日本株の配当株投資を実践している長期株式投資さん、ポメまるさんに、2025年の投資を振り返るとともに、2026年の投資計画や人生における投資の位置づけなどをお聞きしました。

長期株式投資さん:2025年の受取配当額は500万超、配当投資は短期的な成果を求めないことが重要

「日本の配当株」に投資している個人投資家の長期株式投資さん。2004年から株式投資を開始。リーマンショックで含み損を抱えた後、2009年に大型配当株メインにシフト。以降は、安定的に資産を増やし、運用資産2.2億円を突破。
(48歳・男性・退職後不定期でライター業をしつつ生活費は配当から充当・既婚・関西在住)

三菱商事(8058)、日本たばこ産業(2914)・・等が投資上位銘柄

――2025年の投資の振り返りとともに、日本株の高配当銘柄の中で投資成績の良かった銘柄などを教えてください。

2025年は4月に短期的な暴落が発生しましたが、私自身は冷静にこれまで通りの投資ができたことは良かったと思います。

投資成績の良かった銘柄はINPEX(1605)です。4月~5月頃は配当利回りが5%近くあり、かつ、INPEXは累進配当を方針としていたため、その水準から下落しても下落幅は少ないであろうという、負けにくい条件で投資ができました。1,800円台で投資して、現在は2,800円台なので50%以上株価が上昇しました。

――高配当株の投資実績はどのように推移していますか?

2008年から配当に着目した投資を始め、ある程度まとまった配当金を得られるようになったのは、2010年でした。配当を再投資すること、少しずつ保有株数を増やすこと、投資対象銘柄を増やすことで、年間の配当金(税引き後・手取り)が100万円を超えたのは2016年です。その後も引き続き、自分自身の基本方針を大切にし、配当投資を継続して現状に至ります。

2025年の税引き後の受取配当額については、2025年10月28日時点で日本の個別株3,362,626円、J-REIT138,148円、外国株996.3ドル(1ドル152円計算だと151,438円)。さらに、11月と12月で2,000,000円程度の配当(税引き後)を受け取る見込みです。

【図表】長期株式投資さんの配当額の推移
出所:長期株式投資さんのデータよりマネックス証券作成

――現在の保有上位銘柄について教えてください。

三菱商事(8058)、日本たばこ産業(2914)、三井物産(8031)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、NTT(9432)などが上位銘柄となります。配当を目的とした高配当銘柄が占める割合は全体の8割以上ですね。

配当を目的とした投資は、値上がり益を狙う手法とは異なるため、短期的な成果を求めずにじっくりと取り組むことが重要です。コツコツと投資を続けていくことで、株数が増え、増配により受取配当額も自然に増えていきます。結果的に資産形成が進み、配当により生活を豊かにすることができるようになると考えています。

NISA成長投資枠では、配当株を相対的に割安な状態のときに投資することが重要

――NISAについてお聞きします。現状の活用法と、2026年の方針についてお聞かせください。

現在NISA口座で保有している株式はそのまま継続保有する予定です。2026年分のNISAのつみたて投資枠では、平均的なリターンを期待するという観点から、2025年に引き続き全世界株式型へ投資していく予定です。

成長投資枠では、長期保有が可能な銘柄という視点から、現在NISA口座で保有している銘柄へ優先的に投資(買い増し)していきたいと考えています。具体的には、ショーボンドホールディングス(1414)、INPEX、ブリヂストン(5108)、三菱商事(8058)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)などです。なお、いつ買ってもよいわけではなく、相対的に割安な状態のときに投資することが重要だと認識しています。 

非課税の恩恵を受けるため、NISA枠で優先的に投資していく予定です。NISA口座では損益通算ができないことから、長期的な視点で保有し続けることができる銘柄を選択したいと考えています。

――今後の投資目標や、ご自身にとっての投資の魅力についてお聞かせください。

「配当額>生活費」というのが永らくの目標でしたが達成できたため、投資先企業の株主総会やIR説明会などに参加するなど、企業との接点を増やして理解を深めたり、楽しむという視点で投資してみたいと考えています。

投資は単に資産形成を進めていくということにとどまらず、株式投資について学んでいく過程でビジネスモデルや経営戦略等についても学ぶことができます。これらは実際のビジネスでも役に立つこともあり、多くのビジネスパーソンにとって価値のあることだと考えています。

2022年9月掲載【前編】【日本株】高配当株投資で配当額を増やした手法:サラリーマン投資家 長期株式投資さん

2022年9月掲載【後編】【日本株】配当投資を無理なく継続する仕組み:サラリーマン投資家 長期株式投資さん

2023年7月掲載 運用資産1.3億円!長期株式投資さんの配当株投資、「NISA」活用法

2025年1月掲載 2025年私の投資計画:日本株投資家編/お金の問題を解決し、自由な人生を送るための投資 

ポメまるさん:「使い道自由」が配当金の大きな魅力、相場下落時は優良銘柄を買うチャンス

2021年に「貯金残高が12万円8,000円しかない」という現実に危機感を覚え、浪費家から倹約家に転じたポメまるさん。2021年に株式投資を開始後は日本の高配当株を中心に、米国ETFや外国株式を保有し、投資2年目で資産1000万円を突破。2025年10月時点で約4,000万円に到達。
(30代の兼業投資家・男性・大学卒業後、会社員を経て独立・妻と愛犬と共に東京在住)

