東京市場まとめ

1.概況

短期的な過熱感が意識されたことで、日経平均は65円安41,760円と反落で寄付きました。前日までの2日間で2,000円以上上昇していたこともあり、利益確定の売りが優勢でのスタートとなると、徐々に下げ幅を拡大する展開となりました。決算銘柄に売買が集まり、市場予想に届かなかった信越化学工業(4063)などの銘柄が軟調に推移したことで指数にも重荷となり、前場は256円安の41,570円で取引を終えました。

後場も基調は変わらず、次第に下げ幅を拡大する展開となりました。週末を控えた持ち高調整の売りが出たことも、指数を下押しし41,450円近辺で一進一退の推移となりました。大引け間際の15時24分に439円安の41,389円をつけ本日の安値を更新し、最終的には370円安の41,456円で大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数が4日続伸、0.4%高で取引を終えました。

2.個別銘柄等

信越化学工業(4063)は9.5%安の4,530円をつけ、6日ぶりとなる大幅反落となりました。2026年3月期の当期純利益が前期比12.0%減の4,700億円になる見通しだと発表し、市場予想を大きく下回る業績見通しが嫌気され売りが優勢となりました。住宅の配管などに使う塩化ビニール樹脂事業の収益悪化が寄与したとされています。

キヤノン(7751)は4.9%安の4,040円をつけ、3日ぶりに反落となりました。2025年12月期の当期純利益が前期比2.1倍の3,300億円を見込むとし、小幅な下方修正を発表しました。今期2度目の下方修正から業績の先行きを不安視する売りが出ました。

ニデック(6594)は1.3%高の2,970円をつけ3日続伸となりました。2025年4~6月期の連結業績速報値において、第1四半期の営業利益が前年同期比2.3%増の614億円と市場予想を上回る堅調な業績動向を示したことが好感され、買いが優勢となりました。第1四半期の純利益は円高による為替差損の影響から18.7%減の455億円となりました。

ルネサスエレクトロニクス(6723)は4.7%安の1,826.5円をつけ3日ぶりに反落となりました。2025年12月期の中間決算にて、最終損益は1,753億円の赤字と6年ぶりの赤字転換が嫌気され、売りが出ました。営業利益率の低下も売り材料となりました。

Terra Drone(278A)は0.5%高の4,815円をつけ3日続伸となりました。サウジアラビアの点検会社と石油化学プラントやインフラ設備の点検分野でドローンの普及に向けた覚書を締結したと発表し、これによる今後の業績拡大を期待した買いが入りました。Terra Droneの広報担当は、「本格的に業績に寄与するのは2027年1月期(来期)以降になる」と説明しています。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均、TOPIXはともに週間で4.1%高で取引を終えました。参院選を無難に通過し、その後の関税合意によって強含んだ1週間となりました。一方で、昨日決算発表を行った銘柄は軟調な推移となった銘柄が目立ち、決算発表の警戒感が意識されました。来週に向けて、大引け後のファナック(6954)やSCREENホールディングス(7735)の決算発表に注目が集まります。

また、来週は日銀の金融政策決定会合が予定されており、足元では利上げ観測が再燃している中で、利上げの材料など足元の経済の評価に注目です。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)