2021年に「貯金残高が12万円8,000円しかない」という現実に危機感を覚え、浪費家から倹約家に転じ、株式投資を始めたポメまるさん。コツコツと入金力を高め、日本株の上昇相場を追い風に、投資を始めて2年目にして資産が1000万円を突破しました。ポメまるさんに高配当銘柄を選ぶポイントやポートフォリオについてお聞きしました。
●ポメまるさんプロフィール●
30代の兼業投資家。大学卒業後、会社員を経て独立。2021年12月から株式投資を開始。日本の高配当株を中心に、米国ETFや外国株式を保有している。Xやnoteで自身の投資戦略などを発信。妻とポメラニアン(愛犬)と共に暮らしている。X「ポメまる@高配当株投資」のフォロワーは7.3万人(2024年1月時点)。
「結婚したいけどお金がない」シビアな現実に直面し株式投資をスタート
――投資を始めたきっかけを教えてください。
「今の妻と結婚したい」と思ったことがきっかけです。恥ずかしながら独身時代の私は、お金があるとすぐに好きな洋服を買ってしまう典型的な浪費家でした。2021年の春にプロポーズを考え始め貯金残高を確認したら、12万8,000円しかない…。「これでは相手のご両親に同意してもらえないのではないか」と思って、同年6月から貯蓄を始めました。
これまで計画的にお金を貯めた経験がなかったので、ネットでお金に関する記事を検索したり、『となりの億万長者』(早川書房)や『バビロン大富豪の教え』(文響社)などの書籍を読むようになりました。それらに書かれていた「お金に働いてもらう」というメッセージが心に深く刺さり、投資に対する意識が芽生えたのです。
浪費癖を改め、洋服代を貯蓄に回すようになったら、半年間で150万円ほど貯まり、2021年12月から株式投資をスタートしました。
――最初はどのような銘柄に投資されましたか。
初めて購入した銘柄は日本たばこ産業:JT(2914)です。JTは配当利回りが良いという情報を見て、今買えば、3月に配当金がもらえると知り、権利確定日の2日前に1株だけ購入しました。そうすると実際に、3月に61円の配当金がもらえました。わずか61円ですが、とても嬉しかったですね。
――日本株の個別銘柄に投資しようと思ったのは、なぜですか。
お金に関する書籍や記事を読んでいると、インデックス投資(代表的な指数に連動する投資信託に投資をすること)を勧めるものが多く見受けられました。ただ、我が家の場合、妻が大学卒業時から投資信託でインデックス投資を続けているので、重複しなくてもよいかなと。また、私は、自分が応援したい会社や憧れだった会社の株主になりたいという気持ちが強かったので、個別銘柄に投資することにしました。
高配当株の投資方針は、株数および配当金の最大化を目指すこと
――現在の高配当株投資に至った経緯を教えていただけますか。
投資を始める前、株式投資について色々と調べていた頃に配当投資を知り、定期的に配当金が得られるのは自分の性格や好みに合っていて「長く続けられそう」と感じました。ただ、始めた当初は右も左も分からず、単に配当利回りが高い銘柄を買ったり、X(旧Twitter)上で話題に上がっている銘柄を買ったりしていましたね。少しずつ勉強や情報収集を重ね、投資開始から数ヶ月経った頃に、「累進配当(※1)・連続増配(※2)・長期非減配銘柄(※3)を中心にポートフォリオを固め、それらを割安と思うタイミングで買い、株数および配当金の最大化を目指す」という現在の投資方針に行き着きました。
私は単元(100株単位)で投資することは滅多になく、1株から数株ずつ株式を買い増ししています。投資を始めてから2年間、地合いに応じて強弱をつけつつも、ほぼ毎営業日、1株から数株ずつ買い続けてきました。お財布にもメンタル的にも優しい1株投資ができる環境が整っていたからこそ、始めの一歩を踏み出せたように思います。貯金ならぬ「貯株」という感覚ですね。
※1:累進配当銘柄とは、配当金を減配せずに配当水準を維持し、または利益成長に合わせて増配し続けている銘柄。
※2:連続増配銘柄とは、「年間の1株あたり配当金額」が増加し続けている銘柄。
※3:長期非減配銘柄とは、連続増配ではないが、20~30年以上配当を減配しておらず、実質的に累進配当と評価できる銘柄。
――現状、どのくらいの配当収入を得ていますか。
直近で、年間配当額は40万円になる見込みです。
――投資する銘柄はどのように選んでいますか。
投資を始めた頃は、長期株式投資さんの著書『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』(KADOKAWA)で公開されている「永久保有銘柄」を参考にしつつ、その銘柄について調べて購入しました。また、業界首位級の企業、私が就職活動をしている時に「入社したいな」と思っていた企業、子供の頃から馴染みのある企業などから、業績の推移・時価総額・財務面・配当実績・配当政策等を考慮しつつ選んでいます。
