イラン攻撃による価格への当面の影響
米国とイスラエルが2026年2月28日にイランへの攻撃(以下、本攻撃)を開始し、投資市場も混乱している。株式市場では乱高下が続き、日経平均株価は2月末比で3月11日に6.5%下落した。
この影響はJ-REIT価格にも波及しているが、東証REIT指数は同期間で1.3%下落にとどまっており、影響は今のところ少ないと言えるだろう。ただし、2025年末を起点に株式市場とJ-REIT市場を比較すると、図表の通りとなり、J-REIT市場は出遅れ感が強かったため2月末比での下落率が低くなっている。
本攻撃が長期化するかは不明な点が多いが、当面のJ-REIT価格への影響は少ないと考えられる。その理由として、J-REITは不動産賃貸業であるため、収益が景気に対して遅れて動く点が挙げられる。例えば、コロナショック(2020年2月)時に、オフィス賃貸仲介大手の三鬼商事の調べによると東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)のオフィスビル賃料は2020年の7月まで上昇を続けていた。
さらにJ-REITは分配金利回りが高いため、一時的な投資資金の逃避先として選択される可能性もある。債券利回りも高くなっているが、投資後に利回りが上昇した場合には含み損が生じることになる。一時落ち着いていた債券市場の先行きは、本攻撃によって不透明感が強くなっているため、投資家の資金逃避先としてJ-REITが魅力的になる場面もありそうだ。
価格急上昇の要因が削がれる状態
一方で本攻撃によって、J-REIT価格が急上昇する時期は遅くなりそうだ。その理由として、米国長期金利が安定的に低下することを期待できなくなった点が挙げられる。J-REIT価格は、外国人投資家による大幅な買い越しをきっかけとして急上昇することが多かった。外国人投資家は、米国長期金利の低下傾向が明確になると買い越しをする傾向が強い。
本攻撃前は、米国長期金利が低下傾向となる可能性が高い状態であった。米国のインフレが一定程度沈静化していることに加え、FRB(連邦準備制度理事会)議長が2026年5月に利下げを重視する親トランプ派に交代となる可能性があるためだ。つまり、米国長期金利低下の時期は比較的早く、金利低下に併せて、外国人投資家の大幅買い越しによるJ-REIT価格の急上昇が期待できる状況であった。
しかし本攻撃により原油価格は大幅に上昇し、インフレ再燃の懸念が拡大している。さらに軍事費増大により米国の財政支出が拡大し、投資家が債券売り(利回りは上昇)の動きを強める可能性もある。すでに米国財政は、トランプ関税が米国最高裁で違法と判断されたことで、約20兆円規模ともされる関税の還付手続きを行う必要が生じている。
またFRBが仮に利下げしたとしても、財政への懸念が残る限り米国長期金利は低下しない事態も想定される。したがって、日本国内の長期金利の低下が期待できない中で米国長期金利が高止まりするという状態となり、J-REIT価格は主要な買い手が存在しないため、ボックス圏での推移となる懸念が生じている。
