52週MA、5年MAとの関係を確認する
米ドル/円の過去1年の平均値である52週MA(移動平均線)は、足下で152円程度となっている(図表1参照)。その意味では140円は、過去1年の平均よりかなり米ドル安・円高だ。この1年の感覚からすると、140円は結構円高になってきたという評価になるのではないか。

ただし、過去5年の平均値である5年MAは足下で130円程度なので、140円はそれよりはまだまだ米ドル高・円安だ(図表2参照)。その意味では、より多くの人が円安から円高に変わったと感じるためには140円ではまだ不十分で、130円程度まで米ドル安・円高になる必要があるのではないか。

ユーロ/円は今のところ、米ドル/円以上に円安が変わっていない
では同じように、クロス円の代表格であるユーロ/円についても確認してみる。ユーロ/円の52週MAは163円程度である(図表3参照)。ユーロ/円の先週末、4月11日の終値はまさに163円程度だったため、ユーロ/円の最近の水準は過去1年平均とほぼ同じであり、その意味では米ドル/円ほど円高に戻ったとは感じられないのではないか。

次にユーロ/円の5年MAを見ると、3月末時点で143円程度なので、足下はそれよりもまだかなりユーロ高・円安水準での推移になっている(図表4参照)。以上のように見ると、ユーロ/円は今のところ米ドル/円以上に円安が変わっていないとの評価になっている可能性が高いのではないか。

最後に円の総合力を示す実質実効レートについて見てみよう。実質実効レートは2月の段階で5年MAをまだ10%以上下回っていた(図表5参照)。つまり、過去5年の平均よりまだかなり円安だったわけだ。

まだ足下では円安が大きく変わったとの評価にはなっていない
米ドル/円、ユーロ/円について、過去1年の平均値、そして過去5年の平均値との関係を、さらに円の実質実効レートについては5年MAとの関係を見てきた。平均より比較的大きく円高になっていたのは、米ドル/円の過去1年の平均値に対してだけだったことを考えると、まだ足下では円安が大きく変わったとの評価にはなっていないのではないか。
これまで見てきたように、米ドル/円、ユーロ/円の5年MAは足下でそれぞれ130円、143円程度だった。その意味では、この先この5年MAを割れるようになってきたら、円安から円高に変わったとの評価が一般的になっていくのではないか。