なぜゴールデンウィークに160円超えで為替介入を再開したのか?

NHKが7月14日に発表した世論調査によると、回答者の61%は現在の円安が日本経済に「悪影響を与えている」と回答、一方で「良い影響を与えている」という回答は22%にとどまったという。これは、ゴールデンウィークに日本の通貨当局が円安阻止介入に出動した政策判断を考える上でかなり参考になるのではないか。

当局は、4月末に米ドル/円が2026年に入り初めて160円を大きく超えると、米ドル売り・円買い介入に出動した。ただこの介入は、米ドル/円の5年MA(移動平均線)かい離率などを参考にすると、米ドル高・円安の「行き過ぎ」懸念が、2022年、2024年の介入局面に比べてまだ強くない中でのものだった(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の5年MAかい離率と為替介入の関係(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

以上のように見ると、今回のゴールデンウィーク介入は、2022年、2024年の介入から判断基準が変わった可能性を示すものだった。では今回の介入を判断する基準は何だったのか。それは、160円を大きく超える円安はもはや国内的に許容できないということ。今回NHKが発表した世論調査の結果は、そうした当局の判断を数字的に裏付けたものになったと言えそうだ。

物価高対策や賃上げへの期待から円安自体の阻止へ変化

円安にはデメリット、メリットともにある。例えば輸出企業にとって、円安は収益的にプラス効果となることからメリットの面も大きいだろう。その意味では、円安でも円高でも、日本経済への影響に対する反応は、五分五分が基本になりそうだ。ところが、上述のNHK調査では6:2でデメリットとみる回答が多くなっていた。

また、NHK調査などで円安への評価を見ると、2022~2024年頃までは、円安による物価高の影響や、賃上げへの期待が目立っていたが、最近は日本経済への悪影響が大きい円安そのものを止めることへの要請が高くなった印象がある。こうしたことが、当局としても行き過ぎ懸念が強まるまで待つことをせずに、今回160円を1つの目安として円安阻止の為替介入を再開した背景と考えられる。

財政規律への懸念払しょくとの連携が鍵に=為替介入

ただし、ゴールデンウィーク介入にもかかわらず、その後も円安は続いている。それは、高市政権の財政規律への懸念を受けた長期金利上昇に連れた結果とされ、実際そのように見えなくもない(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日本の長期金利(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

以上を整理してみよう。1)日本国内的には、すでに160円を大きく超える円安は許容できなくなっている可能性がある。2)ただ、最近も160円を超える円安となり、それは高市政権などの財政規律への懸念の影響が大きいとされる。

国内的に許容できない、160円を超える円安を阻止・是正するためには、まずは日本の財政規律への懸念払しょくが必要ということになるだろう。その意味では、円安阻止、是正の為替介入も、2024年までとは異なり、日本の財政規律への懸念払しょくとの連携の必要性が高まっているということになるのではないか。