先週(2月2日週)の動き:NY金、大きく振れるも週後半にやや落ち着きを取り戻す/JPX金も大荒れの1週間

先週(2月2日週)のニューヨーク金先物価格(NY金)は、週前半を中心に上下に大きく振れる荒い値動きとなった。ただし、週後半に向けてやや落ち着きを取り戻し、週末2月6日は前日比で反発し、4,979.80ドルで終了した。

週初めの2月2日は、前週末1月30日に見られたファンドの大量手じまい売りによる下落モメンタムが維持されていた。取引開始後こそ軽く自律反発したものの、すぐに中国の投機筋とみられる手じまい(ポジション整理)売りが出て、下げ足を速めた。結局、この週初めの大幅下落で付けた4,423.20ドルが先週の安値となった。

NY金、証拠金の引き上げ

大幅下落を受け、追加証拠金の差し入れ(マージン・コール)を求められている投資家が多いとみられ、ポジション解消の売りが続いた。NYコメックスを傘下に置くCMEグループは、前週末1月30日に値動きが一気に拡大したことを受け、2月2日の取引終了後に、金・銀・プラチナなどの証拠金引き上げを含むマージン要件の変更を発表した。すでに証拠金所要額が固定額から比率制になり、価格が上昇すると証拠金の差し入れが増える仕組みが導入されていたが、比率の引き上げが想定されたことも、2月2日のポジション整理の売りを誘ったとみられた。

1月30日(前日比609.7ドル安)、2月2日(92.5ドル安)の2営業日で、それまでドカ雪のように積み上がっていた大きなロング(買い建て)が、一気に崩れ、急落につながった。この「雪崩」の規模は、値動きの大きさに表れている。1月29日の取引時間中の過去最高値5,626.8ドルから2月2日の取引時間中の安値4,423.2ドル(先週の安値)まで、3営業日で1,203.6ドルにも拡大した。これは先週(2月2日週)のNY金のレンジ(値幅)を上回る。

米株安のリスクオフ時に金ETFに換金売り

2月5日までの米国市場では、株式市場ではソフトウェア株を中心に売りが広がり、ハイテク株が大幅に下落した。加えて、仮想通貨の代表銘柄ビットコインは、2025年10月につけた最高値(12万6000ドル台)から半値に近い水準まで下げ、7万ドルを割り込んだ。市場全体はリスクオフ(リスク資産回避)センチメントに覆われていた。その中で金ETF(上場投信)にはキャッシュ捻出の売りが出て、NY金にも同様の売りが出て終盤に水準を切り下げた。

一方、2月6日は流れが一転し、株式市場では、AI(人工知能)を取り入れることで業容の変化が見込まれる幅広い銘柄に買いが広がり、多くの業種が水準を切り上げた。この日の早い時間帯に、2025年高値の半値の6万2000ドル台まで売られていたビットコインも反転。ダウ30種平均は初めて5万ドル台で取引を終えるなど、前日とは様変わりのリスクオンの流れとなった。NY金もその中で水準を切り上げた。

先物取引の証拠金の引き上げもあり、一般的には、元の上昇モメンタムがすぐに復活するというわけにはいかないと思われる。波乱の価格展開の末にそれでも4,979.8ドルで引けた先週のNY金は、週間ベース(週足)では前週末比234.70ドル(4.95%)高の反発となった。

JPX金、1日の上げ幅、下げ幅ともに過去最大を記録

こうしたNY金の乱高下を受け、国内金価格の値動きも大きくなった。大阪取引所の金先物価格(JPX金)の2月6日の終値は2万5130円と、1月20日以来約2週間ぶりの安値となった。週足は前週末比1460円(5.49%)安の反落となった。

前述のように4.95%の反発となったNY金との違いは、東京とNYの時差で週末の終値が異なることによる。前々週1月30日、JPX金の日中取引が終わった後の時間帯の取引で、NY金は過去最大の下げ幅を記録。それが週末の夜間取引を通じて、JPX金の先週(2月2日)の価格に反映されたためである。

なお週初め2月2日のJPX金の終値は2万2601円だった。前営業日比3989円安と、1日としては過去最大の下げ幅を記録した。一方で、NY金の反発を受け2月3日のJPX金は前日比2439円高の2万5040円で終了。過去最大の上げ幅を記録する大荒れ状態となった。先週のレンジは2万2601~2万6620円で、値幅も4019円と大幅に拡大した。

今週(2月9日週)の動き:2月11日(水)発表の1月米雇用統計、2月13日(金)発表の1月の消費者物価指数(CPI)に注目/NY金終値で5,000ドル超となるか

今週(2月9日週)は米国で重要経済指標の発表が続く。延期されていた1月雇用統計が2月11日(水)に、また1月の消費者物価指数(CPI)が2月13日(金)に発表される。市場の関心は、地政学リスクからFRB(米連邦準備制度理事会)の政策方向を左右する経済指標へ戻りつつある。注目したい。

米労働市場の軟化を示した各指標

この点に関して、先週(2月2日週)に発表された指標は良い面と悪い面の両面で注目された。総じて、米労働市場の弱さを示唆する指標が注目を集めた。

2月6日に米ミシガン大学が発表した2月の消費者信頼感指数(速報値)は57.3と、1月確報値の56.4から上昇し、2025年8月以来、6ヶ月ぶりの高水準となった。改善は3ヶ月連続となった。市場予想は55.0だった。ただ、労働市場や、生活費の上昇を巡る懸念は依然続いているとしていた。

前日2月5日に発表された2025年12月の米求人件数は予想外に前月から減少した。654万2000件と前月の改定値(692万8000件)から低下し、20年9月以来の低水準だった。

一方、米企業(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス)が発表した1月の人員削減数は前年同月比2.2倍の10万8435件だった。1月としては2009年以来の高水準だった。

さらに1月31日終了週の新規失業保険申請件数は23万1000件と21万2000件の市場予想を上回った。米労働市場が万全ではないことを改めて示したと受け止められ、年前半のFRB(米連邦準備理事会)による利下げ観測を押し上げた。

米雇用者数の年次改定、ウォラーFRB理事の講演に注目

こうした結果を受け、1月米雇用統計と1月米CPIの注目度はさらに高まった。雇用統計について、今回は毎月発表される非農業部門雇用者数や失業率に加え、雇用者数の年次基準値の改定が注目されている。例年1月に公表されるが、今回は2025年3月までの1年間について、雇用者数の伸びが大幅に下方修正される見通しとなっている。速報値との誤差により、景気認識や金融政策の評価に影響を与える可能性がある。CPIについては、言うまでもなくFRBの利下げ方針を探る手掛かりとなる。他では2月9日(月)のウォラーFRB理事の講演にも注目したい。

NY金については、1月30日の急落後につけた、取引時間中の高値である2月4日の5,113.90ドルを上回れるか否かが要注目である。急落後の終値ベースの高値は2月6日の4,979.80ドルだが、終値で5,000ドル超を維持できるか否かが今週(2月9日週)の焦点となる。