20代の頃から月20万円をインデックス投資で運用。約400万円あった奨学金の返済をしながら、わずか5年で世帯の資産3000万円超を達成したなまずんさん。現在30歳、手堅い投資を継続するなまずんさんが描く、株式市場における“弱者”が負けないための戦略、インデックス投資に出合ったきっかけや現在のポートフォリオ、投資で達成したいことなどをうかがいました。

●なまずんさんプロフィール●
30代会社員。『ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理』や『敗者のゲーム』(いずれも日本経済新聞出版社)などのインデックス投資の古典的名著を読んで感銘を受け、2017年から本格的にインデックス投資をスタート。同世代に向け、自身の資産形成や家計管理の実践が参考になればという思いからブログ「なまずんの弱者のゲーム」を通して情報発信を始める。現在は夫婦でインデックス投資を実践中。

学生起業家の勉強会で投資に目覚める

――投資に興味を持ち始めたのはいつごろでしたか。

「投資」に意識を向けるようになったのは、大学時代です。そのころは、いずれ起業したいという漠然とした夢を持ち、学生起業家の勉強会などに足を運んでいました。ですが、実際に起業した人や目指している人たちに接すると、起業にかける思いや行動力がケタ違いで圧倒されてしまいました。

結局、このような人たちと渡り合うのは無理だと感じて、この道は早々に諦めることに。でも、事業を行ったり拡大したりするための資金調達に、投資家が重要な役割を果たしていることを知り、投資のほうに興味を持つようになりました。

――その後すぐに投資をスタートされたのですか。

各種情報を見てFXや個別株を少額で試したこともありますが、ずっと値動きが気になり、結果も出ませんでした。これらについては、私自身の性格にも合わないと感じ、結局3ヶ月ほどで見切りをつけました。ただ、就職したらしっかり勉強して、なるべく早いうちから資産運用をスタートしたいという思いがありました。

そこで、就職先を選ぶときには、「賃金カーブは急上昇しなくても、20代にもしっかり給与を支払う業界・職種」を重視しました。若手でも高収入が見込める仕事をして、余剰資金を運用に回していきたかったのです。

資産運用の戦略はインデックス投資の名著をヒントに

――投資を本格的に始めるにあたって、どのように投資を勉強されましたか。

社会人になって、本格的に始めようと情報収集しているときに読んだ『ウォール街のランダム・ウォーカー』や『敗者のゲーム』などの古典的な名著に影響を受けました。

将来の株価を正確に予測することはできないし、どんな投資家でも市場平均を継続して上回るのは難しい。しかし、長期にわたって世界の経済活動の成果を取り込める「インデックス投資」であれば、個々の銘柄に詳しくない私のような個人投資家でも実践できて、長期的には資産を増やしていけることを学びました。データをもとにした記述や解説に納得できる部分が非常に多く、この戦略を取り入れることにしました。

投資を始めるにあたっては、これらの本だけでなく、インデックスファンドを保有する投資ブロガーさんの記事も参考にしました。今でこそ、若い世代も資産運用についてSNSなどで積極的に情報発信していますが、当時は、20代の投資ブロガーがまだ少なかったのです。そこで少しでも、自分と同世代の方たちへの参考になればと思い、「20代からの資産形成の実践録」としてブログもスタートさせました。

独身時代から月20万円を投資

――20代の頃から月20万円ずつ投資に回されていたそうですね。

就職してから最初の3年間は、親族と同居して住居費を抑えられた期間もあったため、月に約20万円を投資に回すことができました。

投資で得られる収益は「元本×収益率」で、それが運用期間にわたって続きます。つまり、インデックス投資で効率よく資産を増やすには、運用を少しでも早くスタートすることと同時に、投資額をなるべく多く確保することも重要なポイントだと考えました。

――ご結婚されてから積立額はどう変化しましたか。

夫婦ともそれほど浪費家ではなく、将来に向けて資産運用をするという意識統一は早い段階からできていたと思います。共働きで収入を確保しながら、通信費や住居費、車、保険などの固定費が大きくならないようにして投資資金を捻出し、現在では夫婦合わせて年間で約500万円を積立投資しています。万が一に備えて「生活費2年分」である約1000万円を銀行預金で確保しているので、家計の収支でプラスとなっている500万円をそのまま投資に回している状況です。

長期的視点に立ち「負けないこと」を意識

――2022年の3月末時点にはご夫婦での資産合計3000万円を達成されました。投資を始めて5年ですが、ここまでの道のりを振り返っていかがですか。

『敗者のゲーム』にも書かれていましたが、個人投資家にとって大事なことは勝てないゲームに参加することではなく、「負けないこと」だと思っています。この5年は株価の上昇がとくに大きかった時期でもあり、インデックスファンドを通じて全世界の株式に分散し、平均的なリターンを得ながら保有し続けるという戦略をコツコツと続けてきたら、まとまった金額ができていたという感じですね。

――相場が変動するなかで自身の投資スタイルを貫き通すのは難しいと感じることはありませんか。

「相場環境に心をかき乱されないですか?」とよく聞かれますが、上がったときはなんとなくうれしく、下がったときも「たくさん買えるな」と思うくらいです。30〜40年といった長期のスパンで考えているので、短期的な市場の変動に振り回されることはあまりないですね。経済活動が続く限り、長い目で見たときの株式市場は「プラスサムゲーム」であると考えているので。

また、他の投資スタイルにも良い面があると思うこともありますが、その反面でそれぞれ劣る部分もあります。たとえば、リスクが非常に大きい投資や相場に合わせて行動を変えるタイミング投資は、将来の予測を立てにくいですし、精神の安定のためにも避けています。資産形成の目的とリスク許容度を考慮すると、やはり今の投資スタイルが自分に一番合っていますね。

>> >>【後編】30代投資ブロガーなまずんさんの欲ばりすぎない資産形成術

※本インタビューは2022年10月18日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。