米国株の短期的な底入れ感から日経平均は反発か
先週の株式相場は日米ともAIバブル懸念から調整が入った。特に大きく下げたのがハイテク株中心のナスダック総合株価指数だ。週間で3%下落した。ナスダックは週末金曜も続落し下げ止まらなかったものの、取引時間中の安値からは切り返し陽線で終えて小幅安まで戻した。ダウ平均は小幅に反発した。同じく下ヒゲを引いた陽線で、25日移動平均を回復して引けた。短期的には底入れ感がある。この米国株の下げ渋り-小反発を受けて週明けの日経平均も反発することが予想される。
さらに好材料は米国の政府機関閉鎖が終わる見込みが出てきたことだ。米国の政府機関閉鎖は11月7日時点で38日目に入り、過去最長記録を更新中だが解決の糸口も見え始めた。民主党が政府のつなぎ予算成立に向けて歩み寄りを提案したと伝わった。与野党の交渉再開で閉鎖解除に向けた協議が進むとの期待が出てきたのは明るい材料だ。急転直下の解決となれば、マーケットは当然ポジティブに反応するだろう。注意深く見守りたい。
国内企業決算が佳境、注目はソフトバンク、ソニー
国内では決算発表が佳境を迎える。10日に三菱地所(8802)、古河電気工業(5801)、11日にソフトバンクグループ(9984)、ソニーグループ(6758)、川崎重工業(7012)、住友不動産(8830)、13日に三越伊勢丹(3099)、キオクシアHD(285A)、14日にはメガバンク3行、第一生命ホールディングス(8750)などの決算が発表されるが、なかでも注目は11日のソフトバンクG、ソニーGだろう。特にソフトバンクGはこのところのAI相場の主役で、それゆえ先週の相場下落局面では下げの先導役だった。決算発表をきっかけに同銘柄が大きく動けば、いわずもがなだが日経平均も乱高下するので、注視したい。ただ、来週にエヌビディア[NVDA]の決算発表を控えており、結局のところは大きく動けない展開であろう。つまり、下値も上値も限定的か。そうであれば、先週見せた動きのように日経平均5万円の大台が意識され、その水準を割り込むところで押し目買いが入るかがポイントだ。
海外勢の動向にも注意、今週発表の投資部門別株式売買動向は要確認
押し目買いという点では海外勢の動向が注目される。東京証券取引所が先週の7日に発表した投資部門別株式売買動向(東証と名古屋証券取引所の合計)によると、海外投資家は10月に日本株を3兆4413億円買い越した。月間ベースで過去最高だったアベノミクス相場時に記録した2013年4月の2兆6826億円を大幅に上回った。しかし、10月最終週の買い越し幅は3459億円と、その前の週の半分にとどまるなど買いの勢いが鈍ってきた。日経平均は10月末に史上最高値をつけて下落に転じ、先週1週間では2000円余り下げた。海外勢が売りに回った可能性が高い。今週発表される投資部門別株式売買動向でこの点を確認したい。
予想レンジは4万9500円-5万2000円とする。
