モトリーフール米国本社– 2025年4月20日 投稿記事より

市場のボラティリティが高まる中、投資先を見つけるために参考にできるのが、投資会社バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]の株式ポートフォリオでしょう。バークシャーを率いるウォーレン・バフェット氏は、景気の変動に耐え得る持続可能な企業を見定める能力によってこれまで株主に莫大な富をもたらしてきました。ここでは、バークシャーの2,710億ドルに上る株式ポートフォリオから、成長株2銘柄を紹介します。

1. アマゾン・ドット・コム[AMZN]

アマゾンは、過去数十年間にわたり投資家に驚異的なリターンをもたらしてきましたが、バークシャー・ハサウェイがこの電子商取引(eコマース)の巨人に投資するまでには時間がかかりました。バークシャーは2019年に初めてアマゾン株を購入し、2024年末時点で1,000万株を保有しています。強固な競争優位性と魅力的なバリュエーションが相まって、現在この銘柄は魅力的だと考えられます。

過去数十年間にわたってアマゾンの成長の大部分を支えたのはeコマースでしたが、現在ではクラウドコンピューティング、広告、受注から決済までの業務全般を代行するサード・パーティ・フルフィルメント・サービスなどの非小売収入が、アマゾンの事業の大半を占めています。これは強みです。サービス業務はより多くの利益を生み出し、アマゾンの中で最も急成長しているセグメントであり続けているためです。

市場調査会社シナジー・リサーチによると、クラウド事業を担うアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、市場規模が3,300億ドルに成長しているクラウド市場で30%を超えるシェアを占めています。AWSは業界屈指のクラウド・サービス・プロバイダーとして、人工知能(AI)への需要の増加を収益化する位置にあります。AWSの収入は2024年に前年比18%成長し、年間1,076億ドルの収入は、アマゾンの総売上高の17%を占めます。

アマゾンが持つAI能力の進化は、オンライン小売事業における競争優位性をも高め続けるでしょう。アマゾンの顧客の家庭には6億台を超える音声アシスタント・サービスAlexa(アレクサ)端末が存在すると言われています。これにより、何百万人もの消費者がAIによって手軽にアマゾンでのショッピングが出来るため、アマゾンのeコマース事業から見れば非常に大きな価値があるものになる可能性があります。

アマゾンは、個人・法人顧客の生活に深く根付いています。本稿執筆時点でアマゾンの株価/営業キャッシュフロー倍率はわずか16倍にとどまっており、過去10数年で最も低い水準にあります。そのため、事業が成長を続けるにつれて、大きなリターンにつながるでしょう。

2.マスターカード[MA]

マスターカードは収益性が最も高い企業の一つであり、株価は過去10年間で500%近いリターンをもたらしました。2024年末時点で、バークシャーは大きな成長機会が見込まれ、幅広い競争優位性を有するこの企業の株式を400万株近く保有していました。

クレジットカード支出は経済成長に依存しますが、マスターカードの株価は2022年の下げ相場でもかなり安定していました。今年は景気後退への懸念が高まっており、投資家は、ポートフォリオにマスターカードを組み入れていることで成果が得られるでしょう。

マスターカードが景気減速に比較的強い理由は、銀行のようにカードを発行したりせず、信用リスクを負担したりしない点にあります。マスターカードは単にカード取引を決済処理し、それによって大きな収益を上げています。この事業は非常に利益率が高く、業界内で競合する主要なクレジットカード・ネットワーク会社は、わずかしかありません。

2024年、マスターカードは9兆8,000億ドルのカード取引を決済処理しました。その結果、収入は282億ドル、前年に比べ12%増加しました。マスターカードは通常、収入の約半分を利益に転換しており、2024年の純利益は前年比15%増加して129億ドルとなりました。

この事業は、長期的にも成長する可能性があります。マスターカードは世界1億5,000万ヶ所で利用可能ですが、毎年約1兆5,000億件の取引は今なお、現金や小切手で支払われています。マスターカードはこの機会を追うことになり、投資家にとっても大きなメリットだと考えられます。

本稿執筆時点で、マスターカードの株価収益率(PER)は37倍であり、割高に見えるかもしれませんが、これはこの卓越した成長株にとっては典型的なバリュエーションです。幅広い競争優位性を持ち、長期の成長が期待できる企業がプレミアム価格で取引されるのは普通であり、そうあるべきです。アナリストによるコンセンサス予想は、マスターカードの利益が今後数年間、年率14%で成長するとみており、投資家にとって優れたリターンを維持するでしょう。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。John Mackeyはアマゾン・ドット・コムの子会社Whole Foods Marketの元最高経営責任者(CEO)であり、モトリーフール米国本社取締役会メンバーです。元記事の筆者John Ballard は記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドット・コム、バークシャー・ハサウェイ、マスターカードの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。