大型IPOを控え換金売りが意識されやすい

今週の日本株相場は、上値の重い展開を想定する。前週の日経平均株価は一時6万8786円まで上昇し史上最高値を更新したが、週末にかけてはAI・半導体関連株を中心に利益確定売りが強まり、伸び悩む展開となった。その後、米国株市場で半導体株指数が(SOX指数)10%を超える急落となった。週明けの東京市場も大幅続落で始まるのはほぼ確実だろう。

今週最大の焦点は、12日に予定されているスペースXの大型IPOである。調達額約12兆円、時価総額約280兆円規模という過去に例のない大型上場であり、資金捻出のための換金売り圧力が意識されやすい。特にここまで大きく買われてきたAI・半導体関連株は利益確定の対象となりやすく、東京市場でもアドバンテスト(6857)や東京エレクトロン(8035)、ソフトバンクグループ(9984)、キオクシアホールディングス(285A)など主力AI関連銘柄には短期的な調整圧力が残るとみられる。

日本市場はAI関連から他セクターへの資金シフトが見られる

一方で、相場全体が弱気一色になるとは考えにくい。先週末の東京市場では日経平均が大幅安となったにもかかわらず、東証プライム市場では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回っており、AI関連から他セクターへの資金シフトが始まっていることを示唆している。これまで物色の蚊帳の外に置かれていた低PBR(株価純資産倍率)銘柄や高配当利回り銘柄、内需バリュー株への資金流入が期待される局面である。6月後半には株主総会シーズンを迎え、企業価値向上や資本効率改善への期待が高まりやすいことも追い風となろう。

利上げ期待の高まりで金融セクターへの資金流入が続く

また、日本銀行の追加利上げ観測も重要なテーマである。植田総裁の発言を受けて6月15-16日の金融政策決定会合での利上げ期待が高まっており、銀行株や保険株など金融セクターへの資金流入が続く可能性が高い。この流れは今週も継続しそうである。

海外では10日の米CPI(消費者物価指数)、11日の米PPI(生産者物価指数)、ECB(欧州中央銀行)理事会、オラクル[ORCL]決算など重要イベントが相次ぐ。米雇用統計の上振れを受けて米国では利下げ期待が後退し、一部では年内利上げ観測も浮上している。インフレ指標が市場予想を上回れば米長期金利の上昇を通じてグロース株には逆風となり、日本市場でもハイテク株の戻りを抑制する要因となろう。

以上を踏まえると、今週の日経平均は史上最高値更新後のスピード調整局面に入る可能性が高い。ただし相場の主役がAI・半導体から金融、高配当、低PBR、内需バリューへと広がることで、TOPIXベースでは底堅さを維持すると考える。指数は調整色を強めても物色対象の広がりによって市場全体の地合いは維持される見通しであり、「AI関連物色の一服」と「バリュー株の再評価」が同時進行する1週間になると予想する。

予想レンジは6万2000円-6万8000円とする。