政策金利は0.75%で据え置き。原油高に伴うリスクに留意
日本銀行は、3月18日・19日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.75%程度で推移するよう促すことを決定しました。政策委員の9名のうち8名が据え置きに賛成しました。一方で、反対票を投じた高田委員は「『物価安定の目標』は概ね達成されており、海外発の物価上昇の二次的波及から国内物価の上振れリスクが高い」として、0.25%の利上げを提案しています。
リスク要因として、足元の中東情勢の展開や原油価格の動向が新たに指摘されました。また、原油価格の上昇が基調的な物価上昇率の見通しに及ぼす影響についても、留意が必要だとしており、見通しの上振れリスクが意識される内容です。
会合結果は事前の市場予想に沿ったもので、大きなサプライズとならなかったことから、米ドル/円や長期金利は小動きで推移しました。
原油急騰や物価への波及に関する質問が相次ぐ。物価上振れリスクに対応するための政策変更に含み
15時30分から開始された植田日銀総裁の記者会見では、直近で急騰している原油価格とそれに付随する先行きの物価に関する質問が相次ぎました。従来通り丁寧なコミュニケーションが徹底され、植田総裁は「原油高が経済・物価に及ぼす影響を注意深く確認していく」と回答しました。
基調的な物価については、原油高から波及する中長期的な予想物価の上昇や、需給ギャップの変動などの各種データを確認しつつ、従前通り春闘を始めとした2026年における賃金の上昇モメンタムを注視するといった姿勢がうかがえました。審議委員メンバーの基調的な物価見通しについては、原油高を起点とした上振れリスクをみる審議委員が多かったとのことです。
また、日銀と市場とのコミュニケーションをより深めることを目的に、基調的な物価を捕捉していく指標を今後共有していくと発表しました。制度要因を除いた消費者物価指数とみられ、従来の消費者物価指数(除く生鮮食品)などに追加して示すとしています。
先行きの金融政策運営については、時々のデータ次第で判断していくことを強調しました。また、経済・物価が日銀審議委員メンバーの見通しに沿って推移した場合には、金融緩和の度合いを調整するとし、従来通りの姿勢を改めて強調しました。一方で、経済・物価の見通しが上振れる・下振れるといったリスクがある中で、リスクマネジメントを目的とした金融政策を決定する可能性があるとしました。
植田総裁の記者会見を受けて、米ドル/円は50銭ほど円高に振れたものの、依然として159円台で推移しています。
会見を総括すると、日銀も足元の中東情勢がどれくらいのタイムスパンで続くのか不透明なため、動きづらいという印象です。当面は、原油高による物価の上振れや経済の下押し、中長期的な基調物価への影響度が確認事項であり、その点検を次回の4月会合に向けて実施していくフェーズと言えます。
中東情勢が進展する可能性もあり、判断のしにくい局面です。ただし、会見でも植田総裁が指摘したように、物価の上昇速度次第ではリスクマネジメントを目的とした利上げの可能性も意識する必要があると考えられます。
