今週(10月24日~10月30日)の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米中首脳会談前後で乱高下、上昇分を打ち消す「いってこい」の展開
ビットコインは、米中首脳会談への期待から一時上昇したものの、米金融政策をめぐる不透明感が重石となり、その後は上昇分を打ち消す展開となった。
週初、米中首脳会談の開催に向けた協議進展が報じられ、市場では米中対立への過度な懸念が後退した。これを受けてリスク選好ムードが高まり、株式市場は堅調に推移。日経平均株価が大台の5万円を突破するなか、ビットコインにも買いが波及した。さらに、米CFTC(米商品先物取引委員会)の新委員長に暗号資産推進派のマイケル・セリグ氏が就任予定と報じられたことも支援材料となり、一時BTC=116,000ドル(約1,780万円)付近まで上昇した。
しかしその後は、米FOMC(米連邦公開市場委員会)やトランプ米大統領によるアジア歴訪を見極めようと様子見姿勢が強まり、相場は上値の重い展開に転じた。米国でビットワイズのソラナ現物ETFが上場したほか、フランス議会でビットコイン準備金関連法案が提出されるなど、一部では前向きな材料もみられたが、相場全体を押し上げるには至らなかった。
10月29日のFOMCでは、市場予想通り0.25%の利下げが決定されたものの、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「12月の追加利下げは確定的ではない」と発言したことで、緩和期待が後退。米長期金利の上昇とドル高が進むなか、リスク資産全般に一時的な調整圧力がかかり、ビットコインは下落した。
米中首脳会談前後には警戒感が広がり、ビットコインは乱高下した。さらにアルファベット[GOOGL]やアップル[AAPL]が上昇した一方で、マイクロソフト[MSFT]とメタ・プラットフォームズ[META]が下落するなど、ハイテク大手の企業決算は明暗が分かれた。この流れを受けて米国株が軟調となるなか、ビットコインも連れ安となり一時BTC=106,000ドル(約1,627万円)付近まで急落した。
来週(10月31日~11月6日)の相場予想
BTC(ビットコイン)はFOMCと米中首脳会談を通過し、材料難のなか底堅い推移を予想
米国の金融政策をめぐる不透明感や政府閉鎖の長期化を背景に、相対的に弱い値動きが続く可能性がある。株高基調が続く一方で、暗号資産市場への関心は後退しており、リスクオフ局面では売られやすく、リスクオンでも上値を追いづらい展開となっている。
しかし一方で、下値を支える要因も存在する。まず、パウエルFRB議長の発言を受けて追加利下げへの期待は後退したものの、同時に量的引き締め(QT)の停止が発表され、米金融政策が引き続き緩和方向にあることが示された。流動性環境の改善はリスク資産全般の下値を支える効果があり、ビットコインにとっても一定の安心材料といえる。
加えて、企業の好決算が追い風となる米国株や、高市新政権への期待が根強い日本株が連日で高値を更新しており、株式市場の堅調さはリスク資産としてのビットコインにとっても心理的な支援材料となっている。
もっとも、株式市場では過熱感が意識され始めており、いずれ調整を迎える可能性がある。その際にも、すでに短期調整を先行して終えたビットコインは下げ余地が限定的とみられ、むしろ「逃避資産」として早く買い戻される展開も想定される。
その他、米国では規制整備を見越して大手金融機関による暗号資産・ステーブルコイン関連事業への参入が相次いでおり、政策・制度面の進展が中期的な相場の下支え要因となりつつある。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=115,000ドル(約1,765万円)、下値はBTC=105,000ドル(約1,611万円)を意識する。
