<< <<【前編】5年で資産3000万円達成!30代投資ブロガーなまずんさん

世界の株式インデックスファンドに分散投資

――投資を始めてからの運用方針と、現在のポートフォリオについて教えてください。

リスク資産の大半は、毎月定額で購入している日本株式、先進国株式、新興国株式のインデックスファンドです。30〜40年の長期保有を視野に入れ、およそ日本株式が10%、先進国株式80%、新興国株式10%という割合で、ほぼ世界の時価総額比に合わせて分散投資しています。

日本株式はTOPIX、先進国株式はMSCIコクサイ・インデックス、新興国はMSCIエマージング・マーケット・インデックスをベンチマークとした投資信託の積立をしています。かつては日本のREIT(不動産投資信託)などを買っていたこともありますが、いまは追加投資をすることなく保有しているだけです。

【図表】インデックス投資の内訳
出所:なまずんさん作成(2022年9月末時点)

――投資信託の商品を選ぶ際に重視するポイントはありますか。

重視するのはやはりコストで、とくにその多くを占める信託報酬をチェックしています。長期の運用であればあるほど信託報酬がリターンに影響してくるので、同じ指数に連動するものを比較して、なるべく信託報酬の低いファンドを選んでいます。

また、長期運用の途中でファンドが償還されたり、運用状況が大きく悪化したりした場合の影響を減らすため、同じ指数に連動する複数社のファンドを購入することもあります。

情報を比較検討して投資の「不確実性」と向き合う

――投資に関する情報収集で大切にしていることはなんですか。

それが事実として正しいか、妥当であるかを重視しています。投資手法そのものについては、長年、多くの人の支持を得続けている書籍の情報が最も信頼できるでしょう。自分が支持する手法や投資戦略とは対極にあるような考えや意見の書籍を、ときには読んでみることもあります。投資には、運用目的によっていろいろな「正解」があると思っているので、いろいろなデータを比較検討しながら、自分にとって妥当かどうかを判断するようにしています。

投資は過去のデータを裏付けとすることが多いですが、未来は誰にも分からないし、今ある理論も「仮説」にすぎないものがたくさんあります。そのような「不確実なもの」を取り扱っていることを強く意識しています。

――FP(ファイナンシャルプランナー)のテキストも投資を理解するものとして活用されているそうですね。

将来に必要な資金が足りなくなるような大きな失敗を防ぐには、大まかにでもライフプランを立てて、どのくらいのリスクを取れるか考えることが大事です。また、投資をするには、制度や税金などの仕組みを理解しておくことも大切で、そういったマネーにかかわる体系的な知識をまとめたものとして、FP2級のテキストを重宝しています。最近の制度の変更などについても、コンパクトにまとまっていておすすめです。

「経済的自立」が人生の幅を広げる

――30歳で資産3000万円という1つの節目を達成された今、今後の資産の目標額はありますか。

35歳ごろまでに、「世帯の金融資産の合計が5000万円」というのが、次の目標でしょうか。でも、35歳で5000万円あれば、それを年率3%で運用すると60歳で1億円を超え、これなら安心だろうと考えている、といった程度です。

――なまずんさんにとっての投資の目的とは何でしょうか?

投資の一番の目的は、退職後の資産形成です。土台にあるのは、「人生100年時代」を迎えた今、「100歳まで長生きしてもお金が無くならないマネープランを作りたい」という希望なので、「何億円も資産を積み上げていく」といったことには正直、あまり魅力を感じないのです。言いかえれば、人生で使えるお金の総量を増やすために投資をしているので、マイペースに資産を増やしつつも、自分たちの暮らしを快適にするためのお金は、惜しまず使っていきたいですね。

「FIRE(経済的自立と早期退職)」が話題ですが、私が実践したいのは「FI=経済的自立」の部分。老後のお金の不安がなくなれば、人生後半の選択肢が増え、働き方をスローダウンし、自然豊かな地域との「二拠点生活」だって可能かもしれない。一定の資産があることで将来の不安がなくなれば、暮らし方や人生の幅が広がると思います。

投資は早く始めるほど時間を味方にできる

――これから投資を始めたいという同世代の方にアドバイスをお願いします。

将来の生活資金の準備を早くから始めることはとても重要で、その手段の1つとして投資を始めてみてはいかがでしょうか。昔は投資をするために高いハードルがありましたが、今は税制優遇制度も充実しており、長期運用に適した低コストな商品を投資することもできます。

同世代ということで言うと、私の親しい友人の半分くらいは投資について調べたり、実際に始めたりしています。インデックス、高配当、優待投資などスタイルはさまざまですが、堅実に取り組んでいる人が多い印象ですね。とくに、「長期・分散・低コスト」を実現でき、非課税制度のメリットが享受できる「つみたてNISA」が入り口になっています。

投資は若いうちから始めれば、そのぶん時間を味方につけられます。ただし、「お金を増やすこと」だけが目的になると、自分のリスク許容度以上の投資をしてしまったり、お金を使うべきタイミングで出し惜しみしたりしがちです。投資をするのはあくまで「手段」だと意識して、今使うお金と将来のためのお金をうまく配分しながら、人生を楽しんでほしいと思っています。

――本日はどうもありがとうございました。

※本インタビューは2022年10月18日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。