モトリーフール米国本社、 2024 年7月28日投稿記事より

バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]株は年平均リターン19.8%

ウォーレン・バフェット氏は、バリュー投資の原則を通じてバークシャー・ハサウェイ[BRK.B]を現在の形に築き上げました。バリュー投資の主な考え方のひとつは、特定のバリュエーション指標に基づく適正な価格で取引される株式は、将来的に市場全体をアウトパフォームし、他の株式投資よりもダウンサイドリスクが少ないというものです。

そのバリュー投資戦略は、バークシャー・ハサウェイとその投資家に見事な成果をもたらしました。バフェット氏は、バークシャー・ハサウェイの経営を引き継いだ1965年以降、投資家に年平均19.8%の複利リターンをもたらしています。これに対し、S&P500種指数の平均トータルリターンは10.2%にとどまっています。この大幅なアウトパフォーマンスの源泉は、適正価格、そして時には適正価格よりもさらに有利な価格で取引されている優良銘柄を見極めるバフェット氏の能力によるものです。

バフェット氏は最新の株主宛書簡の中で、平均的な米国企業よりも業績が優れ、素晴らしいバリュー株となり得る銘柄をもう一つ提案しています。

保有銘柄上位は多彩な顔触れ

バフェット氏は2024年初めに公表した2023年の年次株主書簡で、バークシャー・ハサウェイの保有上位銘柄をいくつか取り上げています。

バフェット氏は2022年以降、石油大手オクシデンタル・ペトロリアム[OXY]の株式を継続して購入しており、発行済み株式の28.8%に相当する大量の株式を保有しています。また、バークシャー・ハサウェイは、約80億ドル相当の優先株も保有しています。これは、2019年にオクシデンタル・ペトロリアムによるアナダルコの買収を支援するために出資した際に取得したものです。バフェット氏はオクシデンタル・ペトロリアムの経営陣を賞賛しており、今後も株式を無期限に保有すると述べています。

また、バフェット氏は長年保有しているアメリカン・エキスプレス[AXP]とコカコーラ[KO]を、決して売却する予定のない銘柄として挙げました。いずれの銘柄も、バフェット氏のお気に入りの強力な国際ブランドと「時代を超えた必需品」と同氏が称する主力商品とサービスを有しています。バフェット氏は20年超にわたっていずれの株式を一株も購入していないにもかかわらず、両社は引き続きバークシャー・ハサウェイの2大保有銘柄であり続けています。

バフェット氏はバークシャー・ハサウェイが大量保有するアップル[AAPL]についても触れましたが、それはわずかに過ぎませんでした。オマハの賢人は2023年の株主総会で、アップルを「保有銘柄の中で最も優れた事業」と称していました。しかし、最近、税制が有利なうちにキャピタルゲインを獲得するために、アップル株の一部を売却しています。バフェット氏は2024年の株主総会で、アップルは今後もバークシャー・ハサウェイの株式ポートフォリオの中で最大の投資先であり続けると断言しました。

前述した企業はすべて、現在の株価水準では魅力的に見えるかもしれません。いずれの企業も現在のバリュエーションを裏付ける非常に強い競争優位性と良好な収益見通しを持っています。しかし、バフェット氏の言うダウンサイドリスクが少なく、平均以上のリターンが期待できる銘柄はどれ一つとしてありません。

実際、バークシャー・ハサウェイそのものが、株主書簡の中でバフェット氏が言及している企業なのです。「59年にわたるさまざまな事業経営を経てバークシャー・ハサウェイは現在、さまざまな事業の一部または100%を所有していますが、それらの事業見通しは加重ベースで見ると米国の大半の大企業よりも幾分良好である」とバフェット氏は述べています。

しかし、それはバークシャー・ハサウェイの株式ポートフォリオや100%保有の子会社がどれも優良企業であるというだけではありません。この複合企業はバランスシート上に、もう一つ大量に保有している銘柄のおかげで、財政破綻を回避する体制を整えているのです。

投資・保険会社でバークシャー・ハサウェイにとっての大きな保険

バークシャー・ハサウェイは大量の株式ポートフォリオを保有しており、その一部は保険事業からの潤沢な資金によって調達されています。また、バークシャー・ハサウェイの投資ポートフォリオにはここ数年でポジションを大幅に増やしている米国財務省短期証券(T-bill)があり、極めて急速に拡大しています。これは、「第2四半期末までに2000億ドルに達する見込みである」とバフェット氏は述べています。

バフェット氏は、「バークシャー・ハサウェイが現金同等物を大量に保有することは、資本を永久に喪失するリスクを大幅に軽減して経営する」と述べています。これほど大量の現金同等物を保有することは、バフェット氏のポートフォリオの足かせとなると判断する人もいるかもしれませんが、これらのT-billはバークシャー・ハサウェイの株主に5%を超える利回りをもたらしています。

これらはすべてバークシャー・ハサウェイの残りのバランスシートに対する保険です。その上、この保険のおかげでバフェット氏と同僚のポートフォリオ・マネージャーは、いつ訪れるかわからない市場機会を捉えることができるのです。例えばバフェット氏は潜在的な収益機会を見込んで、2019年にオクシデンタル・ペトロリアムに100億ドルを投資しました。それ以前はもう一つの保有上位銘柄であるバンク・オブ・アメリカにも同様の投資を行っています。さらなる投資機会は必ず訪れ、バークシャー・ハサウェイはその時に備えているのです。

適正価格で取引される優良企業

バークシャー・ハサウェイは、単に優れた事業とバランスシート上に巨額の現金の山を持つ複合企業ではない点に注意が重要です。バークシャー・ハサウェイの株価は適正な価格で取引されており、それは市場をアウトパフォームするというバフェット氏の期待に応えることができるのです。

バークシャー・ハサウェイの足元の予想株価収益率(PER)は約19.6倍であり、これは他の金融株と比べて高く見えるかもしれません。しかし、バークシャー・ハサウェイのキャッシュ・ポジション、株式ポートフォリオ、中核事業の強さ、バフェット氏による継続的な自社株買いを考慮すると、それは適正なバリュエーションと言えます。これはバークシャー・ハサウェイのPBR(株価純資産倍率)が1.6倍と他の保険会社や金融株と比べて遜色がないことからも明らかです。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。バンク・オブ・アメリカは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。アメリカン・エキスプレスはモトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者Adam Levyはアップルの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアップル、バンク・オブ・アメリカ、バークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はオクシデンタル・ペトロリアムの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。