FRB=米利下げ予想は消滅、利上げへの転換はあるか

2月末の米国などによるイラン攻撃以降、イランによるホルムズ海峡封鎖などを受け、原油供給懸念が高まったことなどにより、原油価格は大きく上昇した。これを受けてインフレ再燃への懸念から、米国の追加利下げ見通しは修正を余儀なくされた。米金融政策を反映する米2年債利回りは、政策金利のFFレート誘導目標上限の3.75%程度まで上昇、つまり当面の通貨利下げ見通しは、ほぼ消滅した(図表参照)。

【図表】FFレートと米2年債利回り(2017年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

こうした中で開かれた今回のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、ちょうどメンバーの経済見通し「ドット・チャート」の公表も予定されていることから、イラン情勢を受けて金融政策見通しがどのように変化したかを確認する手掛かりになりそうだ。注目点は、年内の利下げの可能性は消えたのか、それどころか利上げへ転換する可能性もあるか、という点だろう。

中央銀行の独立性を揺るがすトランプ米大統領の介入は吉か凶か

一方で、過去にほとんど類を見ないほどFRB(米連邦準備制度理事会)に介入するトランプ米大統領は、利上げ反対、利下げを要求する姿勢が続いている。そうした中で、FRBが利上げに転じるには、よほどのエビデンスが必要だろう。

ただ、政治介入に屈し、FRBが必要な利上げを自制したと受け止められた場合は、米金利が上昇しても米ドルや米国株が下落する「悪い金利上昇」や、米ドル、米国株、米国債の「トリプル安」といいった金融市場の反乱が起こる可能性もあるのではないか。

日銀=早期利上げ予想を後退させた「総理が難色」報道

日銀の金融政策については、1月までは「3月または4月の金融政策決定会合で追加利上げ」との見方が基本だった。それが変化したのは、2月に行われた植田日銀総裁との会談で、高市総理が「追加利上げに難色を示した」という一部報道の影響が大きかっただろう。

状況としては、2月末以降のイラン情勢を受けた原油価格の急騰、円安の拡大により、物価の安定の観点から日銀の追加利上げは前倒しの必要性が高まったようにも感じられるが、イラン情勢発の物価高はあくまで「コストプッシュ・インフレ」であり、それへの対策としての利上げは不要で、むしろ早期利下げ見通し後退の流れに変わりはないようだ。

すでに見てきた米国のケースのように、日本の場合でも政治介入が中央銀行の独立性を揺るがす状況になっているようにも見える。こうした場合は、金利が上昇しても通貨や株価が下落する「悪い金利上昇」、円、株、債券の「トリプル安」という反応となる懸念がある。