モトリーフール米国本社 – 2025年3月30日 投稿記事より
テスラの株価、史上最高値から50%の下落は過去に3回
電気自動車(EV)大手であるテスラ[TSLA]の株価は、ドナルド・トランプ氏が大統領選挙に勝利した後の2024年12月に、480ドルという史上最高値をつけました。市場は、最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏とトランプ大統領との関係が、何らかの形で会社に恩恵をもたらすと予想していましたが、まだ実現していません。
その代わり、テスラの株価は3月初めに、史上最高値から50%強下落しましたが、これほどの急落は過去に3回しかありません。その後、株価は少し反発しましたが、依然として最高値を45%ほど下回っています。しかし、過去の経験から言えば、テスラは最終的に損失を取り戻す可能性が大きいのです。
歴史を見ると、テスラの株価は最終的には上昇し、下落による損失を取り戻してきた
先述の通り、テスラの株価は2010年6月の上場以来、過去に4回(2025年の下落含む)、史上最高値から50%強下落しました。今回の急落が今後どう展開するのかを予測するための教材として、以前の3回の事例を検証することができます。過去3回のケースで何が起きたかを見てみましょう。
2017年9月から2019年6月の下落
テスラの株価は2017年9月に約26ドルでピークをつけた後、2019年6月までに54%下落しました。この下落は、テスラの小型セダン「モデル3」の製造問題、多目的スポーツ車「モデルY」の生産の遅れ、そして決算に対する失望によるものでした。
その後、2019年12月にはEVピックアップ・トラック「サイバートラック」の発表から間もなく、新たな最高値をつけました。さらに、運用会社アーク・インベストメントのキャシー・ウッドCEOによる強気の予測も追い風になりました。2019年6月に底値をつけて以降、その後1年間で株価は394%のリターンを記録しました。
2020年2月から2020年3月の下落
テスラの株価は2020年2月に約61ドルのピークをつけた後、2020年3月までに60%下落しました。前回の下落がテスラ固有の要因によるものだったのに対し、この下落は、新型コロナウイルスの急速な感染拡大による工場閉鎖やサプライチェーンの混乱が引き起こした、株式市場全体の急落に引きずられたものです。その後、株価は2020年6月に新たに高値をつけ、2020年3月の底値から1年間のリターンは804%になりました。
2021年11月から2022年12月の下落
テスラの株価は2021年11月に約410ドルでピークをつけた後、2022年12月までに73%下落しました。この下落は、サプライチェーンの問題や、金利上昇を背景とする需要の低迷が主な原因でした。また、マスク氏がツイッター購入後に、テスラの経営に専念していないように市場では判断されたことも影響しました。その後、2024年12月にトランプ氏が米大統領に選出された直後、テスラは新たに高値をつけました。2022年12月の底値から1年間のリターンは140%を記録しました。
歴史は、テスラが最終的には株価下落による損失を取り戻す可能性が高いことを示唆しています。過去に50%を超える下落は3回ありましたが、その後株価は反発しただけでなく、底値から12ヶ月間で平均446%のリターンをもたらしました。もちろん、現在の下落が底値に達しているかどうかは分かりませんが、それでも株主にとっては心強い情報でしょう。
しかし、悪材料もいくつかあります。現在の下落は、基本的に前回の下落の延長線上にあると言えます。というのも、根本的な問題が解決されていないからです。むしろ、株価の反発は、マスク氏とトランプ米大統領との関係から、テスラが恩恵を受けるという期待によって起きました。しかし、テスラは依然として、需要の低迷と闘っており、マスク氏はこれまで以上に経営に専念していない判断される可能性もあるでしょう。
テスラの次のチェックポイント、需要を回復しロボタクシーの市場投入が円滑に進むか
テスラ車の需要は、世界中で悪化しています。2024年には主要3市場で市場シェアを失い、この傾向は2025年に加速しています。2025年1月には、市場シェアが米国で約7%ポイント、欧州で8%ポイント、中国で2%ポイント減少しました。
需要低迷の一因は、他の自動車メーカーとの競争の激化にあります。テスラのEVのラインナップが時代遅れになりつつあり、競争が厳しくなっています。テスラには2025年、より手頃な価格のEVを製造する計画があり、報道では「モデルQ」と呼ばれています。これがある程度の助けになる可能性があります。しかし、需要の低迷は、単なる競争の問題ではなく、マスク氏の政治関与にも関連している可能性が高いのです。
EV市場全体は大きく成長した一方で、2025年最初の2ヶ月間で、テスラの欧州での売上高は前年同期比49%減少しました。この衝撃的な数字は、マスク氏が潜在的な購入者を遠ざけ、ブランドに悪影響を与えている可能性を示唆しています。また、マスク氏が政府効率化省(DOGE)に多くの時間を費やしていることも問題であり、マスク氏がテスラにどれだけ積極的に関与しているのか疑問を投げかけています。
テスラが市場シェアを失っているだけでなく、2025年6月にテキサス州オースティンで自動運転のライドシェア(ロボタクシー)サービスを開始する計画があることも懸念材料です。グーグルの親会社アルファベット[GOOGL]傘下で自動運転を開発するウェイモ(Waymo)は、すでに数年前から複数の都市で自動運転サービスを提供しており、テスラは遅れを取っています。そのため、ここが重要な局面となり、テスラが巻き返しを図るためには、このサービス開始がスムーズに進む必要があります。
重要なのは、テスラの完全自動運転ソフトウエアが、全てコンピューター画像で作動するという点です。そのため、テスラのロボタクシーはWaymoのロボタクシーに比べてコストが低く、拡張性に優れています。Waymoは高解像度で街をマッピングするため、カメラに加えてライダーとレーダーを使用しますが、テスラはカメラのみを使用することで、コストと関連する時間を排除しています。
そのため、理論的にテスラは、完全な自動運転ソフトウエアが本当に自律運転をサポートするようになれば、どの都市でもロボタクシーを導入することが可能です。それに比べ、Waymoは運行する都市部の詳細な地図を事前に作成しなければなりません。しかし、テスラは実行リスクを抱えています。Waymoは一歩リードしており、複数の種類のセンサーを装備しているため、Waymoのロボタクシーより安全性が高い可能性があります
結論として、テスラの株価は過去に3回、50%超下落しました。その後、底値に達してからは常に3桁のリターンを達成し、最終的に新たな高値をつけてきました。しかし、この傾向が続くためには、テスラが需要問題に対処し、永続的なブランドの毀損を回避する必要があると考えます。また、近い将来に、ロボタクシーの市場投入に成功することが必須です。これらの要因がなければ、株価はさらに下落を続ける可能性があります。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの役員であるSuzanne Freyはモトリーフール米国本社取締役会メンバーです。元記事の著者 Trevor Jennewine はテスラの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアルファベットとテスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。