インデックスファンドの積立投資を長期で実践している水瀬ケンイチさん、なまずんさんに2025年の投資を振り返るとともに、2026年の投資計画や人生における投資の位置づけなどをお聞きしました。

水瀬ケンイチさん:堅実で退屈な投資法だからこそ、「投資以外」の大切なことに注力できる

投資歴25年、リーマン・ショックをはじめ様々な難局を乗り越えてきたインデックス投資家の水瀬ケンイチさん。マーケットに振り回されず、長期投資のブレない姿勢で着実に資産を形成しています。
(男性・会社員・家族とともに東京在住)

――2025年の投資を振り返って、感想をお聞かせください。

2025年の投資については堅調でした。4月に「トランプ関税ショック」と言われる下落がありましたが、いつもどおり全世界株式型のインデックスファンド等の積み立てを続けているうちに、あっという間に回復。その後の上げ相場は皆さまご存じのとおりです。

――現在の金融資産について、資産ポートフォリオを教えてください。

毎年6月末と12月末の年2回、資産の確認をしています。2025年6月末時点では、先進国を中心とした株式市場の回復により株式クラスの比率が上がり、半年前の2024年12月と比べて債券クラスの比率が少し下がりました。 

※2025年6月末時点
出所:水瀬ケンイチさん作成

現在、積立用としては、全世界株式型のインデックスファンド1本を、新NISA口座を中心に運用しています。また、ポートフォリオ全体のリスクを自分の許容範囲内に抑えるため、株式100%ではなく、「個人向け国債 変動10年」も積み立てています。

NISAについては、旧NISA口座の保有商品は非課税期限いっぱいまで保有しつつ、新規の投資はできるだけ新NISA口座を活用しています。2024年同様、つみたて投資枠は毎月積み立て、成長投資枠は年初に一括投資する予定です。

――2026年の投資方針と今後の投資目標、目標金額などについてお聞かせください。

2026年もこれまで同様、全世界に分散したインデックスファンド等に積立投資して、バイ&ホールドします。リバランスは年1回、年末の予定です。投資自体にはあまり手間と時間をかけず、のんびりやりたいと思っています。

目標金額は特に決めておらず、余裕資金は使う時まで「有利な場所」に置いておく、という感覚です。投資目標も特にありません。投資は楽しい人生を送るための「手段」に過ぎず、「目的・目標」ではないと考えています。

――資産の取り崩しなど、今後の人生の過ごし方についてはどのようにお考えですか?

必要になったら、必要な分を運用資産から取り崩すつもりです。もしFIREや定年等で定期的な取り崩しが必要になれば、定額ではなく定率で取り崩すと思います。あまりお金にとらわれることなく、一度しかない人生を楽しみたいですね。

――ご自身にとっての投資の醍醐味や魅力についてはいかがでしょうか? 

労働者として賃金を得るだけでなく、資本家として有利にお金を増やすことができるのが投資の醍醐味だと思います。私が長年実践している「インデックス投資」は堅実で退屈な投資法であり、投資自体はたいして面白くありません。

しかし、ほとんど手間がかからないので、たとえば本業・副業・家族との時間・趣味・ライフワークなど、「投資以外」の大切なことに注力する時間を多く取れるのが大きな魅力です。

――投資を継続するにあたって、決めていることがあれば教えてください。

「のめりこみすぎない」ことです。以前、個別株投資(デイトレ、バリュー投資)にのめりこみすぎて、本業や日常生活に支障をきたしたことがありました。「このままでは仕事も生活も失うことになる」と背筋がゾッとして、手間がかからない投資法としてインデックス投資を始めたのです。

自身に課している心構えは、「投資は自分のリスク許容度の範囲内で」。これは、投資法にかかわらず重要なことだと思います。

2022年9月掲載:【前編】「1億超えのひと財産を築いた成功の秘訣」そのために必要な手法とは?インデックス投資家・水瀬ケンイチさん

2022年9月掲載:【後編】「精神的な余裕を産み出す仕組みづくり」長期投資こそブレない姿勢が必要な理由とは?インデックス投資家・水瀬ケンイチさん

なまずんさん:一時は大幅減少するも年初来から約1500万円資産アップ、金融資産1億円を次の目標に

20代の頃からインデックス投資を開始。約400万円あった奨学金の返済をしながら、わずか5年で世帯の資産3000万円超を達成した、なまずんさん。投資歴9年。2025年11月時点の資産は8000万円。夫婦で手堅い投資を継続中。
(30代・会社員・家族とともに首都圏在住)

