米国株に連動するようにBTCも史上最高値を更新
・2025年8月、連日、米国株が史上最高値を更新する中、BTC(ビットコイン)も連動するように史上最高値を更新。8月1日に発表された7月雇用統計の結果が弱かったため利下げ期待につながり、発表直後にBTCは一時的に下落したものの再び上昇する展開に。8月22日のジャクソンホール会議では、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が利下げについて言及する場面もあり、BTCの価格は一時的に戻している。FRB理事解任報道もある中、リスク資産として先行して売られている。足元は上値が重い状況。
SECとCFTCが協力して規制整備を進める
・米国の暗号資産規制をめぐってはポジティブな動きが続く。2025年1月の大統領令に基づく報告書の発表が待たれていたが、ついに7月末に発表された。1月の大統領令と内容に大きな差はないが、米ドルを強化するために暗号資産やステーブルコインに力を入れていくこと、投資家保護も意識した規制を作ることがなど明示された。
・この報告書を受けて、SEC(米国証券取引委員会)とCFTC(米国商品先物取引委員会)は専門プロジェクトを始動。SECはプロジェクトクリプトという名称のもと、トークン化証券の明確な規制枠組みを構築。ガイドライン策定だけでなく、一時的に規制を緩和する措置も検討。暗号資産関連企業がよりビジネスしやすいルール作りを進める。CFTCは暗号資産現物取引やデリバティブに関する規制整備に動いている。パブリックコメントを10月20日まで受付。
・SECとCFTCは民主党政権下では勢力争いをしていたが、共和党政権下では協力して暗号資産関連の規制を整備している。米国では暗号資産は証券かコモディティか、定義が揺らいでいたが、今後明確化されるだろう。
・暗号資産関連の大統領令に追加署名の動きがみられた。米国の確定拠出年金(401k)制度の運用対象にBTCなどの暗号資産を含めることを認める大統領令を発表。また、銀行が暗号資産関連企業への口座開設や融資を不当に制限しないように求める大統領令を発表した。
ETHも4年ぶりに史上最高値を更新
・暗号資産関連の規制が明確化されることで、ビットコイン以外の暗号資産にも注目が集まっている。ETH(イーサリアム)は約4年ぶりに史上最高値を更新。背景に7月以降、ETHの現物ETFへの資金流入が増えていた。8月には日次で10億ドル規模の資金が流入する日もあった。機関投資家がETFを通じて資金を入れ、それに伴い価格も上昇している。
・ETHが注目されるポイントに「ステーキング」がある。イーサリアムを保有し、ネットワーク上に資産を預けることでネットワークの「検証者」となり、貢献度に応じて新しいETHが付与される仕組み。ユーザー側としては、金利収入が得られるような体験となる。
アルトコインの銘柄ごとにステーキングの利回りは異なる。米国は利下げ局面においては、ステーキングが国債よりも高い金利で運用できる。アルトコインのETFが承認されると、その利回り収益を狙って機関投資家マネーのさらなる流入が期待でき、相対的に投資妙味が増すことになる。
9月FOMC(米連邦公開市場委員会)や、ビットコイン準備金に関する報告書や法案の発表を控えている。金融市場は過熱感があるが、暗号資産市場はポジティブな傾向にある。
