企業価値を評価するうえで、収益力や資産価値に対して株価がどの程度割安かを測ることは、重要な視点です。そうした評価軸の一つとして、バリュー株投資の始祖であるベンジャミン・グレアムが提唱した「ミックス係数(PER×PBR)」は、今なお多くの投資家に用いられています。グレアムは、「PER(株価収益率)は15倍以下、PBR(株価純資産倍率)は1.5倍以下が望ましい」とし、両者の積であるミックス係数が22.5以下であることを割安株のひとつの目安としました。
そこで今回は、S&P500株価指数構成銘柄の中から、ミックス係数が特に低い企業を15社ピックアップしてみました。リストを見ると、金融大手のシティグループ[C]や資産運用会社インベスコ[IVZ]、食品メーカーのクラフト・ハインツ[KHC]、そして自動車メーカーのゼネラルモーターズ[GM]やフォード・モーター[F]などが含まれています。
市場の評価が慎重なこれらの銘柄は、現在の株価水準が業績や資産価値に対して過小評価されている可能性があり、バリュー投資の観点から見直し余地があると言えるでしょう。今後の経済環境の変化や金利動向によっては、資金が再びこうした割安株に向かう展開も考えられます。また、各自でポートフォリオのミックス係数を計算し、自身のポートフォリオの割安度(≒下値耐性)を点検してみてもよいかもしれません。