東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反発となりました。97円高の37,725円で寄り付いた日経平均は伸び悩むと取引開始から10分弱でマイナスに転じましたが、77円安の37,550円で下げ渋ると持ち直し151円高の37,780円で前場を終えました。後場の日経平均は現状維持を決めた日銀の金融政策決定会合の結果を受けて一段高となりました。

297円高の37,926円でスタートした後場は直後に469円高の38,097円まで上昇した後伸び悩むと13時過ぎに231円高の37,859円まで上げ幅を縮めましたが、その後持ち直すと結局306円高の37,934円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

本決算を発表した銘柄に大きく上昇するものがみられました。キーエンス(6861)は2024年3月期通期の営業利益が前期比で0.8%減と小幅に減益となったものの、第4四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で4.3%増と増益に転じたことから一時7.9%高となりました。

富士通ゼネラル(6755)も2024年3月期の営業利益が海外向けの不振で前期比で61.9%減と大幅な減益となったものの会社予想を大きく上回って着地したことや、2025年3月期の営業利益が前期比で2.1倍となる見通しを示したことから一時8.1%高となりました。

合成ゴムメーカーの日本ゼオン(4205)もタイヤ向けのエラストマー素材や高機能材料事業の売上が伸びるとみられることから2025年3月期の営業利益が前期比で29.3%増となる見通しを示したことや、自己株式を除く発行済株式総数の4.73%にあたる1000万株、100億円を上限とした自社株買いを発表したことで一時17.4%高となり年初来高値を更新しています。

半導体ウエハーの生産などを手がける三益半導体工業(8155)も18.4%上昇しストップ高となりました。信越化学工業(4063)が1株3,700円で株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表したことからTOB価格にさや寄せする格好で上げ幅を広げました。

一方で本決算を発表した小糸製作所(7276)が一時7.9%安となりました。米国や東南アジアの販売が下期に伸びるとみられることなどから2025年3月期の営業利益が前期比で3.6%増となる見通しを示しましたが、市場予想に届かなかったことで売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は306円高となりました。昨日に大きく下げた反動や昨日の米国市場で取引終了後に決算を発表した米マイクロソフト[MSFT]やグーグルの持ち株会社である米アルファベット[GOOGL]が時間外取引で大幅高となったこともあり買いが優勢となりました。

前場は日銀が金融政策決定会合で国債買い入れ縮小の方法を検討すると伝わったこともあって一時マイナスになるなど伸び悩みましたが、昼過ぎに政策金利の据え置きや国債買い入れ方針の維持を決めた結果が発表になると後場に入って上げ幅を大きく広げ節目の38,000円を回復する場面もありました。

しかし、大型連休前ということや、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視している3月の米個人消費支出(PCE)物価指数の発表を控えていることもあり75日移動平均線(38,177円)を前に伸び悩みました。その米個人消費支出(PCE)物価指数は日本時間の21時30分に発表となります。ここにきてインフレへの警戒感が改めて高まっていることもあり結果が注目されます。

また、決算発表が続いています。本日も引け後にはコマツ(6301)や日立(6501)、三菱電機(6503)、ソシオネクスト(6526)、TDK(6762)、アドバンテスト(6857)、京セラ(6971)、村田製作所(6981)、ANAホールディングス(9202)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)