な金利上昇の中で、日銀は28日、金利上昇を容認しない「指し値オペ」に出動、これが円一段安のきっかけとなった。日銀が円安より、金利上昇にこだわる理由とは?
1998年冬に、日本の長期金利暴騰が大問題になった。巨額の財政赤字などから、日本では国債暴落、利回り暴騰への懸念がかねてからあった。
賛否両論の中でリフレ政策を主導した黒田総裁には、そういった国債暴落、利回り暴騰への懸念がより強い可能性あり。
黒田総裁、125円通過を黙認の可能性
円の総合力を示す実質実効レートは、2015年の安値を更新してきた。2015年には、黒田総裁の円安けん制とされた発言で円安は1米ドル=125円で終了したが、足元の状況はそれとは違うのではないか。
日本では、巨額の財政赤字などから「債券価格暴落=債券利回り暴騰」リスクが続いている中で、日銀は円安以上に円金利上昇の「ノー・コントロール」化への警戒が強いのではないか。
円安130円、20年ぶりの現実度は?
米ドル/円は、2000年以降では20年前の2002年に数ヶ月130円を上回った以外は、上がっても130円を超えられない状況が続いてきた。
ただ、長期移動平均線との関係で見ると、2002年の130円超より、2015年の125円の方が米ドル「上がり過ぎ」懸念が強かった。足元では、そんな2015年の米ドル「上がり過ぎ」懸念には程遠い。さらに130円を超える米ドル高の可能性もありそう!?
円高へ戻るリスクが限られる可能性
急ピッチの円安には、いずれ反動の円高リスクもあるだろう。ただ、かつての「株安で円高」といった反応が目に見えて変わった中では、円高リスクも米金利「上がり過ぎ」修正などに限られそう。
年明け後の米ドル/円小動きのブレーク、その後の「トランプ・ラリー」超えなどで弾みがついたこの米ドル高・円安の反動は、テクニカルには116~118円までがせいぜいか!?
円安が止まらなくなった理由
最近にかけて円の一段安が広がった。これは、新たな「止まらない円安」なのか。
2021年1月に102円から展開してきた米ドル高・円安トレンドでも、米ドル高・円安の加速は何度かあったが、米金利上昇の一巡で一服した。その意味では、今回も米金利上昇が一服した時に米ドル高・円安が止まるかに注目。
米ドル高容認の「新ビナイン・ネグレクト」
1980年代前半に、日米消費者物価購買力平価を大きく超える米ドル高・円安が起こった。これは当時の米政権がインフレ対策を重視する中で、「ビナイン・ネグレクト」と呼ばれる米ドル高容認に動いた結果だった。
米国が、その時以来のインフレに見舞われる中で、まさに日米消費者物価購買力平価を超える米ドル高・円安も再現している。
長短金利差が示す米景気後退の見通し
米国の短中期金利と長期金利が急接近、両者の逆転、「逆イールド」も現実味を増してきた。
FFレートと長短金利差は基本的に逆相関の関係があるため、さらなる大幅利上げは「逆イールド」拡大といった大幅な景気後退をもたらす見通しになる。
「トランプ・ラリー」米ドル高値の更新
3月16日のFOMCは0.25%の利上げを決定するなど、ほぼ事前の予想通りの結果となった。
為替相場の米ドル買いも限定的にとどまったものの、米ドル/円はテクニカルに注目された「トランプ・ラリー」の米ドル高値を更新したことから、120円の大台が次の目標となった。
円と株の関係変化で最も重要なこと
円安が大きく広がる中で、日本株がそれを好感しなくなった。ただ、元々「円安=日本株高」といった一方向の関係は強くなかった。最近にかけての日本株の下落拡大は、グローバルな株安への連動で説明するのが基本だろう。
むしろそんなグローバルな株安と為替の間には、これまでは「安全資産の円買い」という関係があったが、それが目に見えて変化している点が重要ではないか。
