2025年12月15日(月)8:50発表
日本 日銀短観2025年10-12月期

【1】結果:2025年10-12月期の日銀短観は改善、先行きでは悪化予想

2025年10-12月期の日銀短観における、全規模全産業の業況判断DIは前回7-9月期から2ポイント増の17%ポイントとなりました。前回の7-9月期時点の先行き予想では5ポイント低下の10%ポイントが見込まれていたものの、底堅い業況感となり、数四半期ぶりに景況感が改善しました(図表1、右)。一方で翌四半期(2026年1-3月期)の見通しは6ポイント低下が見込まれています。

【図表1】企業規模合計・全産業の業況判断DIの推移(「良い」-「悪い」、%ポイント)
※右図薄色線は2025年7-9月期時点の先行き。シャドーは景気後退期。
出所:日本銀行よりマネックス証券作成

業態、企業規模別に業況判断DIを確認すると、製造業は中堅・中小企業の景況感の改善が確認されました。一方で非製造業は規模を問わず、横ばい圏での推移となっています。先行きは総じて保守的な見通しが示されるも、大企業の製造業では底堅い景況感が見込まれます(図表2)。

 

【図表2】業態・企業規模別 業況判断DIの推移(「良い」-「悪い」、%ポイント)
※シャドーは景気後退期
出所:日本銀行よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:設備投資は前期比8.9%増見込み 中小のソフトウェア投資が堅調

2025年度の設備投資計画は、期初から徐々に上方修正されてきました。今回の10-12月期の発表でも小幅に上方修正され、同8.9%が見込まれています。目先の不確実性はありながらも、2024年並みの水準であり、設備投資需要の底堅さがうかがえます(図表3-1)。

【図表3-1】全産業 設備投資計画修正の推移(前年度比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成

業態・企業規模別に設備投資計画を確認すると、まちまちの内容です。製造業では、大企業が設備投資計画を拡大した半面、中小企業は下方に見直しました。一方で、非製造業はその逆で、中小企業が設備投資計画を上方修正しています。もっとも、過去の実績から大企業の製造業は期末にかけて設備投資計画を見直す傾向があり、懸念材料と考えられます(図表3-2)。

【図表3-2】業態・企業規模別 設備投資計画修正の推移(前年度比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成

中小においては、ソフトウェアを中心に設備投資を拡大する傾向がみられ、中小の2025年度ソフトウェア投資額は前年度比30.9%増が今回の短観データで示されました(大企業では同9.7%増)。かねてから、中小企業は人手不足の課題がある中で、省力化・生産性向上に向けた動きがある点は、中長期的なマクロの観点でポジティブな材料といえるでしょう。

【3】所感:12月利上げは大方織り込み済み 先行きは緩やかペースでの政策金利引き上げか

企業規模を問わず、景況感の改善が確認されたことで日本経済の底堅さが示された印象です。足元では日銀による政策金利の引き上げが2025年12月18日、19日の金融政策決定会合にて実施されるとの見方が大勢ですが、今回の短観の内容はそれを後押しするものと考えられます。

もっとも、市場の注目は、それ以降の金融政策運営にあるでしょう。直近の植田総裁の発言では、実質金利は依然緩和的であることを強調しており、引き締めを進めていくスタンスとは考え難いでしょう。インフレが現状程度(≒3%近辺)での推移であれば、緩和度合いを引き締めることも想定されますが、2026年度のインフレ見通しはいったんの減速を日銀は見込んでおり、この点からも政策金利の引き上げは漸次的なものと予想されます。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太