モトリーフール米国本社– 2025年12月6日 投稿記事より
「世代を超えるリターン」を生み出してきた高成長株に共通する重要な要素
ブロードコム[AVGO]はこの10年間で最も優れた株のひとつでした。この期間に株価は約4,000%上昇し、直近5年間で10倍強になっています。
ただし、今後10年でブロードコムに同様のリターンを期待することは難しいでしょう。もし再び株価が40倍以上に上昇することは、同社の時価総額が米国の年間GDPを上回ることになるからです。そのため、投資家は「次のブロードコム」を探しています。
このような大きな利益は「世代を超えるリターン」と呼ばれることがありますが、このような機会は実際にはそこまで稀なものではありません。驚異的な株価上昇は、テスラ[TSLA]やパランティア・テクノロジーズ[PLTR]などのように数年単位で起こっています。
ブロードコムは、いわゆる「世代を超えるリターン」を生み出してきた高成長株に共通する、いくつかの重要な要素を備えています。同社が現在のような企業へと成長した理由を知ることは、次の長期的な勝ち組銘柄を見つける手がかりになるでしょう。
ブロードコムは重要な問題を解決
最も大きく成長する企業は、社会にとって非常に重要な問題を解決するものです。同社はAIが登場するずっと前から半導体を生産しており、かつてはすべてのiPhoneにブロードコム製半導体が搭載されていました。この技術は別の企業が大きな課題を解決するための「基盤」となっているのです。
ブロードコムの半導体は多くのコンピューター、無線ルーター、ゲーム機、その他のデバイスに搭載されています。こうした製品は消費者から大きな需要があり、それらを動かすためには半導体が不可欠です。ブロードコムが唯一の半導体メーカーというわけではありませんが、業界のリーダーです。コンピューターなどの製品は、半導体なしでは動作できません。
AIの登場によって高度な半導体の需要が拡大し、ブロードコムは大きな恩恵を受けています。AI技術は、うまくいけばインターネット以上に世界を変える力を持っています。
テスラのイーロン・マスクCEOは最近Xで、AIは飢餓や病気、貧困といった問題を解決できるとの見解を表明しました。グーグルとその親会社アルファベット[GOOGL]のサンダー・ピチャイCEOは、AIは「火や電気よりも重要だ」と述べています。
もしAIがそれほど重要であるなら、その根幹を支えるブロードコムのようなチップメーカーも同じくらい重要だと言えます。ブロードコムは産業界のリーダーが「飢餓を解決し、電気よりも重要だ」と語った技術を支えているのです。そうした問題を解決している企業はごくわずかであり、それはブロードコムが世界最大級の企業となっている理由でもあります。すなわち、重要な課題を克服する企業を見分けることが、「次のブロードコム」を見つける手掛かりとなるのです。
ブロードコムは大手ハイテク企業に製品・サービスを提供
ビジネスを成長させるには、2つの方法があります。少数の大手顧客との取引に集中するか、多数の顧客を基盤として製品やサービスを提供するかです。総合小売り最大手のウォルマート[WMT]は毎日、数百万人を店舗に呼び込むことに成功していますが、ブロードコムはそれほど多くの顧客を抱えているわけではありません。
ブロードコムには中小企業との取引もありますが、収益の多くは大企業、特に半導体を必要とする大手ハイテク企業との取引から得ています。グーグルとはAI向けカスタム半導体の設計を含む強固な協業関係を築いており、それがメタ・プラットフォームズ[META]の関心を引きました。フェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズは、グーグル製の半導体に関して数十億ドル相当の契約を協議しており、これはブロードコムにとって追い風となります。
ブロードコムが新規顧客を獲得すれば、数十億ドル相当の契約につながり、株価を大きく押し上げることもあるでしょう。最近ではメタ・プラットフォームズがグーグル製AI半導体の購入を検討しているとの報道を受け、実際にブロードコムの株価は10%強急騰しました。
世界最大級の企業がどのように経営資源を配分しているかを分析することで、有望な成長株を見つけられる可能性があります。特に、その企業が勢いを増し始めた初期段階であれば、さらに可能性が高まります。
ブロードコムは買収によって弱点を補ってきた
ブロードコムは過去に複数の買収を行い、AIブームへの準備を整えてきました。中でも象徴的なのは、現在のブロードコムの前身であるアバゴが370億ドルでブロードコムを買収し、社名をブロードコムへと変更したことです。そのため、同社株式のティッカーシンボルは社名の綴りと一致しない、「AVGO」となっているのです。
その決断によって、ブロードコムは他の半導体メーカーに対する競争力を高め、大手顧客の獲得に大きく貢献しました。同社は2013年に66億ドルで半導体企業LSIコーポレーションを買収し、さらに最近ではソフトウェア事業を拡大するため、仮想化(バーチャル)ソフトウェアのVMウェアを買収しました。
他の超大型ハイテク企業も買収によって市場シェアを拡大してきました。グーグルは動画配信コンテンツ分野で先行するためにYouTubeを買収し、アマゾン・ドットコム[AMZN]は食品分野を強化するために自然食品を主に扱うホール・フーズを買収しました。そしてメタ・プラットフォームズは高いエンゲージメントを誇るソーシャルネットワークを活用するために、インスタグラムを買収しました。
これらの企業は、その後も買収や投資を重ねてきました。こうした取り組みが、ブロードコムのような巨大企業へと成長するためのプロセスの一部なのです。
「次のブロードコム」になる条件を満たすAI関連銘柄とは
ブロードコムは長年にわたる取引先を抱え、不可欠な技術を提供していますが、オーストラリアを拠点とするナスダック上場企業IRENリミテッド・オーディナリー・シェアーズ[IREN](以下、アイレン)も同じ条件を満たしています。アイレンはAI半導体を開発する代わりに、大規模なAIデータセンターを構築しており、最近マイクロソフト[MSFT]と5年間にわたる97億ドルの契約を締結しました。また、AI開発における最大のボトルネックとなっているエネルギー供給も行っています。
アイレンはすでに数ギガワットの発電設備とAI向けデータセンターを保有しており、追加契約にも対応できる体制を整えています。アイレンのダン・ロバーツ共同CEOは最近、CNBCに対し、「需要に対応しきれない」と語りました。特に、AI 需要の大半が潤沢な資金を持つテック大手から来ている点を考えると、これは非常に強気な材料です。
アイレンのデータセンターはAIツールやソフトウェアが必要とする膨大な電力需要に対応できるよう最適化されています。従来型のデータセンターではAIワークロードを処理できず、この新たなテクノロジー・ブームには不向きです。アイレンは時価総額が150億ドルにも満たない小規模企業ですが、ブロードコムとまさに同じ課題に取り組んでいます。
アイレンが成長するにつれて、市場シェアを拡大するため、小規模企業の買収を重ねると予想されます。それにより、同社は次のブロードコムになる道を歩むことになるかもしれません。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Marc Gubertiはブロードコムとアイレンの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアルファベット、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、パランティア・テクノロジーズ、テスラ、ウォルマートの株式を保有し推奨しています。モトリーフール米国本社はブロードコムを推奨し、次のようなオプションを推奨しています。マイクロソフト2026年1月限月コールオプション(行使価格395ドル)のロング、マイクロソフト2026年1月限月コールオプション(行使価格405ドル)のショート。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。
