「最悪のシナリオ」は脱したか?BTCは反発、中国の「供給リスク」が引き出す停戦シナリオ

2月28日の米国とイスラエルによるイラン攻撃から2週間以上が経過しました。依然として事態は混沌としており、先行き不透明な状況が続いています。ただ、その一方で先週(3月9日週)のBTCは、日を追うごとに上値を切り上げる展開となり、攻撃直後につけた高値水準付近まで値を戻してきました。

マーケットの値動きを見る限り、足元では一時的な停戦合意や、緊張緩和に向けた水面下の調整が各国間で進んでいる可能性も意識され始めているようです。そうした期待感が、ショートポジションの手仕舞いを誘い、あわせて新規の買いを呼び込んでいるのではないでしょうか。

もちろん、現時点で情勢が大きく好転したと断言するのは尚早です。しかし、少なくとも市場は、「最悪のシナリオ」だけを織り込み続ける局面から、徐々に次の展開を探り始めているように見えます。
特に、ホルムズ海峡封鎖の問題は、中国にとっても非常に厄介です。中国はサウジアラビア、UAE、イラクといった中東主要産油国からの原油輸入への依存度が高く、さらにカタールなどからのLNG輸入も抱えています。仮に海上輸送そのものが一部維持されたとしても、原油・LNGの生産や積み出しを担うプラントが攻撃を受け、正常稼働できなくなれば、実質的な供給制約は避けられません。

足元では、イラン側が中国籍タンカーの通行を一定程度優遇しているとの見方もありますが、米国の攻撃が強まるほど、イラン側が報復としてUAEやカタールなどのエネルギー関連施設を狙う構図になりやすく、その場合中国も影響を受けることもあるでしょう。

タンカーが航行できるかどうかだけでなく、そもそも輸出する資源が安定的に供給されるかどうかが重要であり、その意味で中国にとっても非常に神経質な局面です。

さらに、中国は「一帯一路(シルクロード戦略)」を通じて中東地域に多額の投資を行ってきました。エネルギー供給だけでなく、地政学的・経済的な利権も深く絡んでいるため、この戦争による中国側の潜在的損失は相当規模に膨らむ可能性があります。

そのため筆者としては、中国の関与によって停戦機運が少しずつ現実味を帯びてくるシナリオを考え始めています。こうした思惑が市場で意識されるならば、ショートポジションの巻き戻しが改めて強まる可能性も十分あるでしょう。

BTC(ビットコイン)は1250万円を意識、上値を伸ばす展開も視野に

BTC/JPYの日足チャート分析に移ります(図表1)。先週(3月9日週)はSMA30(黄色)にサポートされる形で反発した1週間となりました。MACDも0.00ライン近辺まで戻しており、時間調整はかなり進んだとの認識です。

一般的に、このように調整が進んだ後のトレンドは、再開時に比較的強い値動きになりやすい傾向があります。ここから高値更新の流れに入るようであれば、まずはSMA90(水色)付近までの上昇を想定したいところです。

目先のターゲットとしては1,250万円を意識しており、さらに勢いがついてオーバーシュートする場合には、SMA200(橙)付近まで上値を伸ばす展開も視野に入れておきたいと思います。

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

4時間足チャート:打診買い+押し目待ちを意識

BTC/JPYの4時間足チャート分析です(図表2)。足元の形状はアセンディング・トライアングル気味となっており、テクニカル的には強気寄りの判断がしやすい局面です。

このため、SMA30付近まで押す場面があれば、ひとつエントリーポイントとして意識したいところです。戦略としては、まず打診買いを入れておき、その後に押し目があれば追加で拾っていく二段構えが機能しやすいのではと考えています。

【図表2】BTC/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

また、本日の東京時間は米ドルがやや売られ気味でスタートしており、それに対して暗号資産は上昇、ゴールドやシルバーはやや軟調な推移となっています。こうした値動きを踏まえると、足元ではリスクオンのムードが先行して意識されている可能性があります。株式市場もこれに追随してくるようであれば、本日から思わぬ形で大きく上昇する展開も意識しておきたいところです。

ETH(イーサリアム)、次のターゲットは40万円か

ETH/JPYの日足チャート分析です(図表3)。SMA30(黄色)で反発したあと、次のターゲットとしてはSMA90(水色)が位置する40万円近辺が意識されそうです。

【図表3】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

そのため、目先は買い目線へと切り替え、まずは10~15%程度の上昇を狙う戦略に変更したいと考えています。逆に、売り目線については40万円を明確に超えてきた水準から再度検討する方針とし、当面はショートカバーを取りにいく発想へと切り替えます。

ETHはMACDがプラス圏へ浮上すると、上昇に弾みがつきやすい傾向があります。現状のチャートを見る限り、そのタイミングは意外と近いのではないでしょうか。

4時間足チャート:BTCと同じく打診買い+押し目買い

ETH/JPYの4時間足分析です(図表4)。BTC同様、SMA30(黄色)からの押し目買いを基本戦略としつつ、まずは打診買いでポジションをひとつ構築しておきたい局面です。4時間足ベースで見ると、形状としてはBTC以上に強さが見え始めています。

【図表4】ETH/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

1月高値から大きく売られてきた反動もあるため、いったん買い戻しが本格化すれば、ショートカバーの規模も相応に大きくなる可能性があります。そのため、現状価格帯で、ある程度成行でポジションを持っておく判断も有効でしょう。これは、SMA30付近まで十分な押し目を作らず、そのまま上昇してしまうケースも想定しての対応です。

今週(3月16日週)のポイント

• 中東情勢は依然不透明ながら、BTCは米国とイスラエルのイラン攻撃直後の高値付近まで戻しており、市場は最悪シナリオ一辺倒ではなくなりつつある。
• 停戦期待や地政学的な思惑が、ショートの買い戻しと新規資金流入を誘っている可能性がある。
• ホルムズ海峡問題は中国にも大きな打撃となり得るため、中国の停戦関与が強まるシナリオには一定の現実味があるのではないか。
• BTC日足はSMA30で反発し、MACDも改善。高値更新ならまずSMA90、さらに強ければSMA200も視野に。
• BTC4時間足はアセンディング・トライアングル気味で強気形状。打診買い+押し目買いの二段構えを意識。
• ETH日足はSMA30反発後、40万円付近が当面の上値目標。目線は売りから買いへ切り替え。
• ETH4時間足はBTC以上に強い形状で、ショートカバー拡大の余地も意識される。
• 全体としては、急落警戒を残しつつも、目先は「リスクオフをかなり織り込んだ後の戻り局面」として、買い戦略を優先したい局面。