現在のファンダメンタルズ:9月利下げは織り込みも細かく上下する流れ
先週(8月11日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 146.211円~148.516円 147.179円
・ユーロ/米ドル:1.15897ドル~1.17298ドル 1.17032ドル
・ユーロ/円: 170.969円~173.013円 172.255円
先週(8月11日週)の米ドル/円:ベッセント米財務長官の発言で米ドル売りへ
先週(8月11日週)は、8月11日が東京市場の祝日という中、米金利低下の動きから米ドル売りが先行して始まりました。しかし欧州市場以降は米金利が上昇に転じたことで米ドル買い戻しが強まります。8月12日の米国CPI発表までは買い戻しが強まり、一時は週間高値となる148.516円の高値をつけました。CPI自体はほぼ予想通りの内容で、9月の利下げは変わらずとの見方から米金利低下、米ドル売りへと舵を切る動きとなりました。
さらに翌8月13日にはベッセント米財務長官が「米金利のあるべき水準は、今より1.5~1.75%低い」と発言したことから米金利が低下、米ドル売りの流れを強める展開となりました。ベッセント米財務長官はこれまでもFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に対し、明確に利下げ催促を促す発言をしてきましたが、9月の利下げ幅も0.5%が望ましいとし、さらに日銀の金融政策についても後手に回っており、利上げするだろうと発言しました。日米金利差縮小思惑が米ドル/円を一段安へと動かし、8月14日東京後場には週間安値146.211円をつけました。
しかし、8月14日夜には米国PPIが予想を大きく上回る数字となったことから、それまで米ドル売りで動いていた向きのストップオーダーも加わって148円近くへと買い戻しが強まりました。長期的な流れとしては米金利低下と米ドル売りが優勢という流れの中で、米ドル/円は147円台前半とほぼ週のレンジの中程での週末クローズとなりました。
先週(8月11日週)のユーロ/米ドル:前週の下げに対する調整の週
先週(8月11日週)のユーロ/米ドルは、基本的に米ドル/円での米ドルの動きと同様でした。米国CPIからベッセント米財務長官の発言までは米ドル売り(ユーロ買い)の流れとなり、米国のPPIの結果で米ドル買い(ユーロ売り)、週末に向けては改めて米ドル売り(ユーロ買い)の流れになりました。
米ドル/円に比べるとレンジ自体は狭いものの、水準的には1.17ドル超えでのユーロ売りが思いのほか根強い印象でした。また米露首脳会談は停戦合意をできないだろうという事前に予想された通りの結果でサプライズもなく、ユーロ/米ドルをはじめ欧州通貨への影響はほとんど出ていません。
なお、今週(8月18日週)は後半にジャクソンホール会議があり、8月22日にはパウエルFRB議長の基調講演が行われます。9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での0.25%利下げというコンセンサスに対して、何らかのヒントとなる発言を行うのかどうか。この点が今週最大の注目材料となるため、それまではユーロ/米ドルも米ドル/円も大きく方向性を切ることは難しいとみられます。
米ドル/円チャート(週足)、上値の重さが気になるチャート
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、大きくは米ドル高の流れで変わっていませんが、7月28日週にトンカチ(上ヒゲが長く実体が短い)が高値圏で出たため、上値に対しての警戒感も強い状態に変化はありません。引き続きトライアングル(黄色)の中での動きを継続しやすい地合いにあるとみています(図表1)。
短期的には日足チャートをご覧ください。
米ドル/円チャート(日足)、8月15日にデッド・クロス
短期的な判断は日足で行います。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
米ドル/円はゴールデン・クロス状態から8月15日終値でデッド・クロスしたことから短期的にも上値の重さが意識されやすい流れにあります。先週のベッセント財務長官発言以降、金利低下とドル安の流れに向かいやすい状況にあります(図表2)。
その場合下値の目処がどこかということになりますが、週足トライアングルの下側サポートラインにはまだ距離があるため、7月24日安値145.851円に水平線(緑)を引きました。145円台後半は過去にもサポート・レジスタンスとなっていたことも多く、今回も止められやすい水準と言えるでしょう。
ユーロ/米ドルは週足、日足とも上昇トレンドを継続中
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)は移動平均線を上回った状態を維持し、3月以降の上昇ウェッジの中で緩やかな上昇トレンドを継続している状態で、当面は移動平均線とサポートラインが同水準に位置していることから、下値は底堅い流れが続きやすいチャートです。
また日足チャート(図表4)では8月5日に発生したゴールデン・クロス状態が継続中で、こちらもまた底堅い流れを支持しています。ただ、年初来高値からのレジスタンスライン(青)に近づきつつあり、この水準を抜けるには米ドルの一段安となる材料が必要となるため、今週のFRB関係者の発言、特に8月22日のパウエル議長講演の注目度が高いと言えます。
ユーロ/円は高値圏でのもみあい局面
ユーロ/円は7月28日週の大陰線の足の中で高値圏でのもみあいを続けています。
ユーロ/円週足では、7月28日週の大陰線(169.723~173.891)のレンジ内で高値もみあい状態にあります。この足をどちらかに抜けていかないと次の方向性は出てきませんが、その場合でも年初来安値を起点とする平行上昇チャンネル(黄色)を抜け出すところまでは行き切らないとみています。
日足チャート(図表6)では8月5日のゴールデン・クロス状態が続いています。ただ直近では上値も重くなってきているため、米ドル/円の動き次第だとは思いますがいつデッド・クロスに転じてもおかしくないでしょう。現状は米ドルの動きが主となっているため、クロス円では明確な方向感は出にくい流れにあります。
短期的には年初来高値からの下げに対して76.4%戻しで上値を抑えられましたので、新たに7月31日安値と8月13日高値とのフィボナッチ・リトレースメント(緑)を引いてみました。14日の下げが61.8%押しで止められていますので、現状は171~173円のレンジでの横方向のもみあいになりやすいと言えるでしょう。
それでは今週も良いトレードを!
