中東情勢と急落後の反発期待でレンジは広め

今週の日本株市場は日経平均想定レンジをやや広めに見ている。イラン情勢の緊迫化という下押し要因がある一方、日米首脳会談を材料とした買いや、イランへの攻撃開始以降の急落に対する自律反発も期待されるためだ。週明けは弱いスタートとなる可能性が高い。大阪取引所の日経平均先物はナイトセッションの終値5万2910円(14日(土)6:00)と日中(13日(金)15:45)終値から460円下げて終えており、寄り付きはマイナス圏で始まる公算が大きい。

ただ、日経平均はイスラエルと米国によるイラン攻撃開始以降、5,030円下落するなど急ピッチの調整となっており、短期的には売られ過ぎとの見方も出やすい水準にある。原油価格や中東情勢の動向に振らされやすい展開が続くとみられるが、押し目では自律反発の動きも入りやすい。19日に予定される日米首脳会談では、日本による対米投資計画の具体化への期待感もあり、地政学リスクによる下振れと急落後の反発期待という相反する材料が並ぶため、今週の想定レンジは通常より広めに設定した。

原油・中東情勢と金融政策イベントに注目

米国・イスラエルとイランの軍事衝突は足元で収束の兆しが見えない。ホルムズ海峡ではタンカーの航行が制限される状況が続き、原油供給への不安が強まっている。WTI原油先物価格が1バレル=100ドルを大きく上回るような展開になれば、日本株にとっては一時的な下押し要因となるだろう。原油価格の上昇は企業業績にも影響を与えかねず、4月以降に始まる企業決算では保守的な会社計画が示される可能性があり、ガイダンスリスク(企業が示す保守的な業績見通しを受けて株価が下落する可能性)への警戒も必要だ。また、米国ではファンドが銀行を介さず企業や個人に直接融資を行うプライベートクレジット市場において、解約制限や融資厳格化のニュースも金融市場の不透明要因となっている。

ただ、11月の米中間選挙を控え、選挙戦への悪影響が広がる前にトランプ米大統領も事態の収束を図りたい思惑があるほか、原油価格上昇による国内の物価高が政治問題化することも避けたいとの見方がある。イラン側も徹底抗戦による体制崩壊ではなく現体制の維持を優先するとみられるなか、米政府も混乱の長期化は望んでいないとの見方が多く、軍事的緊張は徐々に緩和方向に向かうと期待できる。

今週は18-19日に日本銀行の金融政策決定会合が予定されているが、政策金利は据え置きが見込まれる。さらに、17日から18日にかけてはFOMC(米連邦公開市場委員会)、18日から19日にかけてはECB(欧州中央銀行)理事会が開催され、それぞれ18日にはパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長、19日にはラガルドECB総裁の会見が予定されている。主要中央銀行の金融政策会合が相次ぐ週となるため、金融政策の見通しやインフレ動向に市場の関心が集まりやすい。すでに米国の利下げ期待は後退しているため、FOMCで示されるインフレ見通しの修正が市場の想定の範囲内にとどまれば、イベント通過による安心感が広がる可能性もある。

日米首脳会談とAI関連テーマに注目

物色面ではテーマ株への関心が高まりそうだ。19日に予定される日米首脳会談では、安全保障や経済安全保障の議論に加え、日本による対米投資計画の具体化が焦点になるとみられる。防衛費増額や戦略投資の議論が進めば、防衛関連や宇宙関連、次世代原発、レアアースなどの政策テーマ株には見直しの動きが出やすい。また、米エヌビディア[NVDA]が3月16日から19日まで開催する世界開発者会議「NVIDIA GTC 2026」も注目材料だ。AI半導体や関連インフラへの投資期待が改めて意識されれば、半導体関連株への資金回帰につながる可能性がある。

中東情勢という不透明要因を抱えつつも、日米首脳会談やAI関連イベントといった材料が重なることでイベントを材料とした物色が相場の下値を支える展開となりそうだ。今週の日経平均はこうした材料をにらみながら、神経質な値動きのなかで落ち着きどころを探る展開が続きそうだ。

予想レンジは5万1500円-5万6000円とする。