投資したい銘柄の配当利回りがある程度の水準に達したら躊躇なく買うようにしています。また、現在のPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)が過去5年平均と比べて下回っている時にも、少しずつ買うようにしています。
保有銘柄の中でも特に注力する7銘柄とは
――現在のポートフォリオ、保有銘柄について教えてください。
現金を除く金融資産のポートフォリオは、日本の個別株が85%、米国ETF中心に米ドル資産が15%を占めています。この比率は今後、市況環境に応じて多少、変わることもあるかと思います。
日本の個別株についてセクター別に見ると、総合商社、メガバンク、通信、リース、保険、食料品、化学、住宅などに分散投資しています。その中で、三菱商事(8058)、伊藤忠商事(8001)、日本電信電話:NTT(9432)、KDDI(9433)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、東京海上ホールディングス(8766)の7銘柄を主力銘柄と位置付けています。これらの銘柄については売却せず、ポートフォリオのバランスを崩さない範囲で、今後も積極的に買い増ししたいと考えています。
――優待銘柄も保有されているようですが、優待品を目的に投資することはありますか。
私自身、優待狙いで投資することはありません。配当を重視しつつ、おまけで優待品があれば嬉しいな…という程度で楽しんでいます。特に森永製菓(2201)では優待品として好きなお菓子がもらえたり、日清オイリオ(2602)では生活に欠かせない油をもらえたりするので、助かりますね。
――今後、投資を検討している銘柄があれば教えていただけますか。
新規に投資を検討している銘柄は、アサヒグループホールディングス(2502)やブリヂストン(5108)などです。株価が割安な水準に達したら購入したいと考えています。
――売買のタイミングについては、どのようにお考えでしょうか。
配当銘柄については、基本的に「売らないスタンス」でいます。投資を始めてから2年間のうちに、株価が大きく上昇したという理由だけで安易に利益確定した銘柄もありますが、後悔している気持ちのほうが強いので…。原則として、売却することは考えず、保有株数と配当金を最大化することと、できるだけ割安なタイミングで買うことを大切にしています。
外国株式に分散投資する理由
――日本株以外で保有されているドル建て資産について、具体的に教えていただけますか。
投資を始めて3ヶ月後に、「米ドル資産を持ちたい」と思いました。米国株に投資するにあたって、英語で複数銘柄の決算資料を読み込むのは骨が折れるため、1本で幅広い銘柄に分散できるETFをメインに投資しています。
具体的には、米国株式市場に上場されている400銘柄以上の高配当株式が組み入れられたETF[VYM](ベンチマーク:FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス)に投資しています。タイミングはさほど気にせず、積立感覚で定期的に買っています。
その他、米国株では、ブリティッシュアメリカンタバコ[BTI]を保有しています。VYMの配当利回りは3%程度ですが、ドル資産ポートフォリオ全体の利回りを高めたいと思い、サブ(補助的な役割)銘柄という位置づけで投資しています。ちなみに、現在BTIの株価が低迷している為、コツコツ買い増しを行っています。
タバコセクターについては、賛否両論ありますが、個人的には、今後も当面はキャッシュを稼ぎ続け、しっかりと株主に還元してくれると考えています。
資産を増やす秘訣:お金に対する意識と行動を変えること
――2年弱で資産を1000万円超えまで増やされたそうですが、その要因は何でしょうか?
本業に注力しながら、適度な倹約に努め、余剰金を貯蓄と投資に回してきたことが主な要因だと思います。そこに昨今の大幅な株価上昇と円安が追い風となり、結果として資産評価額が大きく上昇しています。短期トレードで大きく稼いだとか、テンバガーを掴んだといったような特別なことは何もありません。お金に対する意識と行動を変えたことが功を奏しました。
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※本インタビューは2024年1月22日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。