株主優待投資を実践している、小坊主さん、まーくん@株主優待さんに2026年の投資計画や人生における投資の位置づけ、投資してよかった「推し」銘柄などをお聞きしました。
小坊主さん:株主優待の発表や四季報などを参考に「欲しい銘柄リスト」を作成。株主優待を活用してコツコツ節約を。
30代から投資をはじめて、2年前に早期退職し専業投資家に。老後は配当収入で暮らせるように、夫婦でFIREを目指す小坊主さん。
(50代・女性・専業投資家/主婦・夫婦ふたり暮らし・東京在住)
250銘柄の株主優待の銘柄選定基準とは
――株式投資を始めたきっかけを教えていただけますか?
30代までは貯金ばかりで、投資はちょっと怖いものだと思っていました。ある日、マネー誌で株主優待を知って興味がわき、「クロス取り」という手法なら株価の影響を受けにくく、手堅く優待を得られると感じて本格的に始めました。その後、投資ブログを始め、少しずつ日本株の現物の売買にも挑戦するようになりました。近年は優待株の現物保有や高配当銘柄に魅力を感じるようになり、投資方針をシフトしています。
――株主優待銘柄を選ぶときに大切にしているポイントについて教えてください
無配の銘柄や、利益が出ていない企業は基本的に投資対象とするのを避けています。理想は配当利回り3%以上ですが、優待内容に魅力がある場合は、無配でなければ検討対象にしています。また、長期保有特典がある企業や、年2回以上の優待の配布がある企業、物価高でも優待内容が変わりにくい銘柄に魅力を感じます。
――現在保有している銘柄数はどのくらいでしょうか?また、保有銘柄の見直しのタイミングや基準があれば教えてください。
現在は約250銘柄を保有しています。企業の株主優待発表や四季報、投資ブロガーなどの情報を参考に事前に「欲しい銘柄リスト」を作り、株価が下がったと判断したタイミングで購入しています。「欲しい銘柄リスト」は定期的に見直し、更新しています。優待銘柄については基本的に株価が下落する傾向のある権利落ち日を待って取引をします。しかし、まだ上昇の余地があると感じれば権利落ち日を待たずに投資することもあります。優待が拡充された銘柄は買い増しを検討します。
一方で、優待が廃止された銘柄も高配当や増配、TOB(株式公開買付)が見込める場合は保有を継続します。TOBなどで手放した際は、年間の配当額が減らないよう、同水準の配当が期待できる銘柄を選んで組み替えています。
株主優待を活用して、住居費や光熱費以外の出費を節約
――NISAの活用方針について
保有している株は基本的に長期で継続保有し、受け取った配当金は再投資に回す予定です。NISAの「つみたて投資枠」では全世界株式型のインデックスファンドへの積立を続け、「成長投資枠」はIPOに当選したときのみ利用する方針です。
――数年間、物価高が続いている状況下において、投資で何か工夫している点はありますか?
物価高の中でも気兼ねなく外食や買い物、レジャーを楽しめるように、お米やコーヒー、調味料など生活必需品の株主優待がもらえる銘柄を多めに保有しています。
――人生において、投資の位置づけや今後の目標について教えてください。
夫婦それぞれでお金を管理しており、投資も別々に行っています。私が会社を辞めるまでは共働きで生活費を半分ずつ負担していましたが、現在は夫の収入のみで生活しています。株主優待を活用して、住居費や光熱費以外の出費をできるだけ抑えるように工夫しています。
今後は年間の配当額を少しずつ増やしていき、老後は配当収入で暮らせるように、夫婦でFIREを目指したいと思っています。
小坊主さんが選ぶ「推し」優待銘柄、 アークス(9948)やSTIフードホールディングス(2932)など5選
銘柄1:プロクレアホールディングス(7384)
100株以上保有すると、3,000円分の青森県の地元特産品を中心としたカタログが届きます。どの品物もレベルが高く、毎年鴨のハーフスモークを注文しています。
銘柄2:バリューHR(6078)
100株以上保有すると、自社のカフェテリアポイントをもらえます。私はdポイントに交換して、買い物全般に使用しています。継続保有をすることでもらえるポイントが増えるため、長期保有にもおすすめの銘柄だと思います。
銘柄3: アークス(9948)
100株以上保有していると、自社グループ商品券や青森県産りんご、アップルジュースなどから好きなものを選んでもらうことができます。青森県産りんごは大きさ、味ともに最高です。りんごジュースも美味しく、おすすめの優待です。
銘柄4:ダブルエー(7683)
100株以上保有で年に2回、靴やバッグの無料引換券がもらえます。2025年の10月以降はメンズスニーカーも選べるようになりました。ウェブストアで新しい靴やバッグを見るのがとても楽しく、毎回権利確定日が待ち遠しいです。
銘柄5:STIフードホールディングス(2932)
300株以上保有していると、3,000円相当の株主限定自社商品缶が届きます。2024年はさばの水煮缶でした。缶のデザインが毎回工夫されていて、かわいらしくテンションが上がります。味もおいしく、満足感が高い優待です。
まーくん@株主優待さん: 配当や優待を楽しみに物価上昇のストレスを和らげ、投資と生活のバランスを取りながら充実した人生を。
目標にしていた資産5,000万円を達成!お金を増やすだけでなく、日々の充実や健康といった人生の質を上げることを大切にしているまーくん@株主優待さん。
(30代・男性・会社員・夫婦ふたり暮らし、関西地方在住)
年初来安値の優待配当株を買ってインカムを貰い続ける投資を実践
――株式投資を始めたきっかけを教えていただけますか?
