東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は、前週末の米国株高と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用利回り目標が来年度から0.2ポイント引き上げられるといった報道から株式の組み入れ比率の上昇を見込んだ買いが入り上昇となりました。
8円高の38,216円で寄り付いた日経平均は、その後は買いの勢いも乏しく、値嵩株であるファーストリテイリング(9983)の下落と共に、すぐに下げに転じました。10時前に249円安の37,958円をつけ、本日の安値を更新すると、38,000円を割り込む場面では押し目買いが入り、その後は復調、11円高の38,220円で前引けとなりました。
後場にはGPIFのニュースから上げ幅を拡大し、38,400円から38,500円のレンジで推移しました。15時前に本日の高値である38,552円をつけるもその後伸び悩むと、最終的には304円高の38,513円で取引を終えました。
新興市場では、東証グロース250指数が3日ぶりに反落、0.4%安となりました。
2.個別銘柄等
ファーストリテイリングが1.3%安となりました。傘下のユニクロに関して、中国は主戦場である中で、柳井社長兼会長の発言がSNSを通じ中国国内にて反発が広がっていると報じられたことから、同社への懸念が売りを呼びました。
資生堂(4911)は6.6%安と大幅続落となり年初来安値を更新しました。前週29日に中期経営戦略のアクションプランを発表し、2026年にコア営業利益を7%、ROE(自己資本利益率)は7%まで伸ばすといった方針が示されるも、これまでの目標値からの下振れ等が意識され株安で取引を終えました。
フジクラ(5803)が6.4%高で続伸となりました。国内証券による目標株価の引き上げがきっかけで、今期はAI向け光配線材が収益を押し上げている中で、来期以降も米国のFTTH(光ファイバーを家庭まで引き込むサービス)向け需要が増えるといった見通しが示されました。
セイコーエプソン(6724)が3.4%高で4日ぶりに反発となりました。国内証券による投資判断の引き上げ、また目標株価も2,100円から3,200円まで引き上げられたことが材料視されて買いが先行しました。
三井住友フィナンシャルグループ(8316)は3.7%高で年初来高値を更新し3日続伸となりました。国内証券によって新たに同社のレーティングが開始され、投資判断は最上位で評価されていることや足元で日銀の利上げ観測が強まるといった外部環境も株価を支えました。
パワー半導体メーカーであるサンケン電気(6707)は一時15.1%高と5日ぶりに大幅反発となりました。前週末に発行済み株式数(自己株式除く)の24.8%、金額にして300億円を上限とした自社株買いを実施することを発表し、大規模な自社株買いを評価した買いが入りました。
その他の銘柄では、保険代理販売のFPパートナー(7388)がストップ安となる17.5%安をつけ大幅に4日続落となりました。同社に対し金融庁が立ち入り検査に入ったとの報道から株安となりました。IoTソリューション会社のACCESS(4813)もストップ安となる24.1%安で取引を終えました。米子会社で不適切取引が疑われ、決算を延期しています。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は先週から38,000円を割り込む水準では買いが入り、底堅さを示す中で本日はGPIFの利回り上昇を背景に思惑買いが入りました。一方で強さを伴う様子もなく、明日以降は米国の経済指標やFRB(米連邦準備制度理事会)メンバーの発言に目線は移っていくでしょう。
経済指標では、ISM製造業景気指数が公表予定で、またニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁とFRBのウォーラー理事の基調講演が控えており、利下げ見通しへのコメントに注目です。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)