2025年は4月まで円高=5月以降円安へ転換で100円以上に戻る

2024年7月の109円から下落に転じた豪ドル/円は、2025年4月にはトランプ大統領の相互関税発表をきっかけに広がった世界的な株価暴落、「関税ショック」の中で86円まで一段安となりました。ただその後反発に転じると、10月以降は高市政権誕生で円安が急拡大する中で、豪ドル/円も100円の大台を回復するところとなりました(図表1参照)。

【図表1】豪ドル/円の月足チャート(2022年~)
出所:マネックストレーダーFX

このような豪ドル/円の反発は日豪金利差(豪ドル優位・円劣位)では全く説明できないものでした。日豪10年債利回り差は、1月には円劣位が3.5%近くまで拡大していましたが、その後は一時2.4%まで、つまり最大で1%も縮小したものの、それを尻目に豪ドル高・円安へ戻す展開になったわけです(図表2参照)。

【図表2】豪ドル/円と日豪10年債利回り差(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

このように金利差円劣位縮小を尻目に円安が拡大したのは、米ドル/円でも見られたことでした。米ドル/円の場合、その円安は日本の財政規律への懸念などによる日本からの資本流出の影響と考えられたわけですが、その意味では豪ドル/円での円安も基本的には同じような理由による可能性が高いのではないでしょうか。

日本からの資本流出の円安はまだ続く?=2026年の豪ドル/円は85~105円で予想

こうした中で、豪ドル/円は足下で96円程度の52週MA(移動平均線)を大きく上回ってきました(図表3参照)。経験的には、これは豪ドル/円が4月の86円で底を打ち、上昇トレンドが展開している可能性を示す動きです。その意味では、日本からの資本流出に伴う円安が続く中では、豪ドル/円は下がっても52週MAを大きく割れない程度にとどまり、さらなる高値更新に向かう可能性があるでしょう。

【図表3】豪ドル/円と52週MA(2008年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ただ逆に言えば、日本からの資本流出に伴う円安が終わり円高に転換した場合は、豪ドル/円も52週MAを大きく割り込み円高に向かう可能性が出てくるでしょう。私はその可能性もあると考えています。このため2026年の豪ドル/円は52週MAをはさみ円安から円高に転換する展開を想定し、予想レンジは85~105円とします。

豪ドル/米ドルは2025年後半小動き=CRB指数の小動きに連動か

対米ドルでの豪ドルは、2024年は4月の「関税ショック」の最中に0.6米ドルを割れる急落となりました。ただその後は、0.65米ドル前後での方向感の乏しい小動きが続くところとなりました(図表4参照)。

【図表4】豪ドル/米ドルの週足チャート(2025年1月~)
出所:マネックストレーダーFX

ただ金利差の観点からすると、もう少し豪ドル高・米ドル安が広がってもおかしくはなかったでしょう。例えば金融政策を反映する豪米2年債利回り差は、11月以降それまでの米ドル優位から豪ドル優位に転換しました(図表5参照)。これは、9月からFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを再開した影響などが大きかったのでしょう。では金利差変化の割に豪ドル高にならなかったのはなぜでしょうか。

【図表5】豪ドル/米ドルと豪米2年債利回り差(2025年5月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

2025年後半、豪ドル/米ドルが0.65米ドル前後で方向感のない展開となった動きは、コモディティの総合的なインデックスであるCRB(Commodity Research Bureau)指数と連動したように見えます(図表6参照)。代表的な資源国通貨である豪ドルは、このCRB指数と一定の相関関係がありますが、原油価格の下落が続きCRB指数も上げ渋ったことが、資源国通貨の豪ドルの上げ渋りにもつながったということかもしれません。

【図表6】豪ドル/米ドルとCRB指数(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

2026年の豪ドル/米ドルは0.6~0.7米ドルで予想

2026年は、トランプ大統領に指名された新しいFRB議長の下で米国は利下げが続く可能性が高いので、豪米金利差はさらに豪ドル優位拡大に向かう可能性がありそうです。そうであれば、コモディティ価格が大きく下落しない限り、基本的には豪ドル高・米ドル安へ向かう可能性が高いのではないでしょうか。2026年の豪ドル/米ドルは0.6~0.7米ドルで予想します。