貯金と倹約、副業を続けて27歳で1,000万円ほど貯まりましたが、預金金利が低く「このままではお金が増えない」と感じました。2017年のビットコインブームをきっかけに暗号資産への投資を始めましたが、値動きが激しい相場に振り回されて睡眠不足になり、奥さんとの会話が減ってしまい自分には合わないと思うようになりました。
調べたところ、株式への投資ならば配当や優待で年間4~5%ほど得られることがあると知り、最初に投資をしたのはJT(日本たばこ産業)(2914)の株でした。届いたパックごはんの株主優待に感動しましたし、配当金をもらえたのも嬉しかったです。奥さんも喜んでくれて、「これなら続けられそう」と思いました。それ以来、年初来安値の優待配当株を買ってインカムを貰い続けるといった投資を続けています。
――株主優待銘柄を選ぶときに大切にしているポイントについて教えてください
株主優待の使いやすさはもちろん、配当金がある銘柄を選ぶようにしています。優待と配当を合わせて利回り4%程度を目安にしていますが、最も重視しているのは今後の増配が期待できるかどうかです。また、利回りが高すぎる銘柄は、株主優待の廃止や配当の減配リスクを考慮し、避けるようにしています。
――現在保有している銘柄数はどのくらいでしょうか?また、保有銘柄の見直しのタイミングや基準があれば教えてください。
100銘柄ぐらいです。保有銘柄を見直して売却するタイミングは「自身が投資したときの目的(ストーリー)が崩れた時」です。具体的には、優待目的で投資したのに希望する優待が廃止されたり、配当の増配目的で買ったのに減配したりと自身の目的が企業側の方針変更によって崩れてしまった時は売り、他の銘柄に乗り換えるようにしています。
「現金の価値が目減りする」ことを前提に投資方針を見直し
――NISAの活用方針について
NISA枠に関しては制度開始からインデックス投資で埋めてきたので2026年も継続する予定です。投資信託はS&P500や全世界株式型が中心でしたが、少しポートフォリオにスパイスも加えたいので、成長投資枠にNASDAQ100に連動することを目標としているインデックスファンド、つみたて投資枠ではFANG+(※)に連動するインデックスファンドに投資することを検討しています。
(※)FANG+:メタ・プラットフォームズ[META]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、ネットフリックス[NFLX]、アルファベット[GOOGL]Googleの4社を含む、米国市場を牽引するビッグテック10銘柄に厳選投資できる株価指数
――数年間、物価高が続いている状況下において、投資で何か工夫している点はありますか?
「現金の価値が目減りする」ことを前提に投資方針を見直しています。現金の価値は今後も下がっていくと考えているため、インフレに強いとされる株式の比率を高め、フルインベストに近い形で運用しています。
また、配当株や株主優待を中心に据え、「もらいながら耐える」戦略を取っています。配当や優待は日々の節約につながり、物価上昇のストレスも和らぎます。値上げを実感しても、「これからも優待が届く」と思うことで気持ちに余裕が生まれ、前向きに過ごせています。
――人生において、投資の位置づけや今後の目標について教えてください。
私にとって投資は、資産を増やして時間と経済的な余裕を得るための手段です。投資を始めた当初は資産を増やすことを最優先にしていましたが、年齢を重ねるにつれ、家族や友人との時間、日々の充実、そして健康の大切さをより強く意識するようになりました。
目標としていた資産5,000万円を達成した現在は、追加の入金はせず、会社員の収入は生活費と自己投資、旅行などに充て、人生の質を高めることを重視しています。
今後は、現有資産を運用で増やしつつ、収入は豊かな暮らしのために活用する方針です。FIREを目指すよりも、週4勤務などの働き方を見直すことを通じて時間のゆとりを確保し、投資と生活のバランスを取りながら充実した人生を送りたいと考えています。
まーくん@株主優待さんが選ぶ「推し」優待銘柄、ダブルエー(7683)やクリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)など5選
銘柄1:ダブルエー(7683)
年に2回、Oriental Trafficのオンラインショップで好きな靴がもらえます。家族にも喜ばれるおススメの優待です。さらに、2025年10月からはメンズシューズも選べるようになりました。
銘柄2:第一興商(7458)
100株以上の保有で5,000円分の優待券が年に2回もらえます。カラオケのビックエコーで使えるだけでなく、飲食店でも使える二刀流優待です。総合利回りも高く、長く持ち続けたいと思える銘柄です。
銘柄3: クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)
100株以上の保有で年間4,000円相当の優待食事券がもらえます。海鮮丼が美味しい「磯丸水産」やスイーツが美味しい「デザート王国」など、使える業態が幅広く、長期で保有していても飽きることなく楽しめます。
銘柄4:日本マクドナルドホールディングス(2702)
1年以上継続保有すると、バーガー類、サイドメニュー、ドリンクなの引換券が1枚になったシート6枚がもらえます。株主優待をもらうのに必要な投資金額は大きいですが、業績も財務も良く、安心して投資ができる会社です。
銘柄5:ベルーナ(9997)
100株以上の保有で、1,000円相当の自社取り扱い商品が選べるカタログギフトが年2回もらえます。食品やワイン、日本酒のほかに、ベルーナの通販カタログでも利用できます。10万円ほどで投資できるので投資初心者にもオススメだと思います。ホテル事業が好調で配当金も増配計画を発表し、優待と配当を両方楽しめる推し銘柄です。
――本記事は2025年11月に実施したメールアンケートをもとに構成しました。アンケートにご協力いただきありがとうございます。
