金利差との関係が大きく変わった
米ドル/円と日米金利差の関係
米ドル/円は、1月の158円から3月には146円まで下落した。米ドル/円の下落は、基本的には日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小に沿ったものだった(図表1参照)。
4月に入ると、3月までの安値を更新、米ドル/円は一段安となったが、それは日米金利差が拡大する中で起こったものだった。

4月に入ってからの米ドル/円の下落拡大は、日米金利差とはむしろ逆相関のようになった(図表2参照)。以上のように見ると、3月までの米ドル安・円高と、4月以降の米ドル安・円高は、日米金利差との関係においては正反対と言えるほど全く違うものだと言えそうだ。

ユーロ/米ドルと独米金利差の関係
このような金利差と逆行する為替相場は米ドル/円に限ったことではない。ユーロ/米ドルは先週(4月7日週)一段高となったが、それは独米金利差ユーロ劣位が拡大(ユーロ安・米ドル高示唆)する中で起こったものだった(図表3参照)。

米ドル/円との関係で確認したように、3月までの米ドル安は、基本的に金利差米ドル優位縮小に沿って起こっていた。それがなぜ、4月に入ってからは金利差米ドル優位拡大を尻目に米ドル安が広がることが目立つようになったのか。
独米の10年債利回りを見ると、トランプ大統領の相互関税発表から間もなく、米10年債利回りが急騰に向かったのに対し、独10年債利回りは低下傾向となった(図表4参照)。10年債利回りという長期金利は、基本的に「世界一の経済大国」米国の影響を受けやすく、従って独米長期金利は連動しやすいが、その意味では最近にかけての独米金利の動きは異例だろう。

米金利が上昇する一方で、独金利が低下するのは、米国債が売られる一方で独国債が買われている可能性も感じさせる。つまり、欧州の投資家が対米投資を自国内に引き揚げている可能性すら感じさせるところがあるだろう。
この先を考えるために
すでに見てきたように、3月までの米ドル安・円高は、基本的に日米金利差縮小に沿ったものだった。ただ3月の安値を更新した4月に入ってからの米ドル安・円高は金利差との関係では3月までとは全く異なっている。米ドル安・円高の理由が、3月までとは大きく変わり始めたことの理解は、この先を考える上でも重要なのではないか。