2026年2月23日に関東地方でも春一番が吹きましたが、その春一番とともに本格的な花粉飛散シーズンが到来しました。環境省が公開している「花粉症環境保健マニュアル」では直近の調査結果が紹介されており、花粉症の有病率は42.5%と報告されています。つまり国民の4割以上が毎年その症状に悩まされており、花粉症は大きな社会的問題となっています。
花粉症に悩まされる方々にとっては辛い時期ですが、株式市場ではこの時期になると花粉症対策関連銘柄が注目されます。そこで今回は、花粉症対策関連銘柄の投資タイミングについて検証しました。
検証対象とした花粉症対策関連5銘柄
花粉症対策関連銘柄といっても、その範囲は非常に幅広くなります。例えば空気清浄機や加湿器を製造するメーカー、それらを販売する家電量販店、花粉症対策の商品を幅広く取り扱うドラッグストアなども関連銘柄として挙げられます。また、マスク関連としては、マスクの素材を供給する繊維メーカーなども花粉症対策関連に含めることができます。
しかし、今回は花粉飛散量の増減による影響をより直接的に受けやすい企業に対象を絞り込み、鼻炎薬や点眼薬を手掛ける企業4社とマスク製造の1社の合計5社を検証対象としました。銘柄を絞り込むことで、花粉飛散量との関係をより明確に把握できると考えたためです。
【鼻炎内服薬・点眼】
・わかもと製薬(4512):目のアレルギー症状の緩和に適した点眼薬「アレジフェンス」を展開
・ロート製薬(4527):目薬分野で世界首位級の企業で、花粉症対策向けの点眼薬を展開
・久光製薬(4530):アレルギー専用鼻炎薬「アレグラFX」を製造
・参天製薬(4536):花粉アレルギー対策の点眼薬「サンテALシリーズ」を展開
【マスク製造】
・ユニ・チャーム(8113):花粉用マスクを製造。「超立体マスク」シリーズが花粉用の代表的製品
花粉症対策関連銘柄が話題になる時期は?
花粉症が話題になり始める時期は例年1月半ば頃です。気象予報に関する様々な機関から、その年の花粉飛散量の予想が公表されるタイミングになると、株式市場でも花粉症対策関連銘柄が話題に上るようになります。
ただし、この時期は花粉症対策関連として幅広い銘柄が取り上げられる一方で、実際の投資タイミングを特定しにくい状況でもあります。実際に検証したところ、花粉症対策関連銘柄は、関東地方におけるスギ花粉の飛散ピーク時期と重なる3月上旬から中旬にかけて、花粉飛散量が多い年に株価が上昇しやすい傾向が見られました。実際の飛散量が増加する時期には、「今年は花粉が多い」といった報道も増え、花粉症対策関連銘柄が改めて市場で意識されやすくなることが背景にあるとみられます。
花粉飛散ピーク期の株価パフォーマンス、「多い年」「例年並み」「少ない年」の結果は?
下記の図表では、花粉飛散量の大小によって2005年以降の各年を「多い年」「例年並み」「少ない年」の3つに分類し、それぞれの年について「3月上旬」と「3月中旬」の2つの期間における花粉症対策関連5銘柄の平均的な株式パフォーマンスを示しています。
なお、新型コロナ禍によるマスク特需が発生した2020年と2021年は特殊要因が大きいためサンプルから除外しました。花粉飛散量については、東京都保健医療局がウェブサイトで公表している千代田区のスギ・ヒノキ花粉の年間累積値(単位:個/cm2)を用いています。
注2: 「少ない年」のサンプルは6回、「例年並み」のサンプルは8回、「多い年」のサンプルは5回
注3:東京都保健医療局が公表している千代田区のスギ・ヒノキ花粉の年間累積値(単位:個/cm2)を用いている
注4:花粉症対策関連銘柄は、次の5社とする。わかもと製薬(4512)、ロート製薬(4527)、久光製薬(4530) 、参天製薬(4536)、ユニ・チャーム(8113)
注5:超過リターンの計算は花粉症対策関連銘柄の平均リターンから、日経平均株価のリターンを引いた超過
出所:東京都保健医療局庁とQUICK Workstation Astra Managerを用いて、マネックス証券作成
3月上旬において花粉飛散量が「多い年」の値は2.5%となっています。花粉飛散量が「多い年」は分析期間中に5回ありましたが、それぞれの年の3月上旬における花粉症対策関連5銘柄の日経平均株価に対する超過リターンを算出し、その平均を求めた結果が2.5%となりました。日経平均株価に対する超過リターンを計算することで、市場全体と比較してもリターンが高まる傾向があることが確認できます。
続く3月中旬の値は大きくはないものの、日経平均株価に対して0.3%上回る結果となりました。なお、ここで取り上げた期間以外では明確な傾向は確認されず、花粉飛散のピーク時期に花粉飛散量が多い年には花粉症関連銘柄も素直に連動して上昇する傾向があることが分かりました。
東京都保健医療局のウェブサイトでは今年の花粉飛散量の予想値も公開されています。千代田区は6,700個/cm2の予測となっており、下図では「多い年」に該当します。
2026年についても、3月上旬から中旬にかけての花粉症対策関連銘柄のパフォーマンスには注目が集まりそうです。