――2025年の投資を振り返って、感想をお聞かせください。

2025年は一時、1000万円ほど金融資産が減少しましたが、その後に回復したおかげで年初来から約1500万円増えています。こんなに早く、大きく上昇するとは考えていなかったのですが、下落時もあわてずに、将来を見据えて運用を続けたことが好成績につながりました。

――現在の金融資産について、資産ポートフォリオを教えてください。

現在は、同じ指数に連動する3つの先進国株式インデックスファンドの割合が最も多い状況です。

出所:なまずんさん作成

なお、2024年以降は積立購入するインデックスファンドを全世界株式型の商品に一本化しました。新たに投資する分のほか、旧NISA(一般NISA)で運用期限を迎えた商品を同商品に変更しているため、全世界株式型のインデックスファンドの比率が高まっています。

――NISAについてお聞きします。現状の活用法と、2026年の方針についてお聞かせください。

2024年の新NISAの制度開始以来、成長投資枠では年初に全世界株式型ファンドを上限の240万円分、夫婦それぞれが購入しています。つみたて投資枠では上限の毎月10万円分、同じ全世界株式型の投資信託をクレカ積立で夫婦それぞれ購入しています。

NISAのメリットを最大限に活用すべく、分配金の出ない再投資型の投資信託で、できるだけ早く1800万円の枠を夫婦でそれぞれ埋めていく方針です。そして取り崩すときが来るまで「ほったらかし投資」ですね。

――2026年の投資方針と、今後の投資目標、目標金額などについてお聞かせください。

2026年も、全世界の株式に分散投資していく運用方針に変わりはありません。運用を開始した2017年から、資産形成と将来のインフレ対策のためにインデックス投資を続けてきました。会社員としての給与や副業による収入を運用に回しています。

マネックス証券でのマネックスカードのクレカ積立も、夫婦で活用しています。

前回インタビューを受けた2022年10月時点では世帯で3000万円を超えたところでしたが、株高・円安などの影響で、2025年11月には一時8000万円に届きました。次の目安は1億円ですが、ここ数年のリターンが続くと考えるのは楽観的すぎるでしょう。積立投資を続けるなかで、3~4年後に到達すればいいなという気持ちです。

――投資の醍醐味、面白さ、魅力についてはどのようにお考えでしょうか? 

「今、使わない余剰資金」を運用に回しておくことで、将来使えるお金を増やせることが投資の大きな魅力です。また、ある程度の資産規模になれば、将来使うお金を運用益でカバーできてくるので、将来のために無理に貯蓄する必要がなく、今使うお金を増やすことへの不安や迷いがなくなります。

このようにして、現在と将来の間でバランスを取りながら資産を増やしたり、人生で使えるお金の総額を増やしたりできるところが、投資の醍醐味だと思っています。

――投資を継続するにあたって、決めていることがあれば教えてください。

資産を大きく減らしてしまい、自分や家族が経済的に立ち行かなくなったり、精神的に立ち直れなくなったりすることが最大の問題です。そのため、値動きが大きすぎる資産や、過度なレバレッジをかけた運用方法に入れ込むのは危険だと考えています。リターンだけでなく、リスクを意識して判断するのが大事だと。だから、なるべく早い時期に運用金額を増やし、なるべく長く運用期間を取ることを目指しています。

また、私は前回のインタビュー時点で相場の先行きをやや不安視しており、当時は同意見の人もいました。しかし結局は大きな上昇相場が来て、直観を外しました。自分や他人の予想を基準に投資行動を変えることにも落とし穴があるのです。

迷ったときは、「どのような投資行動を取れば将来の自分に褒めてもらえるか」を考えていくと、長期的な目線で妥当な選択ができるのではないでしょうか。

2022年11月掲載:【前編】5年で資産3000万円達成!30代投資ブロガーなまずんさん

2022年11月掲載:【後編】30代投資ブロガーなまずんさんの欲ばりすぎない資産形成術