配当投資は「できるだけ割安な時に買うこと」と「保有株数を積み上げていくこと」

――2025年の投資の振り返りとともに、日本株の高配当銘柄の中で投資成績の良かった銘などを教えてください。

2025年は総じて好調な相場展開となりましたが、4月の関税ショックで瞬間的に暴落した際、数日にわたりかなり多めに株式を購入。結果として、その後の株価回復と株価上昇でリターンを得ることができたことは良かったと思います。

投資成績が良かった銘柄としては、丸紅(8002)です。同社は2025年2月に新中期経営戦略を発表しましたが、「既存の事業でこれだけ成長し、今後の新規投資の貢献分はこれくらい」といったように増益への道筋が具体的かつ細かく示されており、極めて解像度の高い中期経営戦略だと感じました。

バフェット銘柄ということもあり、数年前と比べると株価は大きく上昇していましたが、当時まだまだ割安と感じたため、2025年の2月と4月に買い増しを実行しました。丸紅の2025年の株価上昇率は、日経平均株価や他の総合商社のそれを大きく上回っています。

――現在の金融資産について、日本株の高配当銘柄が占める割合なども含めてお聞かせください。

現在の金融資産は約4,000万円に達しました。資産ポートフォリオとしては、現金20%、リスク資産(内訳:日本株、J-REIT、米国株、投資信託)80%です。そのうち日本の高配当銘柄は約55%(全体の44%)を占めています。

【図表2】ポメまるさんのポートフォリオ
出所:ポメまるさんのデータよりマネックス証券作成(2025年11月21日時点)

――NISAついてお聞きします。現状の活用法と、2026年の方針についてお聞かせください。

つみたて投資枠は全世界株式型に投資しています。成長投資枠は、日本の個別株と米国のニューヨーク証券取引所に上場している世界最大級のタバコメーカーであるブリティッシュアメリカンタバコ[BTI]に投資しています。2026年も変わらず、成長投資枠は配当狙いで個別株中心に、つみたて投資枠は引き続き全世界株式型に投資する予定です。

NISA枠はできる限り早期に埋めたいと考えていますが、1年で夫婦の枠満額を埋めるのは難しいので、できる範囲でと考えています。

――高配当株投資については、どのような投資方針をお持ちでしょうか?

配当株については、平時は1株投資でコツコツと、大きな下落が来れば、キャッシュが枯渇しないよう留意しながら積極的に買っていくつもりです。配当投資は「できるだけ割安な時に買うこと」と「保有株数を積み上げていくこと」、この2点を意識しながら淡々と続けていくことが大切だと考えています。

安く買うことが最も大切で、この視点を忘れてはなりません。この点、市場全体が大きく下落する暴落時は優良株を買いそろえる絶好のチャンスとなります。また、配当投資では「株数が物を言う」ため、自分が納得できる株価水準にあるならば、1株~数株ずつなど少しずつでよいので粛々と買い進めるスタンスでも良いかと思います。

「収入ー支出」の最大化と継続的な入金、時間を味方にして着実に資産を築くことが成功の秘訣

――今後の投資目標や、ご自身にとっての投資の魅力についてお聞かせください。

これまで続けてきた投資(配当株の長期保有+インデックス投資)を今後も5年10年と愚直に続けることが目標です。

株式投資を始めて4年目になりますが、私は配当投資が性に合っているとつくづく感じています。コツコツと株数を積み上げ、受取配当金を増やしていく過程をゲーム感覚で楽しんでいます。配当金の使い道は自由です。再投資に回してさらに配当金を増やすもよし、家族サービスに使うもよし、親孝行に使うもよし。この使い道自由という点が配当金の大きな魅力の一つですね。

実際に配当金が入金された時や企業から増配が発表された時の喜びはひとしおで、配当投資は「やめられない、とまらない」と常々思っています。

株式投資は長く続けてさえいれば一定のリターンを得られる可能性が高く、長期ではある程度報われるものです。早くお金持ちになろうとは考えず、しっかりと働き、支出を管理し、「収入ー支出」の最大化に努めて継続的に入金を続けながら、時間を味方にして着実に資産を築いていこうと考えています。

2024年2月掲載:長期目線の高配当銘柄7選。2年間で資産を大幅アップしたコツコツ型の投資術とは 個人投資家ポメまるさん【前編】

2024年2月掲載:夫婦で新NISAも実践!マイルールは「大きく減らさないこと」「長く続けること」 個人投資家ポメまるさん【後編】

――本記事は2025年11月に実施したメールアンケートをもとに構成しました。アンケートにご協力いただきありがとうございます。