米国・イスラエルとイランの軍事衝突がエスカレートするとの懸念から、恐怖指数(VIX指数)が一時急騰したことが市場で話題となりました。今回は、この恐怖指数を用いた株価の予測手法について取り上げます。

一般的に、恐怖指数は水準が高いほど足元の株価は下落しやすいと言われています。しかし実際には、「水準」だけでなく「変化」もあわせて捉えることで、相場の先行きをより高い精度で予測できる可能性があります。本稿では、具体的なデータをもとに、恐怖指数を活用した株価の予測方法について解説します。

恐怖指数の基本と水準の意味

恐怖指数(VIX指数)とは

恐怖指数と聞くと、少し唐突に感じる読者もいらっしゃるかもしれません。恐怖指数とは、米国株式市場の代表的な指数であるS&P500のオプション価格から算出される指標で、今後の株価変動(ボラティリティ)の大きさに対する市場の予想を示すものです。市場参加者の不安心理を反映することから「恐怖指数」とも呼ばれています。

投資家のリスク回避姿勢が強まる局面では上昇しやすく、市場のセンチメントを把握する指標として広く利用されています。この指数は米国市場を対象に算出されるものですが、日本株の先行きを考えるうえでも参考にされることが多い指標です。

恐怖指数(VIX指数):20ポイント台になると市場において不安が意識される局面

恐怖指数が20ポイントを下回る局面は、市場が比較的落ち着いており、投資家の不安心理が低い状態といえます。20ポイント台になると、市場において不安が意識される局面であり、ボラティリティが高まり始めた状態です。

さらに30ポイント台に入ると、先行きの不確実性が高まり、投資家の不安心理が一段と強まります。40ポイント以上になると、市場は強いストレス下にあり、いわゆる「恐怖」状態にある局面と位置づけられます。実感としても、20ポイントを上回ると相場の先行きに警戒が必要と見られます。

恐怖指数の上昇局面では株価は下落しやすい

2026年3月9日には恐怖指数がザラバベースで35.30ポイントまで上昇しました。このため市場では、株価が先行き大きく下落するのではないかとの見方も強まりました。そこで実際に過去の恐怖指数の推移を確認してみましょう。図表1は2025年以降の恐怖指数の推移です。

2025年以降で恐怖指数が20ポイントを大きく上回った局面は、図表1で丸印を付けた3つの局面です。まず、2025年4月の急騰の背景にはトランプ関税ショックがあります。4月8日にはVIXが終値で52.33ポイントまで上昇しました。同日、トランプ米大統領は世界的な追加関税の上乗せを示し、日本にも24%の追加関税を発動しました。一方で、上乗せ分については90日間停止(10%のみ実施)とする方針も示されました。こうした政策の不透明感に加え、各国の報復関税による関税戦争のエスカレート懸念から、市場の不安心理が高まりました。

また、2025年10月16日と11月20日には、それぞれ25.31ポイント、26.42ポイントと警戒水準である20ポイントを上回りました。10月は米地方銀行の不正融資問題による信用不安、11月はAIブームの持続性への懸念が背景です。

【図表1】恐怖指数(VIX指数)と日経平均株価の推移
注:データ期間は2025年1月4日から2026年3月16日(但し恐怖指数は時点で利用可能な直近の米国市場(前営業日)の値)。データサイクルは日次
出所:Bloombergを用いて、マネックス証券作成

図表1で日経平均株価の動きを見ると、恐怖指数が上昇し危険水域に入る局面では株価が下落しています。このため、恐怖指数が20ポイントを上回ると短期的には株価が下落しやすいとする見方があります。その背景には投資家行動があります。先行き不透明感が高まるとプットオプションが買われ、その価格上昇が恐怖指数を押し上げます。同時に株式の売却が進み、需給悪化が株価の下押し要因となります。

もっとも、このような局面では短期的には下落する一方で、その後は中長期的に株価が上昇してきたケースも多く見られます。そのため、投資家のリスクオフが過度に進んだ局面では、逆張り的に投資を行うことで、結果的に高いリターンが得られる可能性があるとの指摘もあります。

恐怖指数の水準で分析する

そこで、実際に図表2でデータを見てみましょう。図表2は、恐怖指数(VIX)の水準ごとに、その後の日経平均株価の騰落率を集計したものです。具体的には、日本市場の起点時点で参照可能な直近の米国市場(前営業日)の恐怖指数の水準に応じてサンプルを分類し、それぞれの区分ごとに当日、2週間後まで、半年後までの日経平均株価の騰落率の平均を算出しています。分析期間は2000年以降の長期データを用いており、恐怖指数の水準とその後の株価パフォーマンスの関係を俯瞰的に確認できるようにしています。

