先週(12月8日週)の振り返り=日米金利差縮小に反応、一時155円割れへ米ドル反落
11月20日以降、日米金利差縮小に反応するようになった米ドル/円
先週(12月8日週)の米ドル/円は、一時157円近くまで反発しました。注目された12月10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)は利下げを決定しましたが、その後については追加利下げに慎重な姿勢を示すとの見方などから米金利が上昇し、それに反応したようでした。ただし、FOMCの後は米金利が低下に向かったことから、米ドル/円は一時155円割れへ反落となりました(図表1参照)。
米ドル/円は、11月20日に158円手前で上昇が一巡したあと、日米金利差(米ドル優位・円劣位)に沿った動きが目立つようになっていました。それ以前は、日米金利差をほぼ無視するような形で米ドル高・円安に大きく動きましたが、11月20日以降は、日米金利差の緩やかな縮小に沿うように一時155円割れまで米ドル安・円高へ戻しました(図表2参照)。
例年、年末にかけて逆方向に動きやすい米ドル/円=損益確定が影響か
2025年9月からの米ドル/円と日米金利差の関係を見ると、11月20日までは日米金利差縮小を尻目に158円近くまで上昇しましたが、その後から金利差縮小に比較的素直に反応して下落傾向に転じたことが分かります(図表3参照)。なぜ11月20日以降、米ドル/円は金利差縮小に反応するようになったのでしょうか。
米ドル/円は年末が近づくと、それまでとは逆方向に動く傾向があります。これは年末までにポジションの損益確定に動く影響が大きいからだと考えられています。今回の場合、10月の高市政権誕生前後から米ドル高・円安が急拡大したことで、米ドル買い・円売りポジションに傾斜しているケースが多かったと考えられるでしょう。
年末までに一段と米ドル高・円安が進むならともかく、そうでないなら少しでも米ドル高・円安水準にあるうちにポジションの利益確定に動く、そうした米ドル売り・円買いが増えたことから、日米金利差縮小にも素直に反応するようになったのではないでしょうか。
ヘッジファンドの円買いポジション処分も一巡=円安157円で一段落の一因
なお、代表的な投機筋のポジション・データであるCFTC(米商品先物取引委員会)統計では、いわゆる「シャットダウン」の影響により更新が遅れ、まだ11月18日時点の結果までの公表にとどまっています。しかし、円については3.1万枚の買い越し(米ドル売り越し)となっており、少なくともこのデータでは、米ドル買い・円売りポジションへの傾斜は確認できません(図表4参照)。ただ、11月にかけて円安が急拡大したことを考えると、このデータ以外の投機筋が米ドル買い・円売りに傾斜した可能性は十分あるでしょう。
CFTC統計の投機筋のポジションは、おもにヘッジファンドの取引を反映していると見られています。このポジションは、4月末には17万枚という空前規模の円買い越しとなっており、10月に入りいわゆる「高市円安」が急拡大する直前でも8万枚近い大幅な円買い越しが続いていました。その意味では、「高市円安」の急拡大により、ヘッジファンドなどの円買いポジションの処分に伴う円売りが広がったことも米ドル高・円安を後押しした可能性があるでしょう。
CFTC統計の投機筋の円ポジションは、11月中旬には買い越しが3万枚まで縮小しました。ヘッジファンドなどの円買いポジション処分に伴う円売りが、日米金利差縮小にもかかわらず、大きく米ドル高・円安をもたらした一因でしょう。それがほぼ一巡したことで、米ドル高・円安も11月20日の157円台で一段落したという解釈も可能かもしれません。
今週(12月15日週)の注目点=日銀の金融政策発表、米11月雇用統計発表など
10~12月期の米経済動向はどうだったか=雇用統計、CPIなど続々明らかに
今週は、18日にECB(欧州中銀)とBOE(イングランド銀行)、そして19日には日銀の金融政策発表が予定されています。この中で日銀は0.25%の利上げが予想されています。日銀の金融政策発表は、金融市場が大いに動意付くイベントになっていることから、政策発表後の植田総裁の記者会見も含めて為替相場の反応は要注意でしょう。
今週のもう1つの大きな注目点は米経済指標の発表です。とくに16日の米11月雇用統計、同小売売上高、そして18日の同CPI(消費者物価指数)は市場の注目度の高い経済指標であり、米政府機能の一部停止、「シャットダウン」の影響で空白のようになっていた10~12月期の米景気動向を確認する最初の大きな手掛かりになるため、為替相場も反応する可能性があるでしょう。
年内最後の大相場の可能性も=今週(12月15日週)の米ドル/円は153~158円で予想
米ドル/円は11月20日に157円台で上昇が一巡した後は、基本的に155~157円という狭いレンジ中心での展開が約3週間続きました。このため、今週の日銀の金融政策発表や米雇用統計などの注目経済指標発表を受けて、このレンジを抜けた方向へ年内最後の大きな動きになる可能性があるでしょう。
仮にレンジを上放れた場合は、年初来の米ドル高値、158.8円をトライする可能性が出てくるでしょう。逆に上放れに失敗した場合は、「高市円安」に伴う米ドル買い・円売りポジションの損益確定から米ドル安・円高リスクが拡大する可能性もあるでしょう。また、トランプ関税に対する最高裁判決や、高市政権の財政規律への懸念に伴う日本国債売りなどの動向次第では大荒れになるリスクもあるのではないでしょうか。
以上を踏まえ、今週の米ドル/円は153~158円という比較的ワイド・レンジで予想したいと思います。
