モトリーフール米国本社、2024年9月24日 投稿記事より

グロース投資家として幅広くフォローされているキャシー・ウッド氏が、不人気銘柄を追加購入

多くの株価指数が史上最高値を更新する中、個別銘柄の中には株価が低迷しているものもあります。例えば、ピンタレスト[PINS]とギットラブ・インク[GTLB]の株価はそれぞれ、52週高値から30%超下落しています。ペイパル・ホールディングス[PYPL]の株価は9月23日に52週高値を更新したものの、過去最高値を更新するには、足元の水準から4倍に上昇する必要があります。

これらの3銘柄はいずれも、キャシー・ウッド氏がCEOを務めるアーク・インベストメント・マネジメント(以下、アーク社)が運用する上場投資信託(ETF)で保有されています。アーク社のETFシリーズは、リスク許容度の高いグロース投資家向けとして知られています。ウッド氏は9月23日に、これら3銘柄の株式を購入しました。各社について詳しく見てみましょう。

ピンタレスト[PINS]

画像共有プラットフォームを手掛けるピンタレスト[PINS]をめぐっては、良いニュースと悪いニュースがあります。良いニュースとしては、ピンタレストは新型コロナウイルスのパンデミックで人気が急騰した後の低迷を乗り越えました。2020年と2021年には、料理のレシピから家のリフォームまでさまざまなアイデアを得ようと、同社のビジュアル検索エンジンにユーザーが殺到しました。2022年になると、世界中の人々が再び外出するようになり、ピンタレストへの関心は薄れましたが、それ以降、2年連続で成長が加速しています。

過去6四半期のうち5四半期で、前年同期比の増収率は加速しています。2024年上半期の売上高は20%以上増加し、これは2021年後半以来のことです。ユーザー数は過去1年間に12%増加し、アクティブユーザー数は過去最高の5億2,200万人に達しています。利益面はさらに好調で、直近の2024年第2四半期に調整後1株当たり利益(EPS)は38%急増しました。

さて悪いニュースですが、ピンタレストが発表した最新のガイダンスは期待外れの内容でした。第3四半期の売上高は8億8,500万~9億ドルが見込まれ、これは前年同期比で16~18%増にとどまります。アナリストはさらに高い成長率を期待していました。

これに対する反論としては、ピンタレストは以前から保守的なガイダンスを発表してきたということです。第2四半期についても当初は15%の増収が予想されていましたが、結果的には21%の増収となりました。同社はまた、2022年に株価の重石となった収益性の問題についても、解決しつつあるようです。ユーザー当たりの平均売上高は第2四半期に8%増加しました。

ペイパル・ホールディングス[PYPL]

フィンテック大手のペイパル・ホールディングス[PYPL]が、1株当たり70ドルでピンタレストの買収を検討しているとの報道が流れたのは3年前の話です。自社の株主からの反発に直面し、ペイパルはピンタレストの買収を断念しました。ピンタレストの足元の株価が30ドル強であることを考えると、ピンタレストにとっては惜しい機会だったと言えるかもしれません。しかし、この買収提案のストーリーはこれだけでは終わりません。ペイパルは当時、主に株式交換による買収を提案したと報じられましたが、ペイパルの株価はそれ以来、3分の1以下に下落しています。

ペイパルは、全盛期にはフィンテック企業のパイオニアとして人気を博しましたが、もはやグロース投資家から見向きもされていません。売上高は、7四半期連続で1桁台の成長にとどまっています。一方で、ペイパルの株価は妥当な水準にあります。株価がピークにあった3年前には考えられなかったことですが、株価収益率(PER)はわずか10倍台です。

フィンテックは将来有望な分野であり、ペイパルを上回るペースで急成長している企業もありますが、ペイパルの年間フリーキャッシュフローは50億ドルを超えており、同社が姿を消すことはなさそうです。ペイパルは、4億2,900万人のアクティブユーザーを抱える有力企業です。決済総額は加速しており、直近の第2四半期も11%増でした。

ギットラブ・インク[GTLB]

ソフトウェアを開発するギットラブ・インク[GTLB]の足元の株価が、52週高値よりも52週安値に近いというのは意外に思えるかもしれません。柔軟なクラウドベースのプラットフォームを通じて、企業の技術チームがソフトウェアを構築、テスト、展開するのをサポートするギットラブ・インクは、9月初めに好調な四半期(5~7月期)決算を発表し、ガイダンスを上方修正しました。同社はウォール街の予想利益を大幅に上回るのが常で、この1年間はウォール街のプロの予想値を50%以上、上回り続けています。

増収率は減速しているとはいえ、それでも依然として30%を超えるペースで成長しています。今年度(2025年1月期)予想利益に対してPERは100倍を超え、株価は決して割安ではありませんが、健全なモメンタムが市場プレミアムを正当化しています。今年度の成長の鈍化を警告した2024年3月上旬の株価急落からまだ回復していませんが、最新の状況は心強く、人工知能(AI)対応ソフトウェア開発サービスには将来性があります。ウッド氏も現在の水準で買いを決めたものと思われます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Rick Munarrizは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、ギットラブ・インク、ペイパル・ホールディングス、ピンタレストの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は以下のオプションを推奨しています。ペイパルの2024年9月満期の62.50ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。