【図表2】恐怖指数(VIX指数)と日経平均株価の推移
注1:分析期間は2000年1月4日から2026年3月16日まで 注2:各期間の騰落率は、日本市場の起点時点で利用可能な直近の米国市場(前営業日)の恐怖指数(VIX)の水準でサンプルを分類し、その区分ごとに日経平均株価の騰落率を平均している。
出所:Bloombergを用いて、マネックス証券作成

図表2から分かるように、恐怖指数の水準が高いほど、当日の株価は下落しやすい傾向がみられます。一方で、半年後までの中期的な期間で見ると、その後はリバウンドにより株価が上昇しやすい傾向も確認できます。ただし、恐怖指数が20ポイント台の「不安」局面では、半年後でもマイナスとなっています。このように、恐怖指数の水準からでも、ある程度は将来の株価を予測できる可能性があります。

ただし本稿では、さらに分析を深掘りし、恐怖指数の水準に加えて1週間前との比較による「上昇」または「下落」といった変化も考慮し、その後の日経平均株価の騰落率を集計しました。

恐怖指数の変化もあわせて分類するとより予測精度が高まる

恐怖指数の水準に加えてその変化を見ることで、株価の動きにはより明確な傾向が現れます。まず、恐怖指数が上昇している局面では、いずれの水準においても当日や2週間後までのリターンはマイナスとなっており、短期的には株価が下落しやすい状況であることが確認できます。一方で、半年後までの中期的なリターンを見ると、30ポイント以上と40ポイント以上の局面では上昇がみられます(図表3)。

【図表3】恐怖指数(VIX指数)の水準、変化とその後の日経平均株価の騰落率平均
注1:分析期間は2000年1月4日から2026年3月16日まで 注2:各期間の騰落率は、日本市場の起点時点で利用可能な直近の米国市場(前営業日)の恐怖指数(VIX)の水準と1週間前からの変化でサンプルを分類し、その区分ごとに日経平均株価の騰落率を平均している。
出所:Bloombergを用いて、マネックス証券作成

これに対して、恐怖指数が下落している局面では結果が大きく異なります。30ポイント台および40ポイント以上の水準では、当日から2週間後、さらには半年後まで一貫してプラスのリターンとなっており、特に40ポイント以上では半年後の上昇率が20%を超えています。

これに対して、恐怖指数が下落している局面では結果が大きく異なります。30ポイント台および40ポイント以上の水準では、当日から2週間後、さらには半年後まで一貫してプラスのリターンとなっており、特に40ポイント以上では半年後の上昇率が20%を超えています。

株価予測に恐怖指数(VIX指数)を活用する場合に重要な2つの視点

恐怖指数の水準よりも大切なこと

この結果から、重要なのは恐怖指数の水準そのものよりも、「恐怖が拡大しているのか、それとも収束に向かっているのか」という点も合わせて使う必要があることが分かります。恐怖指数が高水準であっても上昇中の局面では株価の下落圧力が続きやすい一方で、高水準から低下に転じる局面では、その後の株価は上昇しやすい傾向が見られます。

したがって、恐怖指数を株価予測に活用する際には、水準だけで判断するのではなく、その変化もあわせて確認することが重要であるといえるでしょう。

足元、半年先は株価が上昇にくい傾向だが、2週間程度の短期上昇が期待される

足元の2026年3月17日時点の恐怖指数は22.37ポイントとなっています。1週間前の3月10日の24.93ポイントと比較すると低下しています。図表3の区分では、「恐怖指数が下落」かつ「20ポイント台:不安」に該当する局面です。

この区分に基づくと、半年先までの期間(2026年9月頃)では株価は上昇しにくい傾向がみられる一方で、2週間程度の短期では上昇が期待される結果となっています。恐怖指数の水準と変化をあわせて確認することで、短期と中期で異なる相場の見方ができる点は、投資判断において有用といえるでしょう。

マネックス証券のウェブサイトで恐怖指数(VIX指数)を確認する方法

ここからは補足的な説明です。読者の皆さんが、ご自身のタイミングや最新データで恐怖指数(VIX指数)を確認する方法をお伝えします。

マネックス証券のウェブサイトから「MY PAGE」「投資情報」サイトの右側の「海外市況」のタブをクリックします。実際には、図表4の丸印のタブです。

【図表4】投資情報のウェブサイト
出所:マネックス証券ウェブサイト

クリックすると図表5が表示されますので、丸印のVIXをクリックします。

【図表5】投資情報のサイト マーケット情報
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年3月18日時点)

VIX指数のチャートと図表6の時期列データが閲覧できますので、ここから直近の水準と1週間前の値を比較すると、将来の株価予測ができますのでご利用ください。

【図表6】投資情報のサイト VIXの情報(時系列データ)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2026年3月17